2005年1月31日 火曜日
さて、今日で1月も終わり。明日から2月。如月です。
1月は「いく」2月は「にげる」3月は「さる」といって月日が過ぎるのが
早いから3学期はしっかり勉強しましょう、と先生にいつも言われた、と友人が教えてくれました。
大人になっても同じことが言えるでしょうね。
私2月って好きですよ、「夜明けすぎの 2月の雪」東京でも見れますでしょうか
フォスフォレッセンスがスタートした月でもあるから好きで当然ですけどね。

自らの四国八十八箇所巡りのお遍路さん体験を本にしたいので
現在書き進め中、という男性のお客さんが
「今お時間よろしかったらちょっとだけ見てもらえます?」と。
ほんの数行だけ見せてもらったのだけど、
その時の彼の嬉しそうな表情といったら。
私が読み進める前に自らどんどん声に出してその本文を読み上げられるんです。
自分が読んでてそんなに興奮できるのだからまず第一歩目は大丈夫だと思う。
ちゃんとお遍路さんの格好して巡ったらしく、同じように巡礼している人たちとの
出会いの話など語ってくれる、ちょっと興味が沸いてきたかも。
カタチから入る私のことですからその時は椎名林檎ばりの白黒お遍路ファッションを
決め込んでみたいものです。

僕の友人で太宰と飲んだことがあるのがいるよ、と本を探しながら
語りかけてくださるお客さんあり。
太宰はとにかくやさしい男だったらしいよ、
やさしくなけりゃ情死なんてしないよね、とぽつりと言われた
その響きがなんだか今でも耳に残っています。

2005年1月29日 土曜日
ちなみに本日と明日はケーキございます。
それ以降もワッフルとフレンチトーストは常時ございますので
どうぞよろしくお願いします。

制服姿でかわいらしい方が来店。まさに女生徒、
「先日、冨栄さんの日記を購入したものです」と彼女から名乗ってくれた。
その時は私服だったので、全然わからなかった。
高校生だったのに、初版の高い本を買ってくれたんだ、
彼女の決心を想像すると、あの本は手に渡るべき人のところへ渡って幸せな本だ、と思う。
太宰治に関心を持ったきっかけは、昨年のドラマ(りょうが冨栄役を演じたやつ)らしい。
でも同級生で太宰治が好き、って子はなかなかいないし、
授業で「水仙」が扱われていたけれど、先生は谷崎のファンで太宰は好きでないという。
この店が、少しでも彼女のよりどころになればいいな、と思う。

「太宰治に会いたいと思いません?」とドキッとしたことを言う。
何度も同じことをいろんな人に言われてるけど、リアル美しい女生徒さんに言われると
ほんとドキドキしました。「もちろん」と答えると
「私も。片思いでいいから、会いたかった」とうつむきがちに答えた彼女、
う、うつくしいー! と思っていると、「太宰治は誰を一番愛していたと思いますか?」
と鋭い質問。私が中途半端に答えてしまうと、まっすぐに
「で、誰だと思いますか?」と再質問を投げかける。やられました、
でもやっぱり年頃の女の子でもありますね、血液型占いに凝ってるんですって。
「私、実際のところは知らなくて、なんとなくですけど、
静子さんはO型、冨栄さんはB型、美知子さんはA型、のような気がするんです
どお思いますか?」と。
「私も実際のところは知らないですけど、静子さんはAB型、冨栄さんと美知子さんはA型
のような気がしますよ」と答えたけど、どうなのでしょうね。

2005年1月28日 金曜日
ども、いきなりですがますたーです。
ちょいとお知らせなんですが、祝祭日に出していたケーキを来月(2月)からしばらくお休みします。
準備するだけの時間的余裕がなくなってきたので。
そんな訳でご了承ください。

2005年1月25日 火曜日
最近ほんとに冷たいですね。まさに冬のどまんなか。
でもこういうすごく寒い日の夕方、短い時間だけど、
空気が澄み切って、風景がブルー一色になる瞬間があります。
この時期にしか出せないブルーです。
でもただブルーな風景、だけでは完成しない。
そこに通り行く車、市バスとその中の人ひとりひとりの事情、
自転車で家路へと急ぐ人々、こういう常に変化していくものが
共に見えてこその、この窓からの風景。

お昼に来られたお客さんが、
窓やテラスから紅葉が見えたりする喫茶店もいいけど、
ここからは街の風景がありのまま見える、きれいなのもそうでないのも
見える、それがいいですね、とポツッと言ってくださった。
その言葉がなんだか印象に残って、ずっと考えてました。
昨日の遠足の風景もそのひとつ、人間をうつしだしているのですね。

近所のきれいな奥様が珍しいお蜜柑を持ってきてくださる。
いつものごとく世間話をしながらのコーヒータイム、
今日のテーマは「ヒゲのある男性の魅力について」など。
平均3ミリに調整するヒゲ剃りマシーン、なんて最近はあるのですね。
女性もお化粧したりいろいろ大変だけど、男性も大変なんですね〜

2005年1月24日 月曜日
オープンしてすぐの頃、遠足の園児たちがたくさん通り過ぎた。
子供たちの窓際の本に対する反応がすごく新鮮。
「あ、いまあいにゆきますだー」とか「りんごちゃんだー」(椎名林檎表紙の雑誌を見て)
とかこういうの知ってるんですよね、他にもいろいろな反応があり、
子供の感性ってほんとにおもしろいな、と思いました。
昔も今も遠足の時って男女ペアで手つなぐんですね。
私も小学校2年の時の遠足のワンシーンを今でも鮮明に覚えています。
初恋の男の子と手を繋ぐペアにはなれなかったんですけど、
なにかの拍子でその男の子と手を繋いで、しばらく歩いたんです。
その時私は手袋をしていました。相手の男の子は素手です。
小学校2年だったけど、その時「私なんで今手袋してんだろ、
さっきまでしてなかったのに。どんぐりを拾う時に手に砂がいっぱいつくから
手袋したんだ、ううー、どんぐりのばかやろうーーー!」って思いながら
でもドキドキしながらその男の子と手を繋ぎ、坂道を駆け下りた風景、
手袋越しに繋いだその手のひらの感触、未だに覚えてます。
どんぐり、というとその瞬間の思いがいまだふとかすめます。
そんな私ってヘンでしょうかね?

2005年1月22日 土曜日
今朝、起きてすぐラジオをつけたまま身支度をしていると、
「ダイヤモンド富士のことやってるよ」と彼が言う。
寝起きの頭に予期せぬ単語が飛び込んできてドキッとしながら
耳を近づけてみた。その番組の今日の特集がダイヤモンド富士に関する
ことだったようで、しばらく聞き入ってしまいました。
発見がありました。

バレンタインデーの2月14日、お台場の観覧車の頂点から
ダイヤモンド富士を見ることができるんですって。
なんてロマンチックなんでしょう!
頂点に17時10分に着くのがベストらしいので、頂上まで約8分要するから
逆算して17時2分に乗り込むと良いそうです。
でもこれ、狙ったカップルが何組もいたら争奪戦になりそうですね。
並んでる人たちの進み具合とか、誘導する人のテンポとか、
さまざまな偶然が重なり合ったラッキーなカップルだけが、その至福の瞬間を
見届けることができるわけですね。

でもこんな情報、知ってると競争率が高くなるからあまり教えたくない、
ってカップルもいるだろうし、当日はバレンタインデーだから普通に観覧車前には
ラブラブモードな人たちでいっぱいだろうから、案外そのラッキーな切符を手にしたカップルは
その瞬間、ずっとキスをしていてダイヤモンド富士など見向きもしなかった、とかいうオチに
なりそうな気がする・・・まあ、遠くの富士山よりも目の前の恋人のくちびるの方が
ダイヤモンド、でしょうか。 となんともいえずベタなこと言ってるな、自分。

今日はいいかんじで本がたくさん売れてすごく嬉しい。
最近ヒマだったので、ホッとしました。
本が売れて棚に隙間ができ、そこを新しい本で埋める瞬間、大好き。
久々にその作業がエンドレスだった。
この瞬間こそが、マイダイヤモンド。
と一昔前のコマーシャルのようなベタなセリフで今日は締めくくってみます。

2005年1月21日 金曜日
気になることがどんどんつながっていく今日このごろ、
いわゆる「名画」というものをもっとよく観ておくべきだったな、
今からでも遅くないか、と思っていると
お客さんとヴィスコンティの映画話に。
最近「山猫」をスクリーンで観てきた、ということですが
残念ながらもう終了してしまったようですね。
機会があるならビデオレンタルよりスクリーンでみてみたいですからね。
ヴィスコンティ映画入門編として私に合いそうなおすすめは「夏の嵐」だそうです。
人妻と若い男との恋愛映画だそうで、これだけでもう充分興味深々範囲。
でも見所は、是非イタリアの、シシリア独特の光を見てほしい、と。
カメラマンもいい仕事しているそうで、最初が建物の上部からズーンと迫ってくるような
ショットなんですよ、と説明してくださる様が迫力があって、
ああこのお客さん、ほんとに映画お好きなんだな、と感じて嬉しくなりました。
是非みさせていただきます。そのシシリアの光、浴びてみたい。
また「若者のすべて」もお奨めだそうで、このときのアランドロンは実にいいから、と。
昨日の小池真理子の巻末エッセイにも、ヴィスコンティ映画に登場するアラン・ドロンの
そこにいるだけで醸しだしてくれるほの暗い高貴な色気に悩殺される、って書いてありました。

ただ私はヴィスコンティよりもフェリーニ向きかもしれませんね、とアドバイスして
くださりました。フェリーニは散文、ヴィスコンティは韻文、なのだそうで
(逆だったらすいません・・)とりあえず今年はもっと名画を鑑賞する、というのも
目標のひとつに入れてみようかな、と思います。
レンタル半額の日ねらいで攻めればそんなに高くないし、お金なくても
官能研究はできる! そこはかとない色気を醸し出せるような女店主目指して
日々努力しよう。セクシーランジェリー一枚買うより名画レンタル×10本!

2005年1月20日 木曜日
うちの店で「恋」を購入して読まれて以来、
小池真理子さんの小説にはまっている、という年配の男性のお客さん
「ただどうしても色っぽさに欠ける気がするんだよね、男っぽいというか」
と先日来店された時言われてたのですが、そのお客さんが
「撤回します」とメールをくださった。

詳しくは彼女の「官能論」という本の巻末エッセイのコピーをお持ちしますので、
と書いてありました。そのメールに書かれていた、
「官能は、性器や性行為の中にあるのではない、風景の中にしかない、と私は考える。
男女がいる風景、あるいは誰もいない、ただ風の吹きすぎる木々の梢が連なっているだけの
風景にも官能は潜んでいて、世の中にはそれが見える人間と、見えない人間とがいるだけなのである。 
肉体が衰えるにしたがって、反比例するように官能の気配をさらに深くつきつめていくことが
できるならば、年を取るということは何とエロティックで秘めやかな悦びに満ちていることか」
(集英社文庫の短編セレクション・官能篇「ひぐらし荘の女主人」の巻末エッセイより引用)
というのが私も気になり、待ち遠しい気持ちでいると、さっそくお持ちいただいて
ひととおり読ませていただきました。

なんとなく私が最近よく考えていることのヒントみたいなものがそこにはありました。
小説、映画、絵画など、すぐれた芸術作品の中の色気、たとえば映画ではヴィスコンティ、
音楽ならマーラーの「アダージェット」、とその冒頭にあるのですが、
官能において実体験がある程度制限ある状況であれば、こういったものを吸収して
色気を身につけていくしかないか、と。
もちろん制限された中での実体験が、一番官能に近いかもしれませんけれど。
たとえばシャツの襟元から鎖骨のほくろが覗いただけでめまいを感じたり、とか
見知らぬ男性が隣で携帯電話で会話されていて、事務的なかんじなのに急に優しく
「いいよ」っていうその声色だけでゾクッときたり、直接触れないからこその官能はたしかに在る。
ってなんか私さかりのついた猫みたいかな(笑)

そのお客さんの場合、音楽による官能表現、これは自信があるのでうなづけた、とのこと。
昔、マンハッタンのメトロポリタンオペラのボックス席でワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」や
「タンホイザー」を聞くという体験をされたそうで、官能の極地というべき旋律に
目を瞑っていても身体の奥底から引きづられていくような世界を体験した、
今でもその体験は宝です、と。
私の過去の体験の中で、そういうのってあるかな?と考えた。
一番近いところではあのダイヤモンド富士を撮った瞬間かな、
光ももちろんだけど、あのひと波も揺れることない湖畔の静けさの中の
一斉のシャッターの音に包まれた瞬間、一種のエクスタシーを感じたかもしれない。

って今日の私はちょっとエロい? このへんにしときます。続きはまた。

2005年1月18日 火曜日
今朝、お店ではなかったんですけど
お客さんに会って、
「あ、ちょうど良かった。アレ持ってる?」
って聞かれたんです。
一瞬考えました。普通「アレ」って言ったら、女子の間では「アレ」
しか浮かばない。これはもう条件反射のごとく、
刷り込まれてる。第三世代、第四世代は知りませんが。
ところが、です。そのお客さんは私の母くらいの年代の方だったので、
ちょっと待てよ、と思ってしまったのです。
それにアレ=アレ、は関西だけの話かな?とかいろいろ考えてきたりして。
少し考えて「アレって、アレですよね」と答えると
「そそ、アレよアレ」
ってまるでマンガだよな、これは店圏外の話題だけど
日記ネタ決定だよな、とか頭の中で思いながらも
その「アレ」をかばんから出してみると、正解!でした。
お連れの方がいらしたので、本人様がご必要かどうかは不明ですが
なんかおもしろい出来事でした。
男子の世界では「アレ」はやっぱり「アレ」なのでしょうかねえ?ってなんだ?

ある意味大阪のおばちゃん的なたくましさというか、
気安さというか・・・。
でも実際こういう些細な生活用品というのがないと大変困るのですよね。
10年前に母が送ってくれた緊急時ナップサック、今でもベッドの下にあります。
もしかしたら中に当時のカロリーメイトとか入ったままかも。
今度点検して入れ替えるべきものは入れ替えよう。
もちろん「アレ」もちゃんとチェックしなければ。

しかし店がヒマですね。
おみくじ大吉だったので今年はいろいろ頑張らないと。
というか私、実はおみくじって大吉しか引いた記憶がない。単に忘れてるだけかも
しれないけど。そういえば年始にブックオフ行ったら、くじを引くことになり、
2等3等連続で当てました。それで運を使い果たした?とは思いたくない。
開運連発の幕開けだった、と思うことにしよう。
ちなみに2等は「店内の単行本1500円までの本1冊プレゼント」
すごい太っ腹ですね。でも手加減せず店内一売れ筋かと思われる
単行本を選ばせていただきました。レジの男の子が可愛らしい一生懸命なかんじ
だったこともあって「当たり券で売れ筋持っていっちゃってごめんね」って言ったら
「いえいえ、連当おめでとうございます」とさわやかな笑顔返してくれました。

うちも負けてられん!ということで2月5日、フォスフォレッセンス開店3周年記念の日
には、店内の本すべて3割引大感謝セールを行いますよ!
どうぞお楽しみにー!


見えにくいけど、「大吉」のおみくじをガシッ!とつかんでるところです。
強運はこの両手で必ず!

2005年1月17日 月曜日
阪神大震災から10年ですね。
もしあの日、東京にいたとしたらあの揺れを体感していなかった、
ということが実に不思議に感じます。
京都のアパートでさえ、信じられないくらい揺れた。
あんな出来事がなんの前触れもなく突然やってくるから
それから日々が重くなったはずなのに、いつのまにか忘れてしまう。
忘れたくないから、追悼の祈りの時間を毎年この日は必ず自分の中で持っている。
日々の重さをより深く刻み込むために。

「これからお店をやっていく上で、目指しているものは何ですか?」
と聞かれるたびに、ただ続けていくこと、といつも答えてきた。
求められる時に、ちゃんとそこにあること、難しい事ではないけれど、
決して簡単ではない。でも、逆に終わる時というのはいつか必ず来るのだ
という覚悟もある。いつか人には死が訪れるのだから。
その時に悔いのないように、というのは当然の事なのだけど、
極端に言うとたとえそれが明日であろうと、最終的には受け入れるなくてはいけない。
その時は、ここで過ごされたお客さんたちの時間、というのは永遠に消えない、
そんな場所を創れた。ということを支えにできると思う。

震災に限らず、トラウマになる出来事というのがある。
今でも地震以来、破壊力のある音を聞くとめまいがするとか、
さまざまな後遺症に苦しめられてる人がたくさん存在する。
私もまだ小学生低学年の時に、お風呂屋さんのロッカーに入る遊びが
流行った時に鍵が開かずしばらく閉じ込められた事のトラウマで
閉所恐怖症になったのが、昨年急に症状が過度になってきたりして
とまどったけど、今では自分の体験から来てるのだからこれも運命だと考えてる。
同じような状況の人たちの事がわかるようになった事が、むしろありがたい贈り物
かのように受け入れることにした。

今日の東京の青空はとても澄んでいて、雲がゆっくりと動く
なんともいえない平和を象徴するような日だった。
店は果てしなくヒマでしたが、
お客さんが、「ここの席からは星がきれいに見えますね」と言ってくださったのが
新たな発見だった。閉店前にその席に座ってみたら、
ほんとに星がきれいに見えました。なんか幸せでしたね。

2005年1月15日 土曜日
「この表紙のかんじは良いですね」
と石坂洋次郎の「あいつと私」を一瞬購入しかけたお客さんがおられました。
「あ、わかっていただけます?
この文庫を面だししているのは、なんとなく今、このイラスト気分だからなんです」
イラストは(↓画像参照)沢田重隆。当時の若者像が描かれてるのですが
緑のオープンカー、っていうのがポイントです。
今日オープンカーは目にする事はあっても、緑、というのは珍しいかな、と思って。
なぜ今私がこの気分なのか、これまた私らしくぶっとんだ超個人的な世界観なんですけど。

ユーミンの「DESTINY」という歌で「緑のクーペ」って歌詞が登場するのです。
たしか松任谷姓ではなく「荒井由実」の頃の。
その時代背景や、昔より遊んでるみたいな彼氏、風な歌詞の中の世界と、
この本のあらすじはさておき表紙のイメージが私の中で奇妙に溶け合い、
セットになってしまっているのです。超個人的な夢想なんですけど。
それでこの表紙を見た時、頭の中でその音楽が鳴ったのです。
こういう自分オリジナルな現象、ブームは時折起こるので
その度に目立たせたり、仕掛けしたりするかもしれません。

話戻って購入しかけた方は、「でも今日はお茶だけでにします」ってことで
結局「あいつと私」はまた売れ残りに。

この話はまだ前置きがあって、つい先日、
大学生っぽい男性二人組みのお客さんがレジで本を購入される際に、
「あのー、ここに目立つように面だししてあるこの本売れないと思いますよ」
とその「あいつと私」の文庫を手にされたのです。
その方は、石坂洋次郎が好きではないのかな?と思ったら
「実は研究してたんです」と。
「私が今このイラストの気分なので、そうやって飾ってるんです。
なので売れなくてもいいんですよ」と返答する私を、
変な店主だな、と思ったでしょうね。
でも帰り際に「居心地良かったです」と気持ちいいことを言ってくださったので
なんだかすがすがしかったけど。

そんなやりとりがあった後だったので、売れはしなかったけど、
「あいつと私」の表紙に反応される方がいらっしゃってなんか嬉しかったです。
これも見てもらえることによって本に気が入ったからかも。
この棚におさまっている多くの本たちも、皆出番を待ってる気がする。
死に筋、って返品する書店員時代とはもう違うのだから
「わたしゃあ売れない負け犬だわ」なんてぼやいてる本の声に
ちゃんと気づける私でいたいので、いろんな気分になって眠ってる本を
時々ピックアップしてあげたい。


緑には緑を。
左は「茶色の指」の持ち主の私が今年なにか形あるものを育てたい、と
手始めにお正月に購入したシンゴジウムです。まずこいつを育てられたら
もう少し仲間の植物も増やしていこうかな、と思ってます。どうか枯れるな!育て!

2005年1月14日 金曜日
昨夜のドラマ「優しい時間」効果? 
コーヒーを飲みに来られるお客さんが多かった一日でした。
ブラウン管からコーヒーの香りが漂ってきたらいいのに、なんて
思ってしまうようなドラマでした。寺尾聰演じるマスターのセリフで
「お客さんと話してる時、なんともいえず優しい気持ちになることがある」
っていうの、すごいわかりました。そう、そんな時間が好きだから
この道を選んだのかもしれませんね。
北海道かどこか遠くの、テラスのある喫茶店、行ってみたいな

今日はなんだか一日中気分良く過ごせました。
そういう日って決まって朝の幕開けがいいから、って事が多い。

今朝、目を覚ましてしばらくラジオをつけていると、
とても魅力的な男性の声が。
誰これ誰これ?と耳を澄ましていると、岡田準一でした。
もう何人もの人に「あなた絶対観にいくでしょ」とか「こういうの好きそうよね」
と言われている「東京タワー」、もちろん観にいくつもりでしたけど、
正直岡田準一のシャワーシーンが見れるなららモトとれるわ、と思ってました。
でも声にも注目して鑑賞してみようと思います。楽しみ。

そんないいかんじの目覚め方で、テレビをポチッとつけてみると、
ジョージ・クルーニーとブラピが!
朝からいい男ばかり見れてなんだか今日は縁起が良い。
私はどちらかというとジョージ・クルーニー派かな
あのアゴがいいんです、アゴが。賢さが滲んでいる品の良いとがったアゴ。
私の中のDNAがこう、ざわーっと毛羽立つのがわかるんです。
毎朝こんな目覚めだと理想なんですけどね〜

2005年1月13日 木曜日
今日はヒマでしたが、売り上げは良好でした。
本はたった2冊しか売れなかったのですが、
そのうち1冊が店内で一番高い本だったのです。
建築家である宮本(旧姓中條)百合子の父が書いた本です。
ロマンスグレーの男性がお買い上げくださいました。
太宰治の本のコレクターでもあるそうで、
「駆け込み訴え」は赤本、青本ともお持ち、「晩年」も初版でお持ち、とのこと。
店内をちょっとグルッとされただけで、さりげなく棚さししてある
当店で一番高い本に気づかれるとはさすがですね。
「この店には前から注目していたんですけど、なかなかチャンスがなくて」
と他にも太宰のエピソードを話してくださった。

その方のお父様が昔、太宰と玉突きをしたことがあるんですって。
太宰に、「玉突きはね、まずポウズだよ」と教えたらしく、
酔うたびにその話を自慢していた、とか。
こういう生の話が聞けるのはまさに嬉しい瞬間ですね。

「本もいいけど、夢二風の千代紙とかも売っていたらいいですね。
夢二のスポンサーって三鷹に住んでいたんですよ、
だから三鷹で夢二は絶対受ける筈ですから」と。
なるほど、いい事を聞きました。それは知らなかったです。

ちなみにもう1冊売れた本は、みうらじゅんの「やりにげ」です。
いや、こちらもなかなかいい本だと思いますよ。常備したい本の1冊です。

2005年1月11日 火曜日
ついに店主、グラビアアイドル雑誌進出か!

ってもちろんちょっとずれてるんですけどね。
本日は雑誌「サーカス」の取材がありました。
今出てる号は野村誠一が撮った優香の表紙、といえば
心当たりのある方もいらっしゃると思います。
20代30代ビジネスマン向けで、今結構勢いのある雑誌
なのですが、最初は、ん?どうしてこの雑誌にうちの店が?と思いました。
メインはビジネス、起業について考える内容。
男性が登場しているページは主に社長さん、姜尚中も!
マネ虎でおなじみの堀之内社長や安田社長などだけど、
女性の登場ページはほとんどお色気路線。胸チラ、パンチラ当たり前。
杉本彩の胸があらわになったグラビアページなどもあり。
特集も「2005年型最新出会い系スポットガチンコ検証」や
「現役OL生態図鑑」など、思わず読み込んでしまいましたけど。

読み進めていくとかなり小さいですが該当のコーナーを発見しました。
「人気古書店の店主が選ぶ一冊」というコーナーを。
ホッとしましたが、実はついにこの小さめだけど美乳を晒す時がついに
来たか、と覚悟してたのに少し残念でした(激しく冗談です)
このコーナーには既に古書店店主が何名が登場したそうですが、
女性店主は私がお初らしく、正直嬉しく思います。
昨日の本にシンクロ状態、じゃないのですが、
取材の話が来る前に書店でこの雑誌を見かけた時、
雑誌のその姿から匂い立つようなものを感じ取りました。簡単に言うと勢い、かな。
↑のベクトルを感じたものに誘われた運命を歓迎します。

取材の方も和やかに、スタッフさんと三鷹オスカーの話題などで盛り上がりながら
進行。ゴダールやフェリーニを名画座通いで見れた当時の時代の人たちが
羨ましいです。また三鷹に復活してほしいですね。

最後に写真撮影、ということで緊張しましたけど、
こんなポニテ熟女が古本屋店主、ってのも
もっと世の中に知ってもらおう、と腹をくくりカメラに笑顔を。
カメラマンさんに「はい、笑ってー」「もっとー」と何度も言われ
歳のせいか顔の筋肉のキープが長時間持たない。笑顔ひきつりつつ
「少しグラビアアイドル気分を過ごせました。熟入ってますけど」
とか冗談のひとつも飛ばしながら和やかに終了。
でもここで「笑えません」って人の気持ちもすごくわかるな
そういう人も応援したい。私は現金な奴なので笑いますけど。
それにもっと広い意味で、笑顔は万物の根源だと考える主義なので私は平気。

てことで2月4日発売の「サーカス」をお楽しみに。
ちなみに次回の表紙は釈由美子さん。
店紹介はとても小さなコーナーなのですが是非みつけてくださいね。

2005年1月10日 月曜日
昨日私がいない時に例のCDコンポを持ってきてくださったようで
大変感謝しております。
SONYの液晶にインベーダーが出てくるというスタイリッシュなコンポで
従来のやつより数倍ハイスペックで、なんか申し訳ないくらい満足しております。

ただ閉店時に問題発生。
私がメカ音痴なのは言うまでもないのですが、
音の止め方がわからないのです。
いろんなところを恐る恐る押してみたけれど、無反応。
ひたすら音の鳴り続けるコンポの前で悩みまくってしまい、
とうとう降参していきなり電源OFF押してしまいました。
本日の朝、ますたーに使い方講座をしてもらったのでもう大丈夫。
なんのことはない、オフのボタン類が本体の上部についていて
私の身長では視界に入らない所にあったのです。
「これはね」とひょい、と私を持ち上げて説明する姿にちょっと萌え、でした。
大切に使わせていただきます!

お客さんと本のシンクロ現象について話す。
図書館で読んで気になっていた作家の本に、その直後行った古本屋でふと出会ったり
本が本を呼ぶ、みたいな事ってあるね、って。
それは恋愛においても言えてますね、と振ってみると
「逆に言うと私はシンクロ現象のようななにかが起きないと動きません」
って結構マジな答が返ってきました。なるほど。

シンクロとはニアミスな話。昨日の夢の話に通じるかな?
大阪のおばちゃん、にもある意味通じるかもしれない。
女性のお客さんから、「だばさんが夢に出てきたのよ」と言われました。
ドキッとして、「まあ嬉しいです。どんな夢ですか?」と聞くと
「言っていいの?本当に?」と何度も確認されるんです。
「どうぞ」と繰り返し言いながら、よっぽど悪い夢かな?と思うと
「妊娠した夢」ですって。「予定日は6月」ってなんか具体的(笑)
驚きましたが、「6月予定ならまずありえないので正夢ではないですね」
と爆笑しました。いやー、その夢に潜り込んでお腹の大きな自分を見てみたいものです。

となんとも不思議な日でしたが、終わりよければすべて良し。
太宰ファンという井川遥似の女性が資料にひとつひとつゆっくり目を通されながら
お茶タイムを過ごしていただいており、なんだか嬉しかったのです。
お会計の時少し話せましたが、あまりの魅力にドキドキした。
こんな女性に愛されるなんて太宰は幸せものですよ。

2005年1月8日 土曜日
今日は久々に「大阪のおばちゃん」的なお客さんが来店し、
いい刺激になりました。
初めて入ってみたわ、と来店されるなり
「あら、あなたお若いのに税金対策?」
思わず噴出してしまいましたが
「いえ、一応商売としてやってますけど」という私に、
「えー?これで儲けられませんよね、あなたなんか不思議な人ね、
私俄然と興味がわいてきたわ」とその後はたたみかけるようにしゃべる。
こっちのプライベートとか一切おかまいなしに、どんどん質問する。
でもなんだか悪い気はしなかった。
それはなんとなく大阪のおばちゃんのような、あっけらかんとした物言いのせいだと
思います。「ご主人いつく?何やってらっしゃるの?どこの人?男前?」みたいな。
矢継ぎ早に質問、とかってあまり東京や京都の人は聞いてこないので
といっても勿論その人によるんですけどね。
やっぱりここの店ってこれで成り立つとはまず思われないのだな、
というリサーチにもなりますし(笑)
そのあっけらかんが心地よくもあり、田辺聖子さんの本が読みたいような気分にさせられました。

お正月って実家付近で友達同士が集まる機会もあるから、
懐かしい人たちの近況ニュースなどを交換できることもありますよね。
それでわかったんですけど、中学の時の同級生である現在アメリカ在住の友達が
歌手を目指して頑張っているということで、サイトで彼女の写真と歌声を聞きました。
当時とはものすごく変わっててびっくり。私がいつかCD出すーとかほざいてる内に
彼女は確実に努力し、曲をつくり、こうして世に出し、ってことにすごい刺激を
受けました。口だけではほんとダメですね。

新年早々良い啓示が続いているので今年は期待したいですね。
そんな私の初夢は、UFOに自分の店を爆撃されそうになる夢。
そしてその瞬間思ったことは、どうせ死ぬなら本の下敷きになって、がふさわしい、
歩道から自ら自分の店の中へ飛び込んでいく、もうすぐ頭の上に爆弾が落ちてくる、
そこで目が覚めたんです。これは良い夢なのでしょうか、それとも正夢(こわい〜)?
よく夢って反対の意味がある、っていうのでそっちを信じよう。
昔、好きな人とキスする夢見た、ってはしゃぎまくる私に
「ばかね、キスの夢は相手の裏切りを示すのよ」と占いに詳しい子から教えられ
ものすごいショックを受けた覚えがあります。たしかにその後、その人と縁切れました。
まあ今年頭上に爆弾が落ちてくるから今を死ぬ気で何事も頑張れ、ととりましょう。
やっぱり絶対やだけど。

2005年1月7日 金曜日
新年早々、もっと気をひきしめなくては、と感じる一日でした。
現状が心地よく、その状態に甘んじると停滞してしまう。
常に自分を高めようという空気感を持った人(となんとなく勝手に感じ取った)
が朝いちで訪問し、ピリッと一気に店内がはりつめた雰囲気になりました。
私はといえば、普段うちの店は開店直後にお客さんが来店するケースは
極めて少ないので、まだ掃除の段階ですっかり気が抜けてました。
出勤前のわずかな時間の中立ち寄ってくださり、目的の本をぱっと購入し、
さわやかな笑顔と一言を残され足早に去っていかれた女性、
背筋が伸びていて、こぎれいな、無駄のない動き。
レジでがま口をパチンとしめる音をさせた瞬間、もう頭の中が出勤モードに
切り替わってるかんじで、こちらまでいい緊張感が伝わってきました。

その直後、トイレ掃除の続きをしていると、若い男性のお客さんが来店。
大江健三郎、遠藤周作、ドストエフスキーの文庫を購入された後、コーヒーを注文。
奥の席で熱心にそれらの本を読まれていたのですが、
「あのー、こちらの席寒いのでこっち側に移動していいですか?」と。
どうぞどうぞ、ごめんなさいね、開店直後はなかなか暖房が奥まで行き届かなくて、
と私。 最初の1時間に人があまり来ないから、と油断してるようではなー、
と感じさせられましたね。だったら12時からにした方がいいのでは?と
今のところは思わない。この先どうなるかわからないけど。
わずかな午前中の1時間を大切にしたいのです。
特に冬、冬の朝は毎日新しく更新できる気になれるから、
午前中を無駄に過ごしたくない。だからこそ、そんな午前中の時間を
この店で過ごそうと思ってくれる人に対して失礼のないようでいなければ。

午後にもある仕事中の女性と電話で話す機会があったのですが、
あきらかにこちらと時間のまわり方が違う空間同士で話してるな、と実感しました。
私がうまく伝えられない事をもどかしくもゆっくり話していると、
「なるほど、わかりました」と話が早い。決して生返事ではなく、
相手の方の頭の回転の良さ、その方の環境におけるスピード感まで
受話器の向こうから伝わってきたのでした。

随分と長い間、仕事におけるプレッシャーや胃が痛むような緊張感を味わってない。
今は結構ぬるま湯にいるのかもしれない、とも思い、今年はもっと触発の年に
しなければ、居心地の良さに浸るのでは成長がない、と決心する。
ここに書初めのように記しておけばなんとか頑張れるかも。

2005年1月6日 木曜日
新年あけましておめでとうございます。
本年もフォスフォレッセンスをどうぞよろしくお願いします。

初めて年越しを東京で過ごしました。
滞っていた家の片づけがなんとかできたので、良かった。
年末年始は交通量が減るせいか、珍しく澄んだ空の東京、
こちらでのんびりと過ごすのもなかなかいいものです。
いつか余裕ができたら、それこそおせちをつくったり、着物を着てでかけたり
したいですね。日本人ですからね。

私はといえば、家の掃除以外には、お客さんや友達からいただいた展覧会などのチケットを
無駄にしないためにも、この連休がチャンス、とでかけていました。
銀座の金子みすず展、良かったですよ。半泣きになってしまったくらい。
そして渋谷の竹久夢二展、これも良かったですね。着物で来られてるお嬢さんが何人か
おみかけしましたけど、いいものですね。私も着物着たいー
夢二の描く着物の女性の身体のラインって独特な色っぽさが印象的ですけど
決していやらしい意味でなく、女性の着物姿の腰のラインって、なんか見ていて平和を感じる。
丸みのあるものというのはやはり穏やかな気持ちにさせられますね。

ますたーといえば、トイザラスでラジコンを買ってきた、とか言って
私が掃除機かけてるのに、そのすぐ傍で嬉しそうにラジコンを走らせてました。
物が多くてせんまい部屋なので、1メートルと持たずすぐ車が横倒れになるんですよ。
それなのにめげずに何度もトライしてる。嬉しそうでしたね。子供みたいで男の人っておもしろい。
そんなかんじのお正月でした。

また日常に戻っていきますが、そのことがあまり苦でなく、、むしろ嬉しい。
その点は、子供時代よりも今の方が充実しているかもしれない。幸せなことかな
いやしかし子供時代はお年玉があったんだった。財政的には相変わらず厳しいので
そこがつらいところかな、今年はもうちょっと頑張ってそこのところクリアしていきたいですね。

通常営業に戻ったお店に是非ご来店くださいね。お待ちしております。

inserted by FC2 system