2006年7月31日 月曜日
長い梅雨がやっと明けましたね。
週末にお客さんからメロンとスイカの差し入れをいただいたんですよ。
一気に夏が来たかんじです。
今こんな本を飾っているので、余計に旬なかんじで美味しくいただきました。



中野で売っているという、カラフルな飴もいただいて、そこにはフルーツ、サクランボの
イラストとか、ちっちゃく「LOVE]とか書かれてあって、フルーツの絵の飴はそのフルーツの
味がするんですよ。サクランボは食べちゃうのがもったいなくて・・・でも今食べました。

やっぱり果物っていいですよね。女の身体を生き返らせる効果がある。
今沖縄もののフルーツのアイスやジュースにはまっています。セブンでフェアやってますからね。
あとはアイス。断然アイス!ピノのミントは毎日のようにお店で食べてるし、
家の冷凍庫には大好物のパルムが入ってるのでご機嫌です。
あの濃厚さがたまりません。時々サミットで200円台でパックで安売りしている時だけ、
パルムを買っていい、という事にしています。ピノだって85円で買えるのでやはりスーパー
はお得ですよね。

とさんざん食べ物について語ってしまいましたが、今日はとってもキュートな女性が
やってきたので、何食べたらこんな可愛くみずみずしいのでしょ?
やっぱフルーツ?ヨーグルト?と思いつつ、最後までそれを聞けなかったのです。

私もこの歳で時々愛読しているファッション雑誌「spring」の取材がありまして、
来店されたスタッフの女性が、そのみずみずしい人。
なんとなくエビちゃんみたいなかんじの方でしたよ。
「素敵なお店ですね、またプライベートで来ます」とひまわりのような笑顔を残していかれました。
8月23日発売の次号のブックストアセレクトのコーナーで、ちらっと紹介される予定です。
よろしかったら見てくださいね。


2006年7月29日 土曜日
開店一番で、先日お伺いした「いるかや」店主さんが来店。
最初はちょっと緊張しましたけど、色々と楽しくお話する。
開店以来、特に宣伝に力を入れる事はなく、来てくださったお客さんの口コミで
広がっているようで、まさに理想的なカタチだな、と思いました。

なんでも京都の商店街の中にあるカフェ店主さんが、同じように
商店街の中で頑張っているカフェという事で、京都の同業者の人やカフェ好きな人に
おすすめし、京都から新小金井のお店にやってきてくれるお客さんが増えた
んですって。すごい話ですよね、これ。
京都から東京に来て、23区のみではなく、新小金井にいい店がある、と聞きつけて
足を伸ばす、というところが。さすが粋な京都人。
美味しいコーヒーをたしなむそのひとときの為ならおでかけしましょ、ってかんじでしょうか。

雑誌やネットからの入り口ではなく、実際お店に行って、店主さんの
お人柄やコーヒーの魅力に触れ、どうしても人に教えたくなる気持ちを抑えられない、
その気持ちが人から人へ伝わっていく。
それも不特定多数ではなく、まずは自分の知っている人から、というのがいいですね。
そういう輪が広がるというのは、根強い。

CWニコルさんの自然の学校に行かれていた事や、民俗学を研究されている事、
自然のルーツは民俗学に行き着くことが多い、というのは興味湧きました。
信州のおすすめスポットのお話(シャロムヒュッテや妙高高原の露天風呂など)
などまた私の自然・雑木林への熱い気持ちが再燃しました。
今度お店に伺う時は、野川公園とセットで行きたいです。

そういえば昨夜テレビでトトロやってましたね
トトロといえば、あの八国山の比較的お近くにお住まいだというお客さんが来店
されたので、「今度行ってみたいと思ってるんです!」と言うと、
「女性ひとりで行くのはできるだけ避けた方がいいかも。充分気をつけて」と言われました。
まさか、トトロ詐欺が多発してる?「オレオレ、そう、トトロ」なーんてあるわけないか(笑)

しょうもない冗談言ってる場合でなく、
聞いて良かった。私のいつもの夢子ぶりをおおいに発揮というか、
スキップして「トットロ〜♪」と山のてっぺんまで行けそうな気がしていましたが、
暗くなったらきっとひっそりしているでしょうし、行く時は現実的な計画を立ててでかける事にします。


2006年7月28日 金曜日
お客さんと「ゆれる」の話など。
心理劇というか、とにかくタイトルどおり約2時間ずっと揺さぶられっぱなし、
私は佐渡でフェリーに乗った時の感覚を久々に思い出してました。
劇場ごと船に乗ってるみたいに、周りもシーン、とすごく集中して観てた。

久々に映画を観て欲情しました(久々の大胆発言だな)
オダギリジョーってスクリーンで観るとこんなにいいんですね。
顔よりも、身体つきがすごくいい。(なんかドすけべなおばさん丸出しですいません)
後姿もいい。Gパンのヒップと足のラインの曲げ具合まで絶妙に美しい。
有頂天ホテルの時もある意味別キャラですごく良かったですけど、
ただただ彼が動くのをずっと見ていたい、みとれていたい、そんな気持ちでした。
ジョニーデップと同じ匂いのフェロモン出してますね。

一番「ゆれる」を感じたのは、真木よう子とゆれていたほんの一瞬のシーン。
ダメですね、私。難しい事は何ひとつ言葉が出てきません。
頭や目でなく、全身の皮膚で映画を観たようなかんじなんですよ。

あとこれって私の視点から勝手に言わせてもらうと、実にフォスフォレッセンスみたいな
映画だと感じました。夢と現実が交差していて、最後のシーンは、まさに
小説最後の一行の「phosphorescence」と同じ種の余韻を残した。

西川監督は、香川・オダギリ主演の2人に、太宰の「駆け込み訴え」を
事前に読むように助言したらしいですね。わかる。
そしたらお二人とも、「狂ってるね」って感想だったとか(笑)
あの2人に狂ってると言わせる太宰も凄いけど。

主演のお2人の迫力は物凄かったけど、鑑賞後私が印象に残ったのは
地に足がついている人の底力。新井浩文が演じた、真面目にガソリンスタンドで
働き、奥さんと子供を大事にしている役柄。田舎で地に足をついた生活をする事、
精神的に落ち着いた大人の静けさと内なる力強さ、そんなものがわずかなシーンながら
とてもズッシリきました。
しかし「ゆれる」っていいタイトルだな。しばらくは余韻に浸れそうです。


「ゆれる」のパンフはポストカード付になっていて、結構いいかんじ。
登場人物と渓谷の美しい緑がカードになっています。
キム兄ファンの方、香川ファンの方、で「オダギリジョーのカードあげるから交換して」
って方がいらっしゃったらトレードしませんか(映画の良さ語った後で本音ぶつけてすいません)


2006年7月27日 木曜日
うちのお店の片隅に密かに「お客様のお探し本ノート」というのがあって、
それを見られたお客さんが、「これ持ってるので譲ってもいいです」って時に
声をかけていただける事がたまにあるのですが、
「やまだ紫さんの「ゆらりうす色」お探しの方がいらっしゃるのですね。
この本なら持ってるので次回来店時にお持ちしますね、読みたい人があるのならその方がいい」
と言ってくださっていたお客さんが
本日本を持ってきてくださいました。やっとお探しのお客さんにお渡しできます。
私も仕入れの時にできるだけ意識して探すようにしているのですが、
お待たせしてしまう事が多いので、こんなご縁がこのお店で生れるととっても嬉しく思います。

そのお客さんは、例の「風紋25年」を貸してくださった方で、お礼を言ってお返しすると、
今日は井上ひさしの「太宰治に聞く」も持ってきてくださって、
「ここに林さんの文章が掲載されています」と栞をはさんでおいてくださりました。

「僕は決して死なない」というタイトルで、前出の本にもこの事は書いてありましたが、
太宰が「僕は決して死なない。息子を置いて行くわけにはいかないんだ」と答えた事、
太宰は手のすごくきれいな人だった事、など前回同様に興味深く読ませていただきました。
「死ぬわけにいかない」のところは何度読んでもグッときてしまいます。

間接の一つひとつが長く、その指で煙草をくわえて口に運ぶ仕草が素敵だった、と
いうところを想像しながら余韻に浸っていると、蝉の声が聞こえてきて、
ああ、今年もあの暑い夏がやってきたんだな、としばし物思いに耽っておりました。


2006年7月25日 火曜日
お店を例えば50年続ける、とかってどんなかんじなのだろう。
もうすっかりその場所にあるのが当たり前になるかんじ?
思い出も50年分、ここにあり、というのはすごい事だな、と思う。
お客さんから、新宿でもう50年以上続いているバーにこの前行ってきた、
という話を聞いた事と、風紋の本を読んだ事がきっかけで、そんな事ボーッと考えてみた。
なんでも三島由紀夫のポスターが入り口(だったかな?)に貼られているお店
だそうで、ちょっと興味あり。私はお酒があまり飲めないのと、閉所恐怖症、
煙草のケムリがダメ、の3点セットでバーとかに行く機会はあまりないのだけど、
アングラな世界には中途半端に興味があるから困ったもので。
しばらくはお客さんのお話や、本などでのこぼれ話でそういう地下の匂い、
みたいなものを楽しもうと思います。

SPOONの「読書リゾート」という特集名の、水色のポップな雑誌を
お客さんが、「これ、買ってもいいですか?」と声をかけてくださる。
「勿論ですとも。是非是非」とお答えすると、
「でもこれ、ほら見てください、このページとか、夏向けのおすすめ本たくさん紹介されて
ますよ。品揃えの参考になりませんか」と言われ、
たしかにそのページを見てみると、すごくいい。参考にしたくなってきた。
でも「ありがとうございます。でも気に入ってくださったのなら是非どうぞ」と再プッシュすると
「じゃあ貸しますよ」みたいな、ノリノリ状態で(笑)
どちらかというと、新刊書店のスタッフさんが腕を振るってコーナーの参考にしやすそう。

こんなふうに、ずっとある店の忘れられかけた在庫本に、新しい風を入れてくれるのは
私よりもお客さんの方が得意な場合もある。
ずっとお店にあったのに、最大限の魅力の引き出しをしてない、気づけてない
私の怠慢もあるのだけれど。この方はよく来て下さるお客さんで、
「自分の趣味と似た傾向の本屋が近くにあるということ、とても幸せな事と思ってます」
と言ってくださったその一言がとても嬉しかった。
今日はなんとなく私の負け、な気がしましたけど、次は「ま、負けた!」と思ってもらえる
くらいなクラクラくるような幸せをここで感じてもらえるよう、在庫本をもっと磨きを上げます!


2006年7月24日 月曜日
新宿にある「風紋」という文壇バーについての本をお客さんが貸してくださって、読み終えました。
前にも一度日記で書いたと思うのですが、このお店のオーナーは、太宰の「メリイクリスマス」
に登場するシズエ子ちゃんのモデルになった林聖子さんという方なのです。
この「風紋25年」を読むと、どれだけ聖子さんが魅力的な女性なのかが、目に浮かぶようです。

三鷹書房で偶然に太宰と聖子さんが再会をされた出来事を元に小説にした「メリイクリスマス」
が掲載された中央公論の新年号を、太宰は「これ、僕のクリスマスプレゼント」と
林さん親子の家に訪れたそうで、なんとも羨ましく、またそんな粋な贈り物をする太宰を
ますます好きになっちゃったりして(この私めが、です)
生涯ずっと大切にしておく宝物、っていいですね。

太宰が亡くなった後も、あの「メリイクリスマスの美少女」がママのバー、となれば
そんな人がやっているお店があるだけで、なんだか救われるものが、太宰と交友のあった
文壇関係者、太宰文学の虜になっていた文学青年たちにはあったのではないかと
想像するのです。また聖子さんも、どこか太宰に見守られているような気がする、という
ような事を書かれています。なんだか読んでいて目頭が熱くなってしまいました。

太宰にぞっこんだったという出英利という、聖子さんの恋人だった人がとても気になります。
文学に身を捧げ、酔って線路で列車に轢かれて死す、というのは、
なんだか「嫌われ松子」でクドカンさんが演じた、自称太宰の生まれ変わり男・八女川を少し
思い出しました。哲学者出隆氏の二男とのこと、機会があったら調べてみよう。

松子を公開している映画館に、その八女川の部屋のスチール写真が貼ってあって、
太宰のポスターが写ってるんですよ。その写真がとっても欲しくって、お店に飾りたい
なんて思ったので問い合わせしてみたら、やはり返さなくちゃいけないものだそうで。
この映画はほんとにハマって、好きで、特にあの独特な部屋のシーンの虜になった事、
その事実も、生涯の宝物のひとつになってるからいっか。
DVDを買って見る習慣はないので、もう観れないかもしれない。
2006年のスクリーンに映った太宰、しっかりと目頭に刻んでおこう。


2006年7月22日 土曜日
お客さんが、「先日奥多摩に行ってきたんですよ」と来店。
昨日の日記に書いたように、多摩の森や林に今関心があるのでとってもタイムリー。
バイクツーリングで青梅まで1時間もしたら余裕で着いたそうな。
払沢の滝、という有名な滝があって、マイナスイオンをめいっぱい浴びてきました、
なんて聞いてたらますます行きたくなってしまった。

そしたらカップルのお客さんが来店され、ものすごく楽しそうにされていて、
幸せそお〜、とほくそえんでいると、
「前から一度来てみたかったんですよ」と話し掛けてくださってから、
小一時間くらいずっと爆笑タイムでした。
ご主人は阿佐ヶ谷で個性派古本屋を営まれていたそうですが、
今はやめられて、でもまたいつか古本カフェを開きたい、という願望もおあり、とのこと。
一見ソフトなかんじのご主人が、話すとめちゃくちゃ面白い人で、ギャンブラー街道を
まっしぐら。 先にいらっしゃったマイナスイオンを浴びたお客さんも、ちょっとギャンブルに
興味アリ、のようで、情報交換話に花が咲いてました。

1年の三分の二くらいは、放浪しているくらいで理想、と言い放つご主人ですが、
奥さんがしっかりしているから言えるんだろうな、横でチャチャを時々入れる様子が、
なんだか夫婦漫才のようで、常に私はお腹を抱えて笑ってました。
奥さんは、太宰好きで、好きな作品は「正義と微笑」らしいです。
それを聞いたら、なんとなくご主人に惹かれたのが少しわかる気がしました。

この、「1年の三分の二くらいは放浪してるくらいが理想」っていうのは、
ほんの少しだけ同意。 多分実際そうなったら困るのは目に見えているし、日々の生活を
いつも一緒にいるから夫婦なのだと基本的に思ってはいるのですけど、この先何十年も一緒
にいるのなら少々バリエーション付けるくらいの方が面白い場合もありそう。

というのも、先日の休日、なんか気分が良かったので、ふと夫に
「今からどっか一緒に行かない? 東小金井駅前にいます」と携帯メールを打ったんです。
で、駅前のモスバーガーで、190円の煎茶を飲みながら返事を待ったんです。
駅の出口から流れて家へ帰る人々を見ていると飽きないし、本もあるのでいいんだけど、
一向に返事が来ない。 武蔵境まで移動して、イトーヨーカドーの書店やCDショプなど
うろうろしても、返事が来ない。諦めて家へ帰ったら、張本人は気持ち良さそうに寝ている(笑)

なんで・・・なんで返事くれないのよーーー!と激怒してみせるも、反応薄し。
あかんわ、この人・・・と思いつつ、ちょっと独身の普通のカップルみたいで新鮮でした。
相変わらず店主さんの趣味って変わってるな・・・と多くの人が思うでしょうけど、
この場合の彼の返事を「待つ」という時間、待っている自分に酔えるタイプの人なのでしょうね。
夕刊にちょうど角田さんが「太宰の『待つ』が好きで」と「ドラママチ」についての記事読んだ
ところなので、待つモードになっていたのでしょう。

この文だけ読むとなんか夫が非常識人みたいなかんじですけど、決してそうじゃなく、
きっとこの日の私は、ほっておいた方が吉、と察知したのだと思います。
店に関する事とか急を迫る用件は、ちゃんと即レスくれますから。と一応フォロー。
なんかまとまりないけどそんなわけで無理やり終了。


最近私と夫の間で大ブームなのが、100円ショップで売ってる癒しグッズ。
特に右端の首に巻くヤツは取り合いになることも。これを首に巻いて寝てる姿、
可愛くて怒る気持ちもトロ〜ンと溶けちゃう。この顔、いいでしょ


2006年7月21日 金曜日
夏はちゃんとやってくるのでしょうか?
というくらい、今年の梅雨は長いですね。被害もたくさん出たりして、
雨を楽しむ気持ちも、ちょっと不安色に変わってきている今日このごろ。

お二人連れのお客さんが、10冊くらい絵本をまとめ買いしてくださった。
なんでも折り紙に凝っておられる、ということでうちの店に片隅にちょこん、と
あった朝顔に、「見せていただいてよろしいですか?」と関心を持たれる。
「ちゃんと奥の方がだんだん色が薄くなっているところとか見事ねー」と
つぶやきながら、ご自分でも知らぬ間に、「仲間がいるといいよね」
と、かたつむりを折って見せてくださったので、早速横に飾らせていただく。
もう少し、雨に似合う光景を窓辺に佇ませておこう。



そういえば、かたつむり、東京に来てから一度も見ていない。
どこに隠れているんだろう?

三鷹市生活環境部環境対策課の方が、生物観察会のお知らせのチラシを
お持ちになって来店。
「御岳山の森林・水辺の生物観察会」で、小学生とその保護者が参加できる催しです。
案内役は、自然保護の仕事をしているレンジャーの方々で、森や沢のことを質問できる
みたい。詳しくは店内にチラシを貼ってますので、三鷹市のお父さんお母さん、興味が
あったら参加されてはいかがでしょうか?

私もこのところ、自然や雑木林にすごく関心が向いてきて、多摩の良さを発見したくて
ウズウズしています。昨日の日記に書いた店主さんも、自らを「森の人」と言われてました。
「どうして、この新小金井駅の近くにお店を出したのですか?」と質問すると、
自然に関するお仕事もされていて、近くに森や雑木林のある場所、プラス街、という
環境を探してみたところ、野川公園に近い今の店か、同じく雑木林が近い東村山が
候補に上がったそうなのです。

東村山って、関西人の私には、志村ケンの「いっちょめいっちょめ、わおおお!」で
名前だけは知っていて、ある種の憧れみたいなものはありましたけど、まだ行った事なくて。
まさに幻の場所? でも、近くに「となりのトトロ」の森のモデルにもなった八国山という
ところがあって、すごく気持ち良い場所のようなのです。森の話をいきいきとされる店主さん
のお話を聞いていたら、すごく行きたくなって。
その山までは自転車でも行ける、わかりやすい一本道になっているそうなのです。
ということで、いつか体調バッチシ!で朝早く目覚めた休日、があれば、いっきにチャリで
家から飛ばしていこうかな?って思ってるんですけど。無謀かな?
まずは、野川公園で、骨ならし、かな。
とにかく森とか、雑木林に行ってみたくてたまらない、今日このごろの私なのでした。


2006年7月20日 木曜日
大雨続きですが、そんな雨の中、昨日は美味しいコーヒーを飲みに行ってきました。
先日お客さんに教えてもらった、西武多摩川線新小金井駅近くの「海豚屋」と書いて
「いるかや」と読む、カウンター5席だけの小さなお店なのです。
お客さんがこのお店を知る事になったのは、「本気でコーヒーいれてる人がやってる店」
と同僚の方から聞いて。つまりクチコミでお店に行ってみて、すごく気に入ったということで、
お店の事、店主さんの事など、聞いているとすごく行きたくなって、
初めて西武線に乗ってでかけてみたのだけど、お客さんが教えたくなるのわかる、って
かんじ。まさに「本気でコーヒーいれてる」ところが実際見れて、実に幸せな気分で
過ごせたんですよね。トレプチさんのロールケーキも、珈琲同様とっても美味しい。

他にお客さんもいらっしゃったし、コーヒーいただいたて今日はサクッと帰ろう、と思っていた
のですが、お会計の時に、「ここはどなたかに聞いてお知りになったのですか?」と
店主さんに質問されたので、「本気でコーヒーいれてる人がいると聞いて来ました」
と答える。「どなたに?」という流れで、私も三鷹で古本カフェを開いている事を話す。

すると、「え?つい4,5日前、そちらのお店の話題で常連の方と盛り上がったんですよ」
と驚きのお答えが! 古本好きなお客さんが多いそうな。
では、うちの店に来てくださってる方がこちらにも?と思いきや、
「実はまだ誰も行ったことがないそうで、俺が行く、いや、俺が先に行くんだ!とか言い合って」
ということで、大笑い。いや、このパターンは珍しくないのですが、
この、もはや定番化した「結構有名な店だが、まだ誰も実際に足を運んだ事がない」
という謎のお店風な印象、実は私が一番気に入っている(笑)

そしたら隣にいらっしゃったファンキーな(死語!)若者の男性お二人組が、
「知ってる!超有名!」とか反応してくださって、あ、ありがとうございます、ってかんじで大照れ。
おひとりの方は、「お店の事、なんでも聞いて!」と私のすぐ真横で言われる素敵な方で(笑)
もうおひとりの方は、「太宰って、元祖ビジュアル系、元祖パンクですよねー
俺、昔電車の中で太宰読んでたばっかりに、ドイツ人とホームで殴りあいのケンカした事
あるんですよ」なんて、あなたがパンク大王です!みたいなエピソードを披露してくださったり。
小さなお店ならではの出会いがあって、とっても面白かったです。
ほんと、ノリのいい方たちで、すっかり気持ちよくなっちゃいながらお店を後にしました。

お店を開いて良かったな、という心地良い余韻に包まれ、東小金井駅まで歩く。
私のお店の話題で、盛り上がるひと時があの素敵な空間で確実にあったなんて、
なんて嬉しい事だろう。また、「本気でいれてる珈琲」を目の当たりにして大いなる刺激も受け・・・
ほとんど雨だったけど、一杯の珈琲で充実の連休になりました。
なんか気分いいから、通りのドラッグストアで、小さいパックの入浴剤ガシガシ買っちゃいました。
私の店のドアから帰っていくお客さんも、こんな気分になってくれる事があるなら、
最高に幸せです。


2006年7月17日 月曜日
窓ガラスに飾ってあった、「僕の映画百物語」淀川長治著
に反応して来店くださったお洒落なおばあさんが本日のおひとりめのお客さま。
「今日1日は、これを読んで過ごすとするわ。ついでに何か飲んでいくわね」と
腰をおろされると、目の前にあった中原淳一イラストのメモに反応される。
「この絵のモデルは、浅丘ルリコだって、あなた知ってた?」と。
知らなかったけど、そういえば目の大きさが!と納得。

現在72歳で、お店の目の前にある中学校を卒業されたらしいです。
当時は、まだダンスホール跡だった時で、学校の中にその柱が残っていたとか。
現在までずっと三鷹で暮らされていた、ということで、
太宰の事を何かご存知かな?と質問してみると、どうも太宰はお嫌いのようで、
「あんな破滅型の男、大嫌いよ。人はいつか死ぬのに、なんで死ぬの?
バカじゃないの?」と本気で怒ったような口調になり超辛口(笑)
そんな風に思ってる人はとっても多いんだ、って事はわかっているけど、
ここまでこてんぱんだと逆に気持ち良い。
なんだか、もうずっと前に死んでいるのに、本気モードで「バカじゃないの?」とか
言われるのも不思議と悪くない気がした。つまらん人生、
誰の心にも残らない人生よりも、きっと、悪くない。そんなことない、かな?
「私は鴎外先生は大好きなの」と言われてました。

「そうそう、徳田秋声の本は置いてある?」と思い出したように言われ、
1冊あったのをお渡しすると、「これも買っていくわ」と。
聞いてみると、お客さんのお母様が、秋声のところで働いていた、とのこと。
「いつも2階に女呼んで大騒ぎする人だった。でも秋声の奥さんは
男の浮気を怒ったりしない人で、そんな事があっても、いつもニコニコしていた」そうな。
その奥様から紬をお母様がいただき、それをお客さんが譲ってもらって、大切にしている、
といういいお話をお聞きしました。
着物って、そういうふうに残っていくのが良いですよね。母から娘へ、と。

最初に「お洒落なおばあさん」と書きましたけど、それこそアロハのような大胆な花柄の
オレンジ色のワンピース、というか上から下までつながっていてラクに着れる、タオル地の
お洋服とサンダルに、濃い茶色のコロンとした丸みのあるカゴバッグ姿だったんですよ。
髪は茶髪のショート。ニキータのコピーをぱちるとおばあちゃん版「ガラージョ」ってかんじ。
もしかしたらバスタオルで手作りしたのかも?って想像できるようなラクそうなスタイルだった。
ちょっと参考にさせてもらおう。 散策もいいけど、お金をかけないお洒落もね。
というわけで、連休になります。お天気は悪いですが、まだ肌寒かったりするので
風邪など引かないように気をつけてくださいね。


2006年7月15日 土曜日
午前中の炎天下は、どうなるかと思いました。
空を見るとモクモクとした雲。夏が来るんだなーと実感しました。

今日もお客さんに、公園の中にできたカフェ情報などを
お聞きし、気持ちよく森林浴感覚で散歩し、疲れたらフラッとカフェに、
という計画が近々実行されそうです。
暑い夏だからこそ、クーラーばっかし浴びてないで、汗をかいて
みようじゃないか、というそんな気分になっていたら、
お風呂上りのお客さんが、2人連続で来店。
きっとこのところ突然やってくるスコールのせいでしょうね。

おひとりめのお客さんは、比較的最近できた、東八道路沿いにある
岩盤浴の温泉帰り。ものすごく気持ち良かったですよ、という生の声を
聞けて、そういえば近くにあるんだし、いっちょ行ってみるか、という気になってます。
岩盤浴って、でもどんなのでしょ? ちゃんと裸になるのかしらん?
恥かかないように色々下調べせねば。

お客さんはイラストレーターの仕事をしていたのだけど、あまりにハードなのと、
プレッシャーでつらくなって仕事をやめてしまわれた、とのこと。
今は少し休養されているようです。
でも「東京イラストレーターズソサエティ展」の目録をパラパラめくられている時に、
「あ!私、この先生に絵を教わったんですよ」とキラキラ目を輝かせて
私に声をかけられた時、とってもそのお客さん、きれいでした。
絵がお好きなんだな、と思いました。

おすすめの本を何か教えてください、と言われたので、
少し考えて、やはり今は絵とあまり関係ない、小説「対岸の彼女」を
手渡しました。その本とスタジオヴォイスや、花椿などの雑誌と一緒に
お買い上げいただき、「今日はここへ来れて良かったです。いい1日」と
お帰りになられました。 「対岸の彼女」は、身体を動かして働いた後の、充実感
みたいなもの、そのかんじのちょっとした表現に感化されて、一気に掃除がはかどった
覚えがあるんですよ。 もう一回読めばまた掃除やる気の神様が降りてくるかしら

角田光代さんといえば、新刊の「ドラママチ」で、三鷹が舞台のお話に、
「すいてる喫茶店をやりたかった」主人公が出てきます。
なんか他人と思えないので(笑) 今度ちゃんと読んでみたいな、って思ってます。

お二人目の方は髪が半分濡れていて、あの健康ランドで着させられるような
アロハシャツのようないでたちを自然に着こなされていて、
それこそ銭湯帰りにフラッと立ち寄りました、ってかんじで
来店くださって、コーヒー飲みながら過ごされていたのですが、
2、3話しかけられ、あとは少しゆっくりされた後、「また来ます」とサラッと帰っていかれた。
その一連の動作がなんとなく粋なかんじでしたよ。
嬉しかったです。あ、こんな下町の店、風呂上りのコーヒー、いつものコース、
みたいな感覚で立ち寄ってくださる、というのもいいなーって。
濡れ髪も、まだ空が高い夏の夕暮れ時には、アリ。加えてアロハなら大有りだ。
もうすぐやってくる夏、おおいに楽しみたい気持ちが雲のように押し寄せてきてます。


2006年7月14日 金曜日
お客さんに、西武多摩川線の駅の近くの、小さなコーヒーが
飲めるお店を教えてもらったり、お気に入りお店トークを朝から展開する。
このところ、そういう発掘!散策タイム!みたいなの、すっかりご無沙汰だったので、
下調べもままならない状態で、あまり行った事のない小さな駅で下車して、
思いつくままにひたすら歩いてみたい願望が出てきました。

なにげない会話の中で、「窓から秋芳台の見えるところに祖母が住んでいた」
という、その一言になんとなくしびれてしまい、
「なんていい眺めの場所に住まれていたんでしょう!」としばらく盛り上がる。
いかにそれが素敵な事かが想像できる大人になった今、
近く訪れてみようと思ってらっしゃるそうで。

秋芳台は修学旅行で一度だけ行きましたけど、当時はただはしゃいでいるだけ、
風景なんてほとんど見てない。
それよりも昔、母が「失恋して、秋芳台にはじめてのひとり旅に行った」と
ポツリと漏らした一言が印象に残っている。
そんな会話、あまりしないのに、なんでそんな話になったのかは憶えていない
のだけど。もしかしたら私の記憶違いなのかもしれないけど。
そんな昔の母の傷心の風景を探して、私もいつか秋芳台に立ってみたい。

生活する場所の窓から見える光景、というのはけっこう重視していて、
京都では緑の多い場所にずっと住んでいた。
不動産屋さんにも、「窓から緑の溢れるところで」と希望出してたし。
もっと昔は、窓から港が見える、とか憧れていた時もある。
中学生くらいの時、鹿児島の名瀬の親戚の家に行った時、
そこの家の窓から港が見えたんですよ。それがずっと印象に残っていて、
子供心にひそかな決心を固めていました。
「いつか窓から港の見えるおうちに住む」って。

でも今、大人になった現実は、「とにかく安いアパート」を物件探しの優先事項にしたので、
窓からの風景に緑はない。
今は優先すべき事が店にあるので余裕はないけれど、
遠い将来、窓からなにか期待を持って見れる風景のある場所に
身を置いてみたい、かも。(かも、くらいにしておきます)
今はお店のこの窓ガラスから、いろんなものが見える事だけで充分幸せなので。


今日の夕暮れ時の窓からの光景。うっすらピンクの部分、見えますか?
今の季節の夕方の空の変化は、本当に素晴らしい。ずーっと飽きませんよ。


2006年7月13日 木曜日
奈良から転勤で関東にお住まいの方に来店いただく。
少し関西のイントネーションが、なんとも柔らかいかんじ。
奈良では少し歩くとすぐお寺にぶつかるので、こちらのお寺の少なさに
驚いている、とか。 あちこちに寺があるところに住んでいた、というのも
なんかいいですよね。 奈良といえばとうとう行けなかった唐招提寺のお月見。
まだ諦めたくないな。 ならまちのいろんなお店にも行ってみたいし。
奈良の鹿にも久々に会ってみたい気がする。

関西出身の方と話題になるのが、関東地方の雨風のすごさ。
あまり予測してなかったので、こちらの突風にはほんと面くらいます。
飛ばされそうなので、風の強い日は外に出るのもなんか躊躇しちゃうんですよね。
何かおすすめの本を、と言われ、太宰がお好きとのことなので、美知子夫人の
「回想の太宰治」をおすすめし、お買い上げいただく。また是非来てください。

桜桃忌ダザイヴェートに参加いただいたお客さんが来店。
会の後、参加者全員で飲みに行った後日談などを話してくださる。
私は参加しなかったのですけど、会の終焉で、
「なんか、飲みに行きたくありません?」という方の声に「いいですね」と
次々と賛同されていくのを見ていて、やっぱりお酒が飲みたくなるものなんだ、と
実感しました。「太宰好きが集まる店に酒がないとはこれ、どういうことだ?」と
お客さんに言われた事もあるし(笑)
お酒が飲めない店主がやってる店なので、どうか今のところはコーヒーで
よろしくお願いします。たしかに、タイプスリップしたとしても、
「酒、置いてない?なら帰る」と太宰に実際言われそうですが、
「ちょ、ちょっと待ってください!」とひきとめられるような魅力ある店に
できるよう努力しますんで。どうかひとつ、よろしくお願いします。


2006年7月11日 火曜日
お客さんから、芥川賞の候補になっている本谷有希子さんの
「生きてるだけで、愛」を今読んでいるけど、面白いですよ、と
聞いて興味が湧く。
元書店員さんなので、やはり本の薦め方が上手というか、
自然に身につくのかな、こういう会話って。
私もあやかろう、とか思っていると、
前にも日記に書いた、かわいらしいカップルさんが来店。
来店するなり、その男性から、「前にここ来た時の事を書いてもらったものを彼女から
メールで見せてもらいましたけど、感動しました」とストレートに言われて、
すごく嬉しかったけど、なんかちょっと照れくさい。

前にいたお客さんが小さな女の子連れだったので、
カップルさんでその女の子を可愛がる様子とか、お母さんに声かけているのが
微笑ましくて、お店の中がいいムードに溢れていて、
とても穏やかな気持ちでパスタをつくる。

「美味しいね」と言い合いながら食べてくれる2人、
この場所で心底楽しんでくれている様子が伝わってきた。
一緒にいて楽しいのが一番、やっぱりつまるところ男女はこうじゃなきゃ続かない。
彼のちょっとした告白タイム(笑)なんかもあって、和んだなー。
まっすぐな人、そういう人に会うと自分自身も、透けて見えるような気がして、
いつもまっすぐに見つめ返せるようでいたいな、とひきしまるような思いがする。

彼女のアメとムチぶり加減がすばらしく、ああ、見習いたい、
私は若い頃、こんなふうに男の人を手の平でコロコロ転がしたりなんて
絶対できなかった。今も変わらず不器用なとこあるけど、
自分にピッタリな人を若くしてみつけた彼女の実力にアッパレです。
こんなにまっすぐなひとりの成人男性が自分に夢中になっている、
それはさぞかし素敵な事でしょう。彼らが去った後もすっかり甘いムードが漂ってました。


2006年7月10日 月曜日
ネットの検索で、ふとこのお店を知りました、と来店いただける
ケースはよくあるのですが、
「店長さんと好きな男性タレントの好みがほとんどかぶっているので
太宰ファンでもなく申し訳ないですが、そっちが気になってこのお店に来てみました」
という楽しい入り口からこの店に足を運んでいただいた方が最近おひとり
いらっしゃいました。
それで気になって営業日記を読んでみたら、
なんでも、「月曜日は伊勢谷、火曜日は袴田、」にえらく反応いただいたようで、
お客さんの「私の1週間プラン」も教えていただきました(笑)
たしかにかぶってますが、ちょっと若いな、フッなんて思う部分もあり、
「私の水曜日以降を聞いたら驚きますよ」なんてちょっといじめてみたり(こわっ)

木曜日は温水洋一、金曜日はマッキー、そこでお客さんの顔色が変わり、
「や、やっぱり趣味かぶってないかも」って。
温水洋一(以下ヌックン)は、太宰と同じ6月19日生まれなんですよ〜。
勿論だから好き、というわけではないですけど。大好きです、ヌックン。
マッキー好きなのは今日昨日始まったわけではないですからね、

お客さんは基本的に、フラワーのPVのハイドが最高級だそうで、
そこはちょこっと同意。今のハイドもとっても素敵ですが、
あのPVのハイド、私は今も時々カラオケでフラワー歌うけど、
本人映像に萌えまくっています。この時のハイドは、本当に若い頃の夫そっくり。
おそらく私はおばあちゃんになっても、カラオケでフラワー歌いながら、
「ああ、なんてうちの人の若い頃にそっくりなのかしら」と萌え悶えるのだろうな、と
今からそんな晩年の甘いひとときを想像しています(アホ)

と、イケメン談義に?花が咲いた、そんなひととき。
いくつになってもミーハーだな、でも楽しんでもらえたようだから良し。
私も楽しかったし。

今一番気になるのは、魔の交差点だった山中通りに、ドドドーン!と
立っているMATCH学園?市原隼人君の宣伝看板。何このキュートさ!こんな笑顔で、
「ごめんごめん」なんて言われたら、なんでも許しちゃいそうになりませんことー?
通り過ぎる度にニヤニヤしております。フォスフォレッセンスまで三鷹通りを歩いて
来店いただける方、暑い中大変でしょうが、この隼人君で癒されてくださいませ。


三鷹通りと山中通りの交差点です。是非チェックを!


2006年7月8日 土曜日
山形ご出身のお客さんより、さくらんぼをいただく。
やっぱり赤みのクッキリ度が違う。
そのお客さんから、このお店の存在がとても励みになっている、
お店に来られない時でも、前を通るだけでも
どんなにホッとするか、と心を込めて言って言って頂いてるのが
ストレートに伝わってきて、かなりジーンとくる。
頑張っていこう、このお店を創った事は正しかったんだ、って
こういう瞬間に強く思う。その積み重ねで、なんとかやっていける気がする。

最近、「そらあるき」をここで入手した事がきっかけで金沢を旅された
お客さんから、自作エッセイのコピーをいただく。
そのお客さんは同人誌をやっていて、そこに今回の旅の記を、
掲載されたのです。「そして金沢」というタイトルで、
出だしがうちのお店で「そらあるき」と出会った事が書かれてある。
全部読んだら、予想どおり、というか、金沢へ旅したくなった。
ノーマークだった「徳田秋声記念館」にも興味が湧いた。
「女性を描かせたらピカ一だった」というその一行になんとなく惹かれて・・・
あと、あうん堂さんのチキンカレーが食べたくなったな。
そろそろ旅の計画、考えないと。


前回に引き続き器用な人シリーズ。
映画「かもめ食堂」に触発されて作った、という手作りコースターを
いただきました。ライトグリーンが爽やかで、アイスコーヒーの茶色との
コントラスト、なかなかいいかんじなのですよ。
下のお花も手作り!浴衣を着て髪に飾りたくてウズウズしています。
やっぱりピンクなんですよねー。
こちらを作ってくれた彼女は京都の人で、
「今度みなみさん(私の旧姓)をコーディネートさせてください」と
嬉しい提案してくれたので、来年あたり、彼女のコーデネートで祇園祭に
繰り出したいと思っております。
大人のピンクが似合う女、目指しますですよ!

あまりにも可愛いので、浴衣姿まで待てずに頭にさしちゃう事もあるかもしれません。
「あー、今日はなんかテンションが高いんだな」と思って見逃してやってください(笑)


2006年7月7日 金曜日
七夕です。近くの三鷹警察署に、巨大な笹が吊るされていて、
通るたびにキラキラ揺れています。うちもなにか飾りつけしたかったんですけど、
今日はGQJAPANのウェブ版、「GQ.com」の取材があったので、
実際アップされるのは真夏、ということもあり、特に飾りつけは今年はなしにしました。
でも個人的に「七夕」には思い入れがあって、1年を通す行事の中でも1,2を争うほど
好きなので、毎年大切にしたいと思っています。来年以後、外からお店が見える時に
なにか「あ、七夕だね、そういえば」って感じてもらえるようなアプローチはしていきたな、
と思ってます。開店2年目には、笹に本に栞をつけて飾っていたような記憶がある・・・

取材中、ライターさんに聞いたお話によると、中学生くらいの時に、
「どの作家がかっこいいか」みたいな話題になった時ダントツに人気があったのは、
中原中也だったそうな。確かに。あの美少年ぶり、特に教科書に載っている中也の
整った顔は、詩を書く人が実際にこんなきれいだったら、そりゃ絵になるわなー
など逞しく想像した文学少女は少なくなかったでしょう。
太宰の容貌の魅力は、まだ10代では受けがいまひとつなのかもしれませんね。

お話の流れから、エキゾチックな雰囲気のカメラマンの女性は、
ボサノバを歌われているという事がわかり、なるほど、そういうかんじがしますよ、
など言っていると、サイトを教えてもらい紹介させていただく事に。↓
DAKE&ZONO STYLE カメラマンさん、すごくかっこよく多才なんだな、と刺激を受けましたね。
着物がお好きで、衣装は手作り。実際とてもお洒落な方です。
ダイアリーの写真がとても素敵で、「精霊すぐに見つけられた!」など
ひとりでしばしはしゃいでおりました。

8月頃、GQ.comのサイトの「オフタイム」のコーナーにアップされるようです。
また日記でお知らせさせていただきます。
おすすめの本の説明をしていたら、お二人とも、この本欲しくなってきました、
って言っていただけた事がすごく嬉しかったです。
今日は良い日ですね。

はー!夏だし!久々にパッションが溢れてきました!
お店がずっと続けられますように☆
そしてなにより平和である事を願いつつ、来年の七夕へ想いを馳せる私でありました。



どちらもお客さんの手作り。店に飾らせていただきました。
朝顔の方は、男性のお客さんが、アイスコーヒー飲んでるすきにちょことちょこっと
作ってしまわれました。左は女性作。すごく素敵です。しばらく店に飾ってます。
やっぱりいいな。日本の七夕なかんじ。


2006年7月6日 木曜日
七夕の飾り付けの参考に、と街をブラブラ歩きましたが、
大きなショッピングセンターとか、商店街、駅などは目立つ笹とか
飾ってるところは多いですけど、個人店などでは特になにかディスプレイしてる、
という例は少ないような気がしました。

なんだか歩き疲れたらひじょーにチョコパが食べたくなって、
ひとりファミレスへ。
待ってる間、本を読んでいたら、なにか琴線に触れた文章に出くわしたようで、
ポロポロ涙が流れて、泣きながらチョコパを食べる怪しい人になってました。

ちょっと前に島根から友達が出張で上京したので、その時に
土曜の夜にファミレスに一緒に行ったんですよ。そしたら結構、ひとりで
パフェとか食べてる女性、いるんですよね。
ひとりで来てひたすらコーヒー飲んでため息ついてるサラリーマンとかもいて、
なぜかホッとした事を憶えてる。土曜の夜のファミレスは、連ればかりなのかと
勝手に想像していたから。

その友達が「安くて宿泊できるところある?」というので「サンパーク三鷹ホテル」を紹介
してあげたので、門限の1時まで、食事の後、夜の玉川上水を歩いたんです。
基本的には学生時代とちっとも変わっていなくて、あの頃のような会話を
していたのですが、やはり彼女は子供を育てているからしっかりしてきてた。

お店に来てくれた時も、「人間失格・桜桃」について、聖路加国際病院小児科の先生の
言葉の切り抜き記事を見つけて、この先生についての事を詳しく教えてくれたり、
41歳寿命説の話題などを繰り広げたり、さすが教育の仕事に携わっている
だけあるな、とちょっと感心しました。

このところ、年配のお客さんたちのパワフルさとか、団塊の世代、などの
話題が日記に出ていましたけど、戦後を生き抜いてきている人はやはり逞しい、と。
今の私達の世代は果たして長生きできるのか?なんて話をする年頃に自分がなった
なんて。しかも41歳ってあと一年じゃん!みたいな(笑) でも人生短い。
ま、それは大げさだとしても、いつ死んでもOK(とは到底思えないけど)くらいの
濃度で毎日を消化していく事ができたら。それは夢だけど。
特に私の場合は、店続けてなんぼ、の世界ですから、まだまだ頑張りますよ。
その2倍の82歳までは生きたいですね。


お店のフリーペーパーのコーナーです。
シネマアートン下北沢の「女の子たちの喜劇特急」という企画ものが面白そうです。
チラシや映画だより、お持ち帰りください。
「徒歩の友 その二」も入りましたし、「みたかカレンダー」の「みたか模様」のコーナー、
ただ今のナンバーには私がうちの店の紹介をさせていただいております。
そういえば「下北沢」という本が新刊コーナーに今平積みされていますね。
さっそく読みました!って方もいます。ドラマや映画も話題だし、この夏は
下北沢に目が離せない!?気分は女の子になれる街、シモキタ。いいな〜


2006年7月4日 火曜日
なんかこのところ、ペアのお客さんのご来店が多くて嬉しい限りです。
うちはおひとりさまご来店向きの店だと思うのですが、
自分以外の人と本の事を話す新鮮さを体験できる空間だとも思う。
ご夫婦で来店されて文学談義、とかほんとこっちまで嬉しくなるんです。
スーツ姿の男性と同じくスーツ姿の女性が、帰り際に
「こういう時間がゆっくり流れているのっていいですね」と声をかけてくださったり。
今日は禅林寺帰りに親子で来店くださったお客さんも。

お母様曰く、「今日はたまたま息子の大学がお休みだったものですから」と
言われてましたけど、微笑ましく思いました。
どうしても大学生の頃の男性って、お母さんと2人でおでかけって照れがちじゃ
ないですか。この暑い中、禅林寺から店までの長い1本道を、おそらく
お母様を気遣いながら並んで歩いてこられた光景を浮かべると、なんか眩しいです。
アイスコーヒーで涼まれ、本を見たり、MAP片手に会話されながら過ごされ、
安部公房と太宰の本をお選びになってお帰りになれましたけど、
今日で良かった。昨日の今頃だったらさっきまでお天気だったのに、嵐に一転してたから。
気持ちの良い1日であってほしかったから、今日で本当に良かった。

あと津島佑子さんの本についての問い合わせ、購入が偶然続いて、
なんか不思議でした。朝の連続テレビ小説「純情キラリ」の影響もあるのでしょうか。
ものすごく見たい気持ちはあるのですが、一回も見た事がないのです。
よくお客さんから、「これは多分モデルは太宰だな、って思う画家が登場してるよ」
とお聞かせいただいていて、またその役が西島秀俊という事で、ますます見たい意欲
が高まる私なのでした。西島さんは、友人が偶然映画館で遭遇した時の話を聞いて以来
ますますファンになったところなのです。とても自然で、穏やかな方のようですよ。
今度「純情キラリ」見てみよう。壊れかけの家のテレビよ、頑張ってうつっておくれ。


2006年7月3日 月曜日
とっても晴れていたのに、突然雷が激しく鳴って、スコールのような雨が。
このかんじはちょっと懐かしい。夏の始まりの生温かいかんじ。
宇多田ヒカルの「This is Love」、遺伝子が激しい雨の中鳴り止まない
って表現のところからの盛り上がりがとても好きなんですけど、そのかんじ。
七夕に近い頃の、独特なムード漂うこの時期は、常時胸騒ぎがしている。
七夕の夜はいつも曇ってて星さえ見えない事が多いからこそ、
見えちゃったりなんかしたらどうしよう!みたいな期待が四日前から止まらない。

こんな無駄にテンション高い40代でいいのだろうか・・・まあともかく、
日記に激ヒマと書いたのを心配してくださったのか、それ以来結構久しぶりの
お客さんとか来てくださって、とても感謝です。

CDをこのところ中古以外ではまったく買っていなくて、予約するのもaikoのマキシシングルくらいで。
そもそも三鷹は今駅前にCDショップがない、というかなしい状況ということもあるけれど。
でもなぜか宇多田ヒカルがニューアルバムを出す度に、貸してくださるお客さんがいらっしゃって、
今回の「ULTRA BLUE」も、自分は今忙しくて聞けないので先に聞いて下さい、と持ってきて
くださって、遠慮なく聞いてみたらものすごく良くて、久しぶりに1枚のCDアルバムにはまり
ました。やっぱりこの声すごく好きですね、泣いてるような声。

そういえばずっと忘れてたけど、
普段はバイブにしている私の着メロ設定は2年前から「COLORS」でした。
何かのきっかけで「This is Love」に変えようかな。きっと操作で半日かかりそうだから
予定は未定。私、こういう当たり前の作業ができないモノクロな人。
普通に人が簡単にこなす事で、いくつかスムーズにできない事がある。
それで損してる事はきっと多いと思うけど、遠回りもまあいいものでしょう。
時には開き直りも必要だと悟った40代。与えられた残りの時間を、
どううまく、自分らしく消化していくのか、
大きなテーマですね。今年の短冊の願い事は過去とは一味違いそうな予感。


2006年7月1日 土曜日
7月になりました。

来店された若い男性のお客さんからお店のいろいろな話の質問などを受けたりしていると、
実は雑誌の編集をしていて・・・みたいな事になってお名刺をいただき、
よろしかったら紹介させてください、と言われて了解すると、それは
女子大生の気持ちいっぱいマガジン「キャン・ビー」というフリーの冊子。
主に大学などに配布されるようです。

1部いただいたので読んでみると、もう紙面からピチピチが溢れそうで!
勿論それだけでなく、夏料理レシピや、おすすめ本のコーナーでは「国家の品格」
が紹介されていたり、なかなか面白い内容です。
これが今時の女子大生のいっぱいの気持ちなのね?と。

掲載されたらお知らせください、とお願いしたのでまた報告しますね。
お店に興味を持った女子大生さん、合コンもいいけど、うちの店まで足を運んでくれるといいな。
秋の読書週間か、桜の時期の貸切可能な時に「朗読合コン」とか「読書会合コン」とか
企画していただいても面白いかも。元女子大生さんも「アッコちゃんの時代の読書会」
とかどうでしょう? アライヤのボディコン必着!とか(笑)
実家にボディコンワンピまだあるかな?アライヤでなく、千林商店街で買ったやつですけどネ


2006年6月30日 金曜日
新着本コーナーの表示が、2005年のままになっていたようで、
お詫び申し上げます。本の注文をして頂いたお客さんが教えてくださって
気づきました。感謝です。さっそく訂正しましたが、紛らわしくてすいませんでした。

桜桃忌も終り、ガラス窓のコーナーもさくらんぼの飾りと太宰本を普通の本に模様替えした
今日この頃、ほんっとにお店がヒマです。まあ、桜桃忌直後気が抜ける時期というのは、
毎年必ずある気はしますけどね。しかしあまりにヒマすぎで、大丈夫か?と心配になる
くらいです。思わず新聞に載っていたユニクロのホットパンツ、これ1200円代か、
もうすぐバーゲンだけど、行けば必要以上に何か買ってしまいそう、
年に2回の服を思いっきり買える時なんで、でかけたいのは山々だけど
このままだときつそうなので、今年の夏はバーゲンには行かず、このホットパンツで
ひと夏過ごそうか・・・などボンヤリ考えていると、お客さんが爽やかにご来店。

おなじみのお客さんなのですが、入ってこられる姿を見て、あ!と閃いた私。
「アンジャラ・アキに似てるって言われますよね?」と急にハイテンションになる私。
黒ブチメガネがお似合いで、しかもジーンズセミロング黒髪美人なのです。
すると、「はい。実は子供の参観日に、○○ちゃんのママ、アンジェラ・アキに似てるね、
って言われたそうで、最近知りました」と。
そのアンジェラ・アキ似の素敵なお客さんから、地元から送られてきたという
オーガニック野菜をおすそ分けしていただきました。
さつまいもに見えるけどじゃがいも、赤紫色の玉ネギ、など栄養のありそうな匂いが
立ち込めて、さっきまでの鬱々とホットパンツをにらみつけていた気分も飛んでいってしまって。
明日、土曜日の晩御飯は、うちの人がこちらの野菜を使ってなにかジャガイモ料理をつくって
くれるそうで、今からとても楽しみにしています。

お客さんから、もうひとつ嬉しいお話を伺いました。
保護者の会(だったかな?)のような集まりで、「もうすぐあの季節ね」という
話題になったんですって。「あの」というのは桜桃忌の事らしく、
お客さんが、「私こんなお店知ってるんです」と話すと、
「先日の朝日の夕刊に出てたわね、墓前で出会った運命的な2人のお店でしょ」
みたいな展開だったそうで。うちのお店の事が話題になるのは勿論嬉しいのですが、
コアな太宰ファンでもなさそうな世界の、そんな日常のふとした集まりの中、
「もうすぐあの季節ね」と会話が出てきて、それが桜桃忌であるという事に自然に
つながっていく、三鷹だからありえる話だと思うのですが、なんかそこに感動しました。

アンジェラご夫人は、本当は今日はここでゆっくりコーヒーを飲もうと計画していたけど、
「三ヶ月ぶりにGAPで服を買ったら時間がなくなってしまって。でもすごくスッキリした」と。
その服買ってスッキリ!な笑顔が爽快だったので、やっぱバーゲンは年2回だけだし、
行くだけいっとこ。今年は靴しか買ってないし。
スッキリ切り替えてまたお店頑張ろう。そうしよう。


2006年6月29日 木曜日
府中より自転車で来てくださったお客さんが、
函入りの「太宰治研究」と「木山捷平研究」を寄贈してくださりました。
「太宰治研究」の函入りの方はなかなか見つからない貴重なもの。
こちらは閲覧用として店内に置かせていただきます。感謝です。
お客さんからしばらく木山捷平のお話を中心に聞かせていただきました。

木山捷平は「青い花」という同人誌を太宰らと共に立ち上げたメンバー。
太宰は後に超有名になったけれど、木山捷平の方は芽が出るまでのかなりの歳月を
経た事、文壇には伊集院静をはじめとする木山ファンがたくさん居る事、
お客さんは木山捷平の初版本を集めるのにかなり苦労したようで、
鎌倉の古書店で「酔いざめ日記」の初版本を高額にも関わらず手に入れた時は
本当に嬉しかった事、など一気に話してくださいました。
中には太宰の弟子たちのこぼれ話なんかも。
生前の太宰に言われたたった一言をずっと胸に、今もその言葉を
教訓としているある作家の奥様の話が印象に残りました。
先日日記に下曽我の大雄山荘の事を書きましたが、
その近所に太宰は親交のある友人か編集者がいたようで、
そのお客さんが「下曽我」と口にされる度に、なんだかドキッとしてました。

こちらのお客さんが、おそらくこの「木山捷平研究」の発行人なのだと思うのですが。
巻末のプロフィールを見ると昭和22年生まれのようで、
昨日の日記でも話題に出した団塊の世代なんですね。
文学に身を捧げてきたのだな、と少し話しただけでわかる。
なにか熱いものに触れたような、そんなひとときでした。


2006年6月27日 火曜日
最近、うちの店で「嫌われ松子の一生」の原作本を購入されたお客さんが、
「僕も松子と同じ昭和22年生まれ、団塊の世代なんです。それで気になって、原作本を
読んでから映画を観てみようかと思って」って言われてたのがなんか後々気になってる。
もう映画館で松子に会われたかな?

この映画、ハマる人はすごくハマると思う。中毒性があるんですよ。
同じ映画を4回観たのなんて初めてです。スクリーンでもう松子に会えなくなるのが
こんなに哀しいなんて。まさに「松子に会いに行く」って感覚で映画館へ行くんですよ。
「HAPPY WEDNESDAY byスキップ」てかんじで(笑)
でも行きはよいよい帰りはこわい、じゃないけど鑑賞後は胸がいっぱいになっていて・・・
同じ昭和22年生れの人がこの映画を観た時どう思うのだろう?今度お聞きしてみよう。

最近は「やわらかい生活」もなにげに観にいってるし、「ゆれる」も絶対観たい。
西川美和監督は「女神のかかと」がすごく良かった事もあって気になる。
ちょっと前に映画館に行けない、ってのが相当たまっていたのか、今
行きまくってるかんじがします。「今はまってるものは?ブームは?」
と聞かれたら、「映画」って事になるのかな。
先日書いた一言を「水曜日は映画の日」に訂正しなくちゃ♪

以前はフットワークが良くて、映画のファッションを真似たり、ロケ地を巡る
エネルギーがあった。もうさすがに歳をとったけど、
「やわらかい生活」のパンフに載っている粋がない下町、「蒲田MAP」を手に
散歩したくなりました。西六郷公園、別名「タイヤ公園」のゴジラみたいなオブジェは
きっとうちの人、気に入ってくれそうなので、無理やり連れて行こうかと計画中。
ゴジラで釣れる男、っていうのもなんともいえない粋のなさ加減がグー(笑)
ゆらゆら歩く寺島しのぶの後ろに電車が通るタイトルバックが良かったので、
「こんな電車なんだけど・・・シルバーに青のラインで」と説明すると
「それは京浜東北線」とそっこーで答えてくれるのはありがたかった。
って少しも日常生活に役に立たない知識だけど。
東京在住の人にはこれくらいは基本かな?
あ、でも荒川の土手にもとっても行ってみたいんだよなー。
マイブーム、「映画」の次は「下町散歩」がクルかも。


2006年6月26日 月曜日
桜桃忌におひとりでいらっしゃってる女性の方って
なんでみんなきれいな方ばかりなんでしょう?
と、お客さんに言われました。確かに頷けます。

これは何度か耳にすることですけど、実際お店に来てくださる太宰ファンの方も、
素敵な方ばかりなんです。
私なんか、ちっぽけに感じるくらい、太宰に精通してらっしゃる方もたくさん。

先日、桜桃忌前におひとりで禅林寺を訪れ、その帰りに立ち寄ってくださった
方も、前にも来ていただいた事があるのですが、女優さん?って思うほどの美しさ。
私と同じく京都で学生生活を過ごされていたという事で、それでいて太宰好きで現在は
東京で生活している、と共通点があるのですが、その方は太宰に関連する場所は
ほとんどもう行かれたようなのです。
天下茶屋や斜陽館はもちろん、下曽我の大雄山荘にも行かれたそうで、
興味深くお話をお聞きしました。

大雄山荘は、太田静子が暮らしていた山荘で、太宰が例の日記の件で訪れた場所です。
初めて二人が結ばれた場所でもありますね。
役所広司が太宰役を演じた時のドラマでのこのシーンが私はものすごく印象に
残っています。ラブシーンなのですが、静子役のセリフが、役所太宰に抱きしめられながら、
「赤ちゃんが欲しい 赤ちゃん・・・赤ちゃん・・・」と連呼するのです。
数々の日本のドラマのベッドシーンの中でも、このセリフはさすがに他とない
のではないか、と想像します。
それで本当に授かるところがすごいのですが。
「俺は子早いんだ」と太宰も言ってますけどね、まさに人生が小説そのものの人だから。

話がそれましたが、その大雄山荘をお客さんが訪れられた時、
想像以上のさびれぶりに驚いたそうな。
すすや蜘蛛の巣が張っているようなところを、腰をかがめて忍び歩きしないと進めない、
そんな状態らしいのです。なんとかしてほしい、と言われてましたけど
同感ですね。市が買い取るとかそんな話はないのでしょうか?
これはその状態を確かめに実際足を運んでみないといけませんね。

このお客さんは、事前に地図を持っていったのでなく、下曽我駅をおりて、
駅近の菓子屋さんとかで聞いて訪ねられたそうで、駅周辺ではこの山荘の事を
誰でも知っている様子だったとか。
ベストセラー、「斜陽」の誕生のきっかけとなった場所が朽ち果てる事なく、
また生命を吹き返す事を願いたいです。


2006年6月24日 土曜日
お帰りになる前に「いい店ですね」と声をかけてくださった男性のお客さん、
名古屋から上京ついでに寄ってくださったとのこと。
お話を伺うと、読書好きな人たちが集う「情報交換カフェ」を
スタートさせたばかり、とのことで、とても興味深い内容でした。

詳細はブログを→「カタリベカフェ」というネーミングからして気になります。
毎月1回、自分の好きな本を持ち寄って感想などを語り合い、気に入って
読みたくなれば本を交換する、というスタイルのようで、
人と本をつなぐ場所にしたい、っていう基本理念は勿論、
「読書の時間はひとりだけど、これって他の人はどう感じるか知りたくなった時に、
思い出してもらえる存在でありたい」という私のスタンスと合い通じるところがある。
これは面白そうですね。名古屋西区に行く機会があれば是非立ち寄ってみたいです。
もちろん、本を持って。で、帰りの列車の中でそこで出会った本を読みながら帰る、
なんて贅沢な旅なんでしょう。

若者の本離れ、とよく耳にする今日このごろですが、その若い人たちが
いろんな読書の独特なスタイルを提案している事が嬉しいし、応援していきたいですね。
お近くの方で本好きな方は是非行かれてみてはどうでしょうか。

最近、「そらあるき」を持って金沢を旅された方がまたひとり。
その方はその旅の報告をしに来てくださったので、本来望んでいたとおりの流れが嬉しい。
金沢で有名なあぶらとり紙までおみあげに持ってきてくださって、なんともありがたい。

ブックカフェ「あうん堂」さんからも、
「オンライン古書店では決して体験できなかった嬉しい瞬間です」と報告を受けていました。
うちの店で購入された「そらあるき」をカバンに忍ばせて、
「東京、三鷹のお店でこの本を手にしてこちらの店へ来ました」という流れはまさに本の渡り鳥。
ご自分たちで創られた本、子供みたいなものでしょうね。
それが一旦旅立ち、こうして手ごたえのある反応で帰ってくるというのは、
やりがいに通じるものだと想像できます。
そのお客さんは、10年ぶりくらいに金沢のご友人にも再会され、「そらあるき」を
手渡されたそうです。まさにどんどん羽を広げていく渡り鳥、というかんじですね。
金沢ということもあり、なんとなく勝手に「白鳥」をイメージしています。
たしかそんな名のホテルがあったような・・・

もうあと2ヶ月で早いものでお盆なんですね。
このまま体調が良好だったら、また例のひとり旅かな。
行く先を決める前に、持っていく本を決めて、その舞台の街へ訪れようかな。
旅する、というより、今の気分はゆっくり本を読みに行く、ってかんじかな。


2006年6月23日 金曜日
今日も偶然ながら演劇の話題。
前に「冬の花火」の演劇のチラシをくださったお客さんが
本日三鷹芸術センターである「三鷹ノ日和」を観にいく前に
お店に立ち寄ってくださったのです。

「ああ、東京芸術祭のフラメンコ見にいかれた方ですよね?」と声をかけると
「イスラエルダンスです」なんて私もちょっとした記憶違いのオオボケをかましてしまい
ましたが、その太宰原作の「冬の花火」についてなど詳しく教えてくださって、
昨日に引き続き、観にいったかのような疑似体験ができました。

すごく良かったそうです。「冬の花火」
チラシの写真からして、すごくセンスが良かっですしね。
待ち時間も、舞台上で人が踊っていたり、昭和風のカフェーの女給のスタイルの
着物姿の売り子さんがいたり、で楽しめたそうな。
原作は読まれていない、ということで、店に文庫があったので見ていただく。
もともと私はこの話大好きなので、実際舞台を観ても楽しめたと思う。
「ギロチンギロチンシュラシュシュシュ」のセリフが劇ではあったので、
内容は少し手を加えているようですね、と言われてました。
やはりこのセリフは太宰の定番かもしれませんね。どんな抑揚つけるんだろう?

こちらのお客さんにも、「せっかくの太宰関係のイベントとか劇とかに
お店があるから行けないというのはひじょうに切なくないですか?」とご心配
いただいたんですけど、「ここで行ってこられた方のお話を聞くのを楽しみに
しているんですよ、だから今すごく嬉しいんですよ」とお答えしました。
「ケド、ハイドのライブには早閉まいして行ってなかったっけ、というツッコミ厳禁で」
そしたら長塚京三さんの朗読会の様子なども話してくださって、
内容を聞けるのはもちろん嬉しいのですが、
ああ、このお客さん、本当に演劇とか朗読とか、見たいもの聞きたいものに
自分の時間を使われていて、またそういうものがすごく好きで吸収されてるんだな、
っていうのが伝わってきて、なんだか私も久しぶりに舞台も観に行きたくなっちゃった。

最後に演劇ものを観に出かけたのは、大阪の近鉄劇場じゃなかったかな?
記憶違いかもしれないけど、蔵之介さんが漱石やったやつ。
先日文化村に行った時に、深津絵里と三上寛の舞台のポスターが貼ってあって、
すごく心惹かれたんですけど、高いんだろうなー。というかもう遅いでしょうね。
娼婦役の深津絵里はちょっと見てみたいけど。これまたものすごく久しぶりに
「ぴあ」でも買って事前チェックしてみようかな。
まずは昨日来店いただいたお客さんが舞台で演じてるところ見てみたいな


2006年6月22日 木曜日
本日最初のお客さんは、北千住であったイッセー尾形さんの太宰劇に行かれた、
という方。しばらくお客さんがまったく来店されなかった事もあり、色々なお話をしました。
例のイッセーさんの劇はものすごく観たかったのですが、細かく内容を教えてくださって、
目に浮かぶような面白さに満足感。こればっかりは映画と違って生モノですから、
実際舞台に足を運べた方は本当にラッキーだったと思います。
イッセーさんは同じ主題は二度と扱わないようですので、少なくとも近いうちは
イッセー太宰を目にする事ができないのかと思うと、心の底から見れた方が羨ましく
思えてきたりもします。文豪シリーズ、機会があったら他の作家のものでも観てみたいな。

お客さんは九州在住の方で、私より少し年下の女性。
演劇にはまったく興味がなく、むしろ嫌いだったらしいのですが、
公共施設に貼られていた演出家主催のワークショップのポスターに何か感じるものが
あって、体験してみたところ、現在ではめちゃくちゃハマリこんで実際に地方の
舞台に立たれている、というお話。いきいきと輝いた目で語ってくださいました。

そのお話がとても面白くて、私もひきこまれるように質問攻めしてしまいました。
ある程度人生経験を積んでからの転機、というものには私自身、身を持って体験
している事もあるので、その心境だとか、環境とか、周囲の事とか、
たくさん話をして、結果、こちらもとても勇気づけられましたね。
「地方でいきいきとしたイッセーさん」なんておいしい余談もお聞かせいただいたり。

詳しく書くとまたものすごく長くなってしまうので一言で纏めてしまうと、
その方も、太宰を読む事、というのが現在までの流れのキーワードになっているようで、
なんだか同志、という空気が流れていました(私だけが感じてたのかもしれませんが)
レールのような人生から「太宰」がきっかけで踏み外す、しかしそれは自らの内なる声
からの、意志を持っての心地良い踏み外しであって、自分が成長できている、
という実感を伴ってのもの(少なくともその方は前向きな踏み外しに違いない)

太宰は今もなお、いろんなところに種まきしてますね、
なんて事を最後には言い合って、お互いエールを送りながら見送った、ってかんじでした。

今日はお店はとーーーーってもヒマでしたけど、
太宰の話を生き生きとした表情で話す女性をまたひとり知る事ができて、
とっても収穫のある1日でした。

「太宰によって人生狂わされました。でも私はこの上なく仕合わせでした」
とふっとためいきをつく女店主A、
なんて役柄でちょっと私も舞台を踏んでみたくなったかも(笑)


2006年6月19日 月曜日
桜桃忌当日。例年のごとく太宰皿の上にサクランボを盛る。
自由に食べていただくようにセッティング。
天気予報では雨かと思っていたけれど超暑い晴天に。

フタを空けてみれば意外と今年は忙しくないうちの店。
入ってこられる方も、「あれ?俺だけ?」「え?私だけ?」という
お顔を一瞬される。そんなかんじでお客さんが来ては帰られ、また来ては帰られ、
と結構ゆったりとしたかんじの1日となりました。

遠方から来てくださる太宰ファンのお客さんが禅林寺へ行った帰りに
寄ってくださり、「今日は桜桃忌に行って、帰りにここへ来れて、
本当に良かったです」と言ってくださって、
お友達と「なんか、いい時間よねー」とボーッと窓の外を見られているご様子、
そんなお客さんの反応で、「これで充分だ」と思える。

「お店を開いたのはいいけれど、桜桃忌に行けなくなって残念じゃないですか?」
ともよく聞かれた1日でしたけど、ここで桜桃忌の帰りに立ち寄ってくださるお客さんを待つ、
それこそが私の桜桃忌、それでいいのです。
元々、桜桃忌へ行く立場だった私が、この気持ちのまま、立ち寄れる場所を創りたい、
そう思っていた夢を叶える事ができたのですから。
桜桃忌の様子をお客さんの口からお聞きするのを楽しみにしているのです。
勿論、ただ何も言わず、静かに余韻に浸りたい方もたくさんいらっしゃるので、
お客さんから話し掛けていただいた時だけ耳を傾け、後は必要以上はでしゃばらないように
していますけどね。

今年は読経のあとの講堂でのお話が、結構短かったそうですね。
ダザイヴェートでも長塚京三さんの朗読や、桜桃忌の今、昔の話題など出ましたので、
近日(こちらは絶対近日決行!)そちらのレポで詳しく書きますね。

「私はすっかり読経が終った遅い時間に墓前に参りましたけど、このお店を開いた
あなたたちの事で話に花が咲いてましたよ」とお客さんから教えていただき、
「え?どんな話ですか?」と興味深くお聞きすると、
「桜桃忌の日に初めてこの墓前で出会い、一目見た瞬間に結婚を決めた、とか
いう話で、なんてロマンチックで運命的なんでしょう、という話で持ちきりでした」と。

思わず口をあんぐり、状態で大笑い。
正確には、墓前で一目見た瞬間は、「ああ・・・写メマジックってあるのね、詐欺だわ、これは」
が心の声なのですが(まるで少女マンガのふきだしの部分みたい)
ま、ここはあえて訂正するよりも、そういう事にしておいた方がいいか、
よりロマンチック度が増すか、という思いもしてきたり。
墓前でそんな話題がなされていて、少しでもその場の雰囲気が和らいだなら
なんと素敵な事でしょう、と思えてきました。
それともこの愛ある尾びれは、元の話を膨らませる事にかけては天才の
太宰の仕業でしょうか。そういう事にしておきましょう(笑)

ちなみに「詐欺」は言いすぎ、と言われそうですが、彼はサイトのプロフィールに
うつりよすぎる写真を貼っていたので。ついでのちなみにその後、眼鏡を外し
詐欺発言撤回、という展開が待っているのである。ちょっと余談になりました。失礼。

話戻ってダザイヴェートではとても実のある時間を過ごせたかと思います。
詳しくは先ほど書いたように近日(ひつこいように近日、と繰り返し書き自分にプレッシャーを!)
レポをアップしますが、桜桃忌の夜にいつもヒマなフォスフォレッセンスがぱんぱんに満員に
なって、おおいに太宰を語る、その場を創れている事にとても幸せを感じます。

斬新な自由発表をしていただいた(しかもレジュメ付き、しかも太宰Tシャツ着用!超お似合い!)
小池克宜さんはじめ、太宰治と聖書、太宰と私、昔の桜桃忌のご様子などを語ってくださった方、
太宰初心者の方、全作品読まれた方、太宰LOVE度がまちまちで、(小池さんの表現頂きました)
それが良かった。太宰って愛されているなーと。またつくづく感じました。
太宰ファンが集う店で本当に良かった、と。やりがいがあって幸せですよ。

この店を開店した事は「若気の至り」だけにはどうやらならないようです。
恋する度に「毎回最後の恋だと思ってる」と言って結局別れてしまい、
その時に身体に彫ったタトゥーを後悔する、なんて事が青春時代にはあるようですが、
私にとっての身体を張ったようなこのフォスフォレッセンスの開店、
この命がけのタトゥー、もっともっと深く身体に刻み付けていきたいくらいですね。
(注・私はタトゥーをしていません。一応。するとしたら 水曜日はデートの日、
なんてのはいいかも。すいません、松子ネタでした)

また長く最後はハイテンションすぎなかんじですが、年に一度の桜桃忌の日記なので
許してやってください。

最後にダザイヴェートにいらしてくださった方々のブログやサイト紹介を。
小池さんの「コイケランド」朗読イベント「サタデーナイト本屋」で太宰作品の朗読もされています。
井上さんの「風船/三鷹」三鷹のイベントなど紹介されています。うちの店の最新写真が素敵。


2006年6月17日 土曜日
今日も新聞を見て来ました、という方がチラホラと。
中には遠方の方もいらっしゃり、雨で足元の悪い中感謝です。
川崎のご婦人の方は、太宰作品の朗読をずっと続けられているそうで、
いつか桜桃忌の時期に、三鷹に来たいとずーっと思っていたので、
今日その夢が叶って本当に良かった、ここのお店にも来れたし、
満足な一日、と繰り返し言われていて、なんだか嬉しかった。
「普段は夫の面倒をみなくちゃならないけど、今日は三鷹に行く、と決めて
段取りつけて出てきた甲斐があった、
夫に虫でもついてくれたら私もラクなんだけど」と大笑いされて、
なんだか昨日の男性といい、太宰ファンなご年配の方って
色っぽいジョークも明るく笑い飛ばす、みたいな元気な方が多くいらっしゃって、
また初対面の私にも打ち解けてくださってるような気がして、
安心してこちらも気持ちがほぐれていくのです。

禅林寺へよってからうちまで歩いてこられたようなのですが、
太宰の墓前にはポツポツと人がいらしていた、
送られてきたサクランボが3箱くらいお墓の前に置いてあったこと、など
話してくださりました。

実はこの私も、今朝墓前に行ってきたんです。
早かったので、誰ひとり人はいなくて、まさに太宰と差し向かいで二人きり状態。
墓前へ続く1本道が見える水汲み場まで来るといつも緊張するのですが、
まっすぐ進み、真ん中あたりまで来ると、もう太宰さんの墓前の鮮やかなお花が
パッと目に入っていつもながら驚きました。どちらかというと黒やグレーの地味な色の列の中、
そこだけパッと色とりどりの花々で、桜桃忌に限らずのことだけど、
太宰は本当に愛されている作家だとここへ来るといつも実感できます。
都会とは思えないような、静かなこの空間が私は大好きです。
ここへ来ると血液サラサラになった気がする(んなワケない)

「新聞を見て来ました」という方のほとんどはご年配の方々で、
みなさん、太宰との事を話してくださる時の目は輝いていて、
何度も言いますが、太宰さん、愛されてる。
これ今回の桜桃忌、特にビシバシ感じます。すごい人ですよ、ほんとに。


2006年6月16日 金曜日
今日は生前の太宰と飲んだ事がある、というお客さんが来店されました。
太宰と同じく金木ご出身で、現在は東京にお住まいの78歳の方。
先日の新聞記事を読んで、うちの店を知り、長い道のりを歩いてきてくださったようで、
来店されるなり、「アルコールはないですか?」と元気よくおっしゃられ、
お帰りになるまでに10回くらい、「アルコールやっぱりないよね?」と
満面の笑みで繰り返されましたが、それが全くイヤなかんじでなく、
どこか癒しを含んだオヤジギャグ、みたいなかんじで(うまく伝わるでしょうか?)
こちらもなんだか元気にさせられたというか・・・
とにかく80歳近いとはとても思えないようなパワーで。
戦後を生き抜いてきた人の逞しさを目のあたりにしたかんじ。

帰り際に「お元気ですねー、是非またいらしてくださいね」と声をかけると、
「いやー、もう男としては終わってるから。はっはっはっ!」と最高のオヤジエロギャグ?
をかまして爽やかにお帰りになられました。

そうそう、その気になる太宰とお会いになった時のご様子を。
まだお客さんが二十歳くらいの時に、太宰が金木に疎開していた。
お酒の場で差し向かいになったそうな。
ただ自分はまだ若造だったので、太宰と何か話をした、という事はなく、
ただ静かに太宰さんはお酒を飲んでいた、飲んで暴れたりするような事は
決してなく、その時はおとなしかった、という事らしいです。

私は、「かっこよかったですか?」などマヌケな質問を繰り返してしまったのですが、
「うん、背が高いよ」というお答えで、とうとうお客さんから太宰がいい男かどうかは
聞けませんでしたが、生身の太宰と差し向かい・・・それだけで興奮するのを
必死に抑えていたのでした。

お客さんは、金木にある雲祥寺という地獄絵のあるお寺で、
よく太宰の本を広げて読んでいたらしいです。
なんだか羨ましいような気がする。
金木、そろそろ行きたくなったな。19日の生誕祭が行われる芦野公園は
とってもいいところですよ。

2006年6月15日 木曜日
猫の事で頭がいっぱいで火曜日に書き忘れましたが、
昨日の朝日新聞の夕刊(東京版)で、お店の事が紹介されました。
第7ページの「太宰の魅力 時を超え」というコーナーの一角です。
「津軽」の太宰が見たであろう風景を追いかけたという写真50点を添えた新装「津軽」の
本や、公開中の映画「富嶽百景」の紹介などがあり(塚本太宰のエクボに萌えました♪)
ゆかりの三鷹で朗読・演劇(芸術センターでの催し)、などの内容でした。

今日お店に行くともうお客さんが待たれていて、聞いてみると松山の方だとか。
三鷹に娘さんが住んでらっしゃる事もあり、しょっちゅう上京されていて、
たまたま昨日の夕刊を目にしてお店に来てみたくなった、との事でした。

しかし午後からは雨のせいもあってか、相変わらずお店はヒマでした。
「新聞に掲載されてヒマな店はうちぐらいのもんですよ」と
お客さんに軽く冗談をとばしたりして(笑)
でもご近所の方が、「新聞とっておいたけど、いる?」とか声をかけに来て
くださったり、お電話で、「富嶽百景の映画ってどこでやってるんですか?」と
問い合わせを受けたり、バタバタしているうちに1日が終ったかんじ。
明日も明後日も雨のようですね。
19日もやはり、雨かな?

ダザイヴェートの方は、予約受付終了とさせていただきます。
また来年もさ来年も6月19日のたびに続けていきたいと思っておりますので、
興味のある方はいつか是非ご参加ください。

2006年6月13日 火曜日
またこの日が来た。
そして桜桃忌まであと1週間を切った。
世間はサッカーだけど、私は桜桃、そして例の猫。

結果から報告すると、優しい人が現われました。
あの猫ちゃんにとっては、神様みたいな人が、
診てくれる人がいるから、と猫を連れていってくれました。
良かった。大家さんと一緒にホッとして、
連れていってくれた人に感謝しました。

今日もまだ猫は同じ場所にじっとしていました。
大家さんによると、朝、誰かが「役所に連絡した方がいいよ」と言われてた
らしいのですが、死んでしまった時は、そうするしかないかもしれないけど、
まだ生きてるのに、それはできない。でもこのままでいいのかもわからないし・・・
と私も同じような思いで、どうするのが一番良いのだろうか、と悩んでいて、
来店いただいたお客さんにも「お店の前だとちょっと・・・ね」と色々心配を
おかけしたりして、悩みすぎて混乱してきて
「桜桃忌のこの時期にこの場所を選ぶって、太宰ファンの猫?」みたいな
おかしな考えも浮かんできたりして・・・

猫を飼った事がある、というお客さんが、その猫の頭を撫でてみると、
「ニャー」としっかりと鳴く。
その時のお客さんの、「おまえ、どしたん?人生に絶望したんか?」っていう
言葉に猫がなんともいえない表情したので、なんだか情が湧いてきてしまって
このままではダメだ、さて、どうしよう、
でもすぐお客さんが来店され、いろいろコーヒーつくったりしているうちに
頭の中も店の事でいっぱいになり時は流れ、

そんな時に、
猫を抱きかかえようとしている人がいるのが見えて、出て行ってみると、
「ノラちゃんですよね?」と、私に笑顔を声をかけられ・・・
その時、つくり話でもなんでもなく、まだ具体的な話は何ひとつしてないのに、
この女性は神様だ、と思った。

先日、南の島に旅立ったうちのお店をとっても愛してくださったお客さんに似た、
眼鏡をかけた優しい人でした。そのお客さんも猫がお好きで、この窓際の席で過ごされては、
「あ!ネコ!ダメ!道路に出ていたらダメ!轢かれちゃダメ!」って素に戻った声で
突然叫ばれ、そばにいた私はよくビクッとしたものでした。
なんというか猫を愛するあたたかなまなざしが、この場所にちゃんと残ってる気がしました。

話戻って、「診てくれるって事なので、回復するかはまだわかりませんけど、
連れていきますね」と猫ちゃんをいれる袋も持ってきてくださってました。
お礼を言いながら、ご連絡などお聞きしようかと思ったけれど、こちらも店内にお客さん
がいらっしゃるし、今申し出ても手が空いていないし、お顔はしっかり覚えてますので、
また改めて御礼を、ととにかく猫を連れて行くのを見守っていると、
今までじっとしていて死んだようだったのが、嘘のように鳴いて抵抗?おそらく足を
動かすと痛いからだったと思うのですが、「おまえ元気じゃないか!」と突っ込みたくなる
くらいの声と動きで、でもその女性はとっても猫の扱いに馴れてらっしゃるようで、
なるべく痛くないように袋にいれて、素早く猫を連れて行きました。

私もすぐ店に戻り、これで安心、助かるといいな、と思った刹那、
昨日今日とずっと猫がいて何回も視線を注いだ場所にもう猫がいなくなってるのを見て、
胸がかきむしられるように痛みました。
この痛み、これは・・・そう、子供の頃の痛みのかんじです。

なんだか今日はそれから茫然としてしまって。
でも、この人が現われなかったら、と思うと。本当に心から感謝いたします。
又、一緒に心配してくださったお客さんにも感謝いたします。
この店の近くには、良い人がいる。今日は良い発見の日でもあります。
この感謝をちゃんと還元していく事が何かできたら。しなくちゃ。

今日は入水の日。
その日にこんな事があって、とても不思議なかんじがしています。
最近忘れっぽい私ですが、この猫の事はずっと憶えていよう。


2006年6月12日 月曜日
店の前の桜の木の小脇に猫がジッとしていて、
一瞬死んでる?って思ってよく見てみると、息はしている。ニャーともいう。
足をどこかで痛めたのか、一歩も動こうとしない。
大家さんがお水と鰹節なんかを側においてあげたらしく、
時々様子を見にこられるのだけど、「全然口にしないの」という状態。

通り行く人の中で猫の存在に気がつくと、撫でてみる人、立ちどまりただ見つめる人、
さまざまな反応があるのだけど、みんな共通して「まさか、死んでる?生きてる?」
とびっくりするので、誰の目から見ても衰弱しているのは明らか。
捨てられたのか、ノラ猫なのか、全くわからない。
猫を飼った事がないし、何もしてあげられなく、見守る事しかできない。
この猫が自分の死期を悟ったとして、この場所を選んだのはなぜ?など
考えていると、なんだか松子を思い出した。

ここから映画「嫌われ松子の一生」の話をチラッとします。
ネタバレ多少含みますので、内容知りたくない人は飛ばしてくださいね。

もう2回観ました、松子。
なんか私と共通点がある人なんですよね、松子。
普通の人がこらえるような部分を、平気でまっしぐらに行動しちゃうようなところとか、
自分に酔い、歌を歌う女。まさに私ですね。

松子の最期は悲惨だったけれど、
殺人という大罪を犯しているので自業自得な部分はある。
あの映画のラストシーンに私はある種のハッピーエンドを見た気がします。
「雨は嫌い」という松子、子供の頃から「まげてのばして お星様をつかもう」と繰り返し
歌い続けてきた彼女の人生の最後の夜が満天の星空で本当に良かった。
だからあの最期の星空を、丁寧に描いていたところがこの映画の一番好きな場面です。

あとは勿論、太宰が登場しているからです。
現代の映画のスクリーンで、部屋に貼られたポスターや写真だとはいえ、
太宰治に会えるなんて、幸せな事です。いろんな登場人物の中で、
太宰が一番かっこいい。太宰かぶれの男の部屋に散乱していたのは、
実際の太宰の生原稿のコピーらしいですよ(遺族の許可をとったらしいです)

あとこの映画の伊勢谷友介は良かったですね。
やくざスーツが似合う似合う。松子と獄中の彼が、窓から同じ月を見ているシーンも好き。
お月様に好きな人の顔が浮かぶなんて、まさに私そのもの。
今、松子について語るととまらなそうなのでこのへんでやめときます。

ただ、人はいつか死ぬ、ってことって抽象的だったのがそうではなくなる。
人生について考えさせられる事が多すぎです。
手足が自由に動く事が今は当たり前すぎるけど、動かなくなった時、
何を思うのだろうって考えちゃいましたね。
人生、というよりは人の想い、じっと待っている何か、みたいなものかな・・・

嫌われ松この伝言メモ。「生れてすみません」のページもありますよ。



2006年6月10日 土曜日
いつも素敵なネックレスをされているお客さんが
「今日はケーキが食べてみたくって」といつもよりラフなスタイルで来店。
ジーンズに生成りのシャツに長めのネックレス姿もこれまたサマになっていて、
「どんな雑誌を参考にされてますか?」など少しファッション話を。
アクセサリー類はすべて手作りで、浅草橋なんかで材料を集めたりされているとのこと、
器用な人っていいな。でも茶色の指だそうで、先日「みどりのゆび」の岩波少年文庫の本を
購入されてました。緑の指の持ち主に憧れている、と。

以前近くにあったガーデン、私の癒しの場所(だったところ)にお勤めだった方が
この「みどりのゆび」の絵本ヴァージョンをお探しだったのですが、
いまだみつかっていない。もう「ガーデン」はないけれど、
今も植物に関わる事を続けられているような気がする。
私はいつか「みどりのゆび」の絵本版を見つけて、この手で届けたい。がんばろう。

帰り際に、「もし良かったら、なんですが、ピンクがお似合いな気がして」と、
なんとお客さん手作りのチェーンネックレス、しかも3連にできる!をいただきました。
とても可愛らしい箱からきれいな玉をとりだす指先はとても美しく、
グリーンフィンガーではないと言われようと、なんだか輝きを放ってました。
とーっても素敵です。この夏はこんなちょっと大人っぽいネックレスを身につけて
おでかけしちゃおうと思います。



一番手前がピンク色なんですよ!          ちょっと付けてみました。街中や雑誌とかでアレンジ
                            やコーディネート研究しちゃおー

2006年6月9日 金曜日
お隣の図書館が13日まで蔵書点検でお休みに入っているんですよね。
そのせいもあってか、このところ開店してすぐに
「せっかく図書館に来たのにお休みで、さあ本読むぞって気分を
持て余し、ここへ来ちゃいました」なんてお客さんが来店される。
1組目は親子連れで、窓際のぞうさんの絵本にお子さんが反応されたとのこと。
「この子はぞうさんが好きなので」と。
偶然にもこんな日にそうの絵本を面だししていて良かった。
これもこの女の子の実力、引きが強いんだな、と思いながらお会計を。

おふたりめは杖をつかれているおばあさま、
これまたたまたま「おばあさんは」ってタイトルの絵本を面だししていて、
「おばあさんもの絵本は気になるの、読むのは私」とまた窓側本が売れる。
「外国のおばあさんの引き出し」など数点お買い上げになられ、
「これで大丈夫」と、とってもいい笑顔を見せてくださってお帰りになられました。

その、杖をつきながら一歩一歩ゆっくりと歩かれるご様子を見ていると、
本が読むたくて図書館までやってきたのにお休み、という事がわかった時の
落胆振りが目に浮かぶようです。
この店の存在が、ほんの少しでもお役に立てたかな?と思うと、
あー、まだ開店1時間以内だけど、今日はもう何があってOKなかんじよ♪
と陽気に歌なんか歌い始めたりして。

すると「子供に頼まれまして」と、ご夫人が来店。
お店が開いていない時間帯に窓際にあった「野ブタをプロデュース」を
見かけた娘さんが、お母さんに「買ってきて」と頼んだらしいのです。
「こちらはですね、帯に美しい亀梨君と山下君の顔写真があるので、貴重ですわよ
お母様!」とノドから出かかった言葉をグッと飲み込んで、
いや、飲み込む必要はなかったのかもしれませんが、なんだかとっても急いでらっしゃった
ので、話し掛けるのは悪いな、と思ったのです。

そんなかんじで、本日は窓際大活躍!窓際大賞!な日でした。


2006年6月8日 木曜日
天下茶屋の先代女将、外川ヤエ子さんがお亡くなりになられましたね。
ずっと「あのおばあちゃんが元気なうちに天下茶屋に行ってみたい」と言い続けていて、
とうとう叶わないものになってしまいました。心よりご冥福をお祈りします。

今映画が公開中なんですよね、「富嶽百景」。上映期間が短いので観に行けそうにないですが、
現代の太宰、にはとても興味があります。
ジーパンにパーカー姿で、パソコンのキイを打ちながら原稿を書く太宰、
ちょっと想像できないな・・・だからこそ観てみたかった。

「富嶽百景」ってやっぱりすごくいい小説。
おかみさんの拳は固く、鋭い。(文中より)
おかみさんと娘さんが出てくる場面、すごく肉を付けていると思うし、
大好きです。いつか天下茶屋に向う日が来たら、また読み返そう。

おとといだったかな?
来店されてさっと1周されて、高田宏の「パラダイムストーリー」をさらっと
購入し風のように去っていかれた女性の方が、印象に残ってます。
かっこええ〜、、、みたいな。

窓際に出してあげる本は今が旬だったり、例えば清岡卓行さんが永眠された、
ということで「アカシアの大連」を出してみたり、時事的な選考多し、なかんじなのですが、
良い本にも関わらず、あまりにもそこにあるのが似合いすぎていて、棚から
一歩も動かせない本、というのもあって、この本はそんな位置にあった本でした。
ミニチュア本棚のケースのすぐ隣です。

でもそれを言い訳に、ここ1年くらい、まったく触ってあげられていない本、
というのも残念ながら数冊存在していて、だからこそ、こういう方に
見つけてお買い上げいただけると、とっても嬉しいですね。

1冊2500円もするのですが、なんのためらいもなく選ばれるような、
なんというか気風の良さ、みたいなのが思えず「かっこええ〜」と唸らせたのです。
今の私なら、本に2500円かけられるかというと、すごく悩むと思う。
うーん、ジャスコだったら白フワスカートが1着買えるかもしれんぞなもし・・・みたいな。
でも自分が死んでしまっても残るのは本なのですよね。
スカートや洋服なんて、買う時はおおいに迷って良し。
ただ欲しい本に出会った時、その時は少しも惜しまずそれを手に入れる、
そんな心意気溢れる人になりたいですね、いつか。今はちょと無理かな・・・
余裕のある人になるのが目標なのに、道は遠いですね。ええ、ため息が出るほどに。

つい先日ニュースを見てたら、スポーツキャスターが、
「松居選手の愛読書は、太宰治の午後の曳航です!」とテレビで断言してたけど、
太宰じゃないですよね?と、お客さんから尋ねられたのですが、
三島の間違いですよね。しかし大胆な間違いっぷりですね。見てみたかった・・・


2006年6月6日 火曜日
新聞の取材のようなもの、があってお話をしていると、
奥の席のお客さんが、偶然にもその新聞の配達員さん。
おもしろいめぐり合わせでした。

最初はこちら側(窓側の方の席)でしばらく太宰の話などをしていて、
ふとした会話から、私も取材をしていただいた女性も同じ5月生まれだとわかる。
彼女は13日生まれだという。
「5月生まれの人って、結構本好きとか文章好き、また才能がある人多い
らしいですよ」(ごめんなさい、確かな根拠なく、うろ覚えでどっかで耳にした事を
おおげさに、いかにもなかんじで口にしてしまいました、ごめんなさい)

と言うと、奥の席から、
「え?そうなの?」と声がして、
「5月13日生まれの作家で私の元職場の後輩?(だったかな)がいるよ」と。
詳しく伺うと、「夜明けの音が聞こえる」ですばる文学賞を受賞された大泉芽衣子さん。
私は未読だったのですが、お客さんの「ものすごい才能を感じるよ」という話を聞いていると、
読みたくなった。気がつくと、当の同じ誕生日の彼女も気になるのか書き留めている様子。

女性ってやっぱり占い好きな人多いですよね。
そこから、「5月生まれの男性は優しくて誠実な人が多い」(これはホント)とか、
太宰は双子座だけど、双子座ってちょっと浮気する人が多い、しかしそれは
本人が頭も良く魅力的だからこそ、黙っていても異性が寄ってくるから
(これもややホントだけどちょいおおげさにしてるのが私風)
ってかその「ホント」の根拠は?って話だが(笑)

そしたらまた奥の席から反応があったので、「何座ですか?」と声をかけると、
「蠍座のO型です」と返ってきて「でたー!蠍座!」と返す。
(きっと何座でも、でたー!○○座!とあなたは答えるでしょ?と言いたい方、
ノンノン(人差し指を交互に振りながら)蠍座は特別です。
それはうちのヒトが、蠍座の血液型不明、だからです!ヴァーン(効果音)

「なんでなんで?」というお客さん(私と同じ大阪出身です)
anan風に言うと、「蠍座は12星座の中で一番Hテク有」とのことですが、
勿論、平日の昼間から、しかも取材中にそんな発言は慎みます。
「情熱家が多いそうですよ、蠍座は」と嘘じゃないけど
無難な返事をしてしまいました。
そしたら私と彼女に、奥さんと娘さんの写真を見せてくださったりして、
なんだかお茶目な一面を見たな、といった午後の甘いひとときでありました。

司馬遼太郎が太宰について、高貴なものを求め続けた人、と書いていることや、
奥様が太宰と手紙のやりとりをしていたエピソードなどを教えてくださり、
それらについて触れている司馬本を、時間があったら読んでみようと思います。
最後はビシッとこんな話をして帰っていかれましたが、今日だけでなく、
今までお店で交わしたいろんな話を思い出すと、やはり情熱家に間違いない、と思います。
と、一番の情熱家が言っても説得力ないかな(笑)


2006年6月5日 月曜日
本日の朝一番のお客さんは、前に東大和から自転車で来てくださった方。
コーヒーを淹れながらお話を伺うと、今週末金沢に旅されるとのこと、
前に「そらあるき」を購入いただいたので、もしかしたら
それで金沢を訪れたくなったのかな?なんてちょっと思ってしまった。
だったらなんだかすごく嬉しいので。

太宰の「メリイクリスマス」のシヅエ子ちゃんのモデルである
林聖子さんが開いていた文壇バー「風紋」についての本、
あの「風紋25年」を「お貸ししますよ」と。貴重な本をありがたくお借りする。
しかし「シヅエ子」とはナイスネーミングだわね。

お二人目のお客さんは、今朝、この店に来よう、と思い立ち神奈川から
2時間かけてやってきてくださったそうな。なんともありがたい。
近づくと、ふんわりといい匂いがした。素敵な香りだったな。控え目だからこそ、
後を引く香り。お子さんがいらっしゃるからなかなか自由には動けない、
と話してくださったのですが、どこか少女のような雰囲気の素敵な方で、
お母さんなんだ、という事に驚く。

このサイトを発見して、うちの店を知り、すぐにでも実際行ってみたくなった、
とのことですが、そういう行動力は私と共通してますね。
ブログでお店の事を紹介してくださる、という申し出に、ではこちらも
紹介させていただいてよろしいですか?とその話題を少し。

ウルフルズのファンだそうで、「反省なんかしない」という曲のタイトルがブログの名前。
ウルフルズのトータス松本さんは、私の過去の今好きな男第一位歴アリ、なんですよ!
めーっちゃ脚が長くてジーンズが似合うんですもの!
なーんてホントの話なんですけどね。「ガッツだぜ」の頃、一度夢に出てきて
その中ではトータスさんと結婚してたんですよ、私(出た!脳内お花畑モード!)

私の脳内では、常に自分の中での今好きな男第一位変動してるんですよ、
月曜日はアンドレ、火曜日は袴田吉彦、水曜日は伊勢谷友介、ってなぐあいに。
なんて私の話にもコロコロと少女のように笑ってくださる素敵な方でした。
太宰もお好きなようで、随分太宰話もしましたよ。
こういう時やっぱり私イキイキする。自分でわかる(笑)

そろそろ桜桃忌、近いな・・・


2006年6月3日 土曜日
友人が「彼氏を紹介します」とのことでで来店。
長身痩せ型スーツの似合う爽やかイケメンさんでした。
それでちょっとスーツの話題になって、丸井の上階にあるかっこいいスーツ
のブランドなど教えてもらう。今度行ってみよo(^o^o)(o^o^)oワクワク

立命館出身とのことで、よく行った大学周辺の食堂の話題などで盛り上がる。
ふとした流れで「プラド美術館が好き」というのが気になって話を聞いてみると、
本を読んだことがきっかけだそうで、私も思わず身を乗り出して質問を続ける。

宮本輝の「ここに地終り、海始まる」を読んだら、どうしてもロカ岬に行きたくなり、
スペイン・ポルトガルのひとり旅をしたそうな。
その時訪れたプラド美術館が、強烈な印象を彼に与えた、と。
レンブラントやゴヤの絵、なかでも晩年のゴヤの「黒の絵画」の印象は強烈だった。
それだけの部屋があって、過去に書いた絵を黒く塗りつぶしたもので・・・
と静かに話してくれる彼の声に引き込まれるように耳を傾けていた私と彼女、

「その話聞くの、私初めてだ」と彼女が言ってた。
わかる。私も過去に同じような事があった。
第三者を通しての恋人の言葉や視線って、特につきあい始めの頃は新鮮ですよね。
「1秒ごとに新しいあなた見つかる」って歌の歌詞を思い出す。まさにこのかんじ。
「あ、今私の事、『彼女』って言った?萌え〜」とか(ちょっと違うか・・・笑)

なんか、とってもお似合いの2人でした。彼女の方も、転職したと聞いてから
初めて会うので色々心配していたのだけど、
仕事がとっても楽しいらしいし、、彼氏とはラブラブだし、なんかキラキラしてました。

いい彼氏見つけたな〜と下世話ながら思った。
本や映画の話しててもなんかセンスが似ていて、おおいに刺激を受けました。
このところ憧れるようなかっこいい女性がたくさん来店してくださった刺激とは
またちょっと違う。それはきっとスーツと長い脚のせい(謎)
いや〜、若い男性やっぱり良いわ良いわ〜


誕生日プレゼント、とこんなキュートなバッグをいただきました。めっちゃ可愛いです。
40なのにオリーブデオリーブ、さすが私の事をよくわかってる長年の付き合い。
40代でもピンク色でどんどん気分アゲていきますからねー!

2006年6月2日 金曜日
新聞の第一面に赤ちゃんの満開の笑顔の写真があって、それだけで
随分気持ちが明るくなった。こっちも自然と笑顔満開になってた。
「ぺたんこ祭」という奇祭で、赤ちゃんのおでこにペタンって判子を押してる
写真だったのです。大昔からずっと続く奇祭というもの、すごく興味がある。
最近なぜか夢見が悪く、夜中急に起きて「こわい夢みたー」と震えてみたり、
日記を見た限りの充実したモードとは裏腹に、何か心の深い部分で悩みでも
あるのか?と気になっていたそんな朝だったので、いいタイミングの笑顔だった。

調子が悪いくらいで普通で、思わず笑顔がこぼれるような事がひとつあると、
それだけでとりあえず1点プラス、みたいな、そんな点数をコツコツ貯めてるかんじ。
時に夕方くらいになってもマイナス5点、とかの日がある。
頭痛が朝からずっとやまなかったりした日とか、特に。
だんだん辺りが暗くなり今日も終ってしまう、と思うとなんともいえない気持ちになって・・・

そんな時のマイナスをなくすてっとり早い方法を私は知っている。
ズバリ、本です。自分がお客さんになるのです。
あたたかいお茶を淹れて、短編をすくっと読んでしまおう、と気分を高める。
ほんの1杯のコーヒー程度で読めるものに限ります。

作家の小手鞠るいさんが、野中柊さんの「あなたのそばで」という中の
「イノセンス」が、過去に読んだ全作家の全短編のベスト3に入る、
という雑誌のインタビュー記事を目にして、そういえばうちにその本あるぞ、と
読んでみました。

マイナスが大きなプラスになる瞬間があります。「イノセンス」を読んだ後、
まさにそんなかんじになれました。すっかり暗くなってる窓の外の風景を
カップ片手に見つめる気分も、さっきとは全然違う。余韻をゆっくりとお茶とともに
飲み干すかんじ。 やっぱり小説を読む事で無駄な事などないな、と思うのです。

シオネ監督コンビが約1年ぶりに来店。相変わらずの素敵な笑顔を見せてくれました。
太宰のドキュメンタリー映画を製作中のフランスの監督です。
桜桃忌に合わせての来日。本格的な撮影は秋以降になるそうですが、楽しみですね。


おみあげにいただいたパリのチョコ。缶もすごく素敵で永久保存版ですね、これは。
思いがけない甘いものに頭痛もふっとぶプラスな魔法のチョコレート♪
カロリーもハイプラスだけど、少しづついただくのでキニシナイ♪

2006年6月1日 木曜日
6月のスタートです!
なかなかいいかんじの滑り出しです。
今日はお客さんが、「昨日とある講演会で会って隣に座った素敵な彼女をナンパして
こちらへやってきたんですよ」と、来店。
素敵な大人の女性、お二人が店内でお茶を飲みながら会話されている姿は
とっても絵になっていて、こちらも大変刺激になりました。
会ったばかりなのに、「こんなお店があるんだけど」というお誘いに、「じゃ明日一緒に行きましょう」
みたいなフットワークの軽さや、タイミングを大切にされているところなんかがかっこいいな、と思う。

最近よく売れている本、「国家の品格」の話をされていて、
私はあまり読まないジャンルの本だけど、読みたくなってきたからあら不思議。
売ろうという欲が特に働かないで自然に発する本の会話が、一番のセールストーク
だったりするもんですね。

「この棚にある本のコーナーがものすごく私の趣味と合うかんじです」
と、純文学の本を主に置いているひとつの棚を、ほとんど箱買い?状態で
お買い上げいただき、嬉しい悲鳴。
なかでも、函がついていないのだけど、とっても魅力を感じる本を
さりげなく面出ししていた「日本の名随筆 恋」に反応していただいたので、
「これ、いいんですよねー」と本の話をしていくと、
書評のブログを運営されている、とのこと。どおりでお詳しいと思った。
お店の写真など掲載しても良いですか?との申し出に、ではこちらも本日の日記で
紹介させていただいても良いですか?と(ブログ、のところクリックしてみてくださいね)いうことでご紹介。


 「恋」
函が欠けている分、ただその一文字だけで、棚の中でも圧倒的なオーラを放っていた1冊。
「これで谷川俊太郎編なら、もう中身は間違いないですよ」と素早く購入を決められた
瞬発力に感動。
「うちは結構サロンのように人がやってくるので、この本もまたいろんなところに旅立つと思います」
とさらりと言葉にされる。行くべき人のところへ行けて幸せな1冊でもあると思う。

函が欠けているとか、痛みがあるとかヤケがあるとか、
そういう欠点も、うちにやってくる本はおおいに愛してあげて、プラスの部分を
うんと伸ばしてあげたい。それには私自身も言えること。
へこみだらけの人間ですが、それを気にしたり修正する事に時間を費やすには、歳をとりすぎてしまった。
ならプラスの部分をおおいに伸ばしていく努力をしなくちゃ、と思う。
憧れるような人に会ったり話したりする事で実感できる事。
今日の女性2人の姿はほんとに、なんというか、ただ美しかった。
予期せずしてそんな時間が訪れるのだから、この仕事はなかなかいいですよ、うん。



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