2008年8月26日 火曜日
私の周りの同年代の女性が皆元気なのは心強い。

今日は開店早々、オープン当事からよく来ていただいているお客さんと
色々お話したのですが、去年より今のほうがお元気そうで、それにとっても表情が明るく、きれい。
私より少し年上の方だけど、全然若く見えるんですよね。

私と同い年の義理の姉が上京していて埼玉に住む従妹と日曜日にお店に来てくれたのだけど、
若くて元気!バス亭からお店の場所を電話で知らせた後、お店の外に出てみると、
向かいの道から女性2人組が手を振っている。振り返そうと思ったけど、
どう見ても20代の雰囲気。ミニスカだし。しかし・・・ん?やっぱり?
ギャル風ファッションのようでいて大人の旅のレジャー服というテイストも合わさりなかなかお洒落なお姉さま。
顔もシワひとつないよ?なんでそんなにいつまでも若いの?と出会い頭聞きたくなった。
久しぶりの再会に話が弾むのは当たり前として、2人のテンションが高い高い。
存分に東京観光を楽しまれたようでなにより。パワーをもらえたような気がする。
私も更年期障害が・・・とかばっかり言ってたらダメですね。病は気から。
寝るとすごく気持ちいいけど、起きてる時間を無駄なく充実させていかないと。

日曜日には関西からお知り合いの方も出張ついでに来店くださって、
この方もすごいパワーの持ち主なんですよ。
来年太宰の生誕100年ということで、何かイベントを思案中のようです。
知り合ったのが1999年の桜桃忌だから、あれから9年は経っているというのに、
やっぱり全然お変わりないような気がする。

ほぼ同い年の太宰朗読でご活躍中の原きよさんもとってもおきれいで素敵な方。
先週原さんの朗読イベントを聞いてきた帰りに寄ってみました、というお客さんが来店くださったんですけど、
イベント会場であるレストランでたまたま隣同士になったうちのお客さんにこの場所を教えてもらえたから、とのこと。
どのお客さんかな?と思うっていると「スラーッとした方で」と聞いただけですぐわかった。
そのお客さん、すごくかっこいい女性なんですよ。容姿だけでなく内面がかっこいい人。
なんだか素敵な同年代の女性って、身近なところでもぼろぼろ出てくるものですね。

来てくださったお客さんは、原さんの朗読にかなり打たれるものがあったようで、
お話を聞いているだけでメロスを語る原さんが目に浮かぶようでした。そこにも炎が立ち上ったのだな、と。
うちのお店の事は新聞記事で知ってくださっていて、来たいけれど場所がよくわからなかったらしい。
今日は来れて良かったです、と何度も言ってくださって、こちらこそ、とさまざまな導きに感謝しました。
「更年期障害に苦しんでいる時に何かおすすめの本はありませんか?」との質問に
「スマート・エイジング」を差し出してみました。気に入ってくださったようで良かったです。

普通の日々の中にもパワーをもらえる事はたくさんありますね。
夏の終わりだからこそ、元気でいたい。疲れてる表情などしている途端に夏は去ってしまう。
パンパン!とほっぺたを叩いて気合を入れなおす私なのでした。
あ、でももしすぐお客さんの来店があったら、「どうしたの?ほっぺが赤いよ」って言われないようにしなきゃ。
トシとるとハリの戻りも時間かかるから(笑)


2008年8月25日 月曜日
雨の中、一度に10名様ほどのご来店があり、何か文学関係の催しが近くであったのかな?と思って
お聞きしてみると、以前に来店くださって「太宰治スタディーズ」という本を提供してくださった方だった。
その第一号は総特集「斜陽」でこれはかなり充実した内容のものです。太宰コーナーに設置してますので、
興味のある方は是非手にとってみてください。
根入れて読んでみたい本リストの中の1冊で、まだ熟読はできていないのですが、
斜陽への興味のバイオリズムが高まった時に一気に読めそうな気がする。

狭い空間で申し訳ないけれど、そんな中、本の背を追う目線、文学や本の話がとびかい、
心地よい緊張感に包まれました。
「あ、谷崎精二全集がある」とどなたかが棚の上を指指すと、いっせいに皆さんの視線が注がれる。
出番ですよ、この時を待ってましたよ、な瞬間。
こういう時にも光が上昇していくのを見れる事があるのです。眠っていた本が目覚める合図のような光。ときに炎。
「谷崎潤一郎の弟で早稲田の先生で・・・あ、1000円、安い。自分が買ってもいいですか?」のような会話が聞こえる。
長い長い間、このお店にあったけれど旅立っていった。大切に読んでくれそうな方に。
他にも文学の本が売れていって嬉しい。今日は良い日だ。

16,17日の余韻に浸ってそろそろ現実モードに、という切り替えに
お休みの最後の日にお客さんからお借りしていた「太宰治物語」のDVDを見ました。
放送日に見た時よりも実に良い出来だと感じました。すごく丁寧につくられている。
豊川太宰、なかなか良いですね。シーンも私好みのエピソードが多くとり入れられていたし、
金木の生家の掛け軸の「斜陽」の文字が映るシーンは初回は普通に流して見ていたけど、
細かいところをきちんと描いているな、と関心しました。かなり評価できるドラマではないでしょうか。
来年は生誕100年だし、再放送があるといいな、なんて希望しています。その時は皆さん、録画必携ですよ!
いいモード切替になりました。貸していただいたお客さんに感謝です。
昔は夢のような時間をすごしたら、また日常に戻るのがブルーだった。
今は本来の時間に戻る、という感覚。またこの日々に戻れることが一番なんだとわかっている。
そんなこんなでここのところ雨ばかりですよ。雨もいいけど、明日晴れないかな・・・ 
ま、雨でもいいか。本を読む人が増えると良いな。


2008年8月22日 金曜日
連休明けはとても忙しかった。素晴らしい。
一日に何回もこまごまと本を買ってくださるお客さんがいらっしゃったり、
お休みは楽しめましたか?と来店してくださるお客さんがいらっしゃったり、あっという間に過ぎたかんじ。

結構ハッキリなんでも言い合うお客さんは、私がサザンライブを泊りがけで行ってきた事に対して
「正直理解できないんだわ、そういうの」と笑いながら感想を述べられ、
「理解できない気持ちもわかります、うまくブームや商法に乗せられて・・・という意見もわかりますけど、
自分にとってそれがホンモノの対象であるのなら、踊らされる事に快感を見出す私のような人も多いようです。
愉しみや趣味は人それぞれでいいんじゃないでしょうか」
と私も返し、活字VS音楽の話題でしばらくバトルでした。

そのお客さんは本から得られる知識、情報、感動がなによりに勝る、というお考えのようで
「それはそうですけど、私は五感に訴えかけてくるものとしては、嗅覚、音楽(聴覚)そして視覚、という
順かな。身体で、感覚で得た情報が一番強烈なんです」と答えるとお客さんは
「音楽で?うーん、私は本で文字からでも強烈に五感に訴えてくること十分あるよ」
としばらくお互いいろんな例を出し合ったのですが、結論は刺激の強さとしては「嗅覚が一番」ということになりました。
突然懐かしい匂いがしてきたら、一番身体の感覚が反応する、ということで。
でも音楽の刺激は、お客さんにとってはクラシックやバレエ音楽以外のものはかなり下の方のようで。
まあ人それぞれですよね。「歌謡曲」ってすごく日本人的だと思ってたけど、大半がそうだと思ったら
危険だったから私のおおまかな物差しの甘さの修正としては意味のある議論になりました。

あと違うお客さんからは今回の感謝祭でどれぐらいのお金が動くのか、という話をふられて、
数字に弱い私は「あまり考えたことなかったです」と正直に答えたけど、
きっと経営者としてこの人ほんまにツメアマやなと思っただろうな、とほんの少し反省しました。

忙しかったのはさっと潮が引いた後、ちょっと今頭ごちゃごちゃだから10分ほど読書タイムしよ、
と思って横にある本に適当に手を伸ばしたら「名作はいつもアイマイ」に届いたのでキャッチ。
好きな監督の著書だから借りてみたのですが、よく太宰について触れられているのでもしやこの本にも?と
思ったら「メリイクリスマス」を取り上げられていました。
テキストとは別に太宰に触れている部分をちょっと抜粋すると、

「太宰がその顔に湛えた「翳り」や「思慮深さ」は、決して偽者ではないはずですが、
しかし彼は、目の前で、他人にカメラを構えられた時、それを自分の像として隠さず表出させることの
出来る人、つまり、相手の要求するものを理解し、それに合わせて自分像をきちんと演じることの出来る、
「役者」であったことが見て取れるのです。

彼自身が我々読み手の顔をじっと見据えて、先に言った様な演技力を発揮していたからと考えることも
できると思います。これぞ表現者の極意であります。
相手の顔をきちんと見つめ、相手を自分の内に生きさせることの出来る男の人が、
モテないわけがありません。 」名作はいつもアイマイ 西川美和著 講談社p181より

田村茂撮影の頬杖の写真を指しての言葉です。うんうん、と頷きながら読みました。
私の好きな男性のタイプ、追いかけ憧れていた男性像は、私の顔をきちんと見つめてくれる人なんだろうな、
と今更ながら気がつきました。

「メリイクリスマス」については、
「母のために注文したうなぎを半分づつ、つつき合う最終場面の美しさは、生きることへの静かな賛歌そのものです」
と書かれておられますが、是非監督の手で映像化してほしいな、と思いました。
この本の流れで「メリイクリスマス」を読むと、また違ったかんじの絵が浮かび新鮮でした。
その後すぐ原作ものは映画化しない、ずっとオリジナルでいく、オリジナルか死かだ、と宣言されているけれど、
短編だし密かに映像化される事を望んでいるくらいはいいですよね。
「メリイクリスマス」も良い作品だな。近いうち冬の読書会でやりたいテーマです。
もしクリスマスに読書会したら参加者あるのだろうか??


2008年8月21日 木曜日
余韻に浸る、という事を随分忘れていた気がします。

16,17日は横浜へ出かけました。目的は前にも日記で触れた、サザンの真夏の大感謝祭。
持病が多いので以前のようにただ楽しみ、というわけにもいかず、同じ分だけ不安も大きかったのですが、
無事いい思い出をつくって帰ってきました。
天候も台風が来るとか雷雨だとかいろいろな予報がとびかっていたのですが、
私の晴れ女パワーも7万分の1くらい?お役に立てたのか、参加した初日だけライブ中雨降らなかった
んですよ。ライブ終了とほぼ同時にポツポツ、と雨が降ってきたのはびっくりしましたが、
この日は他にも天空の舞台演出がサプライズだったようで。
残念ながら私の座席は1階Nスタンドの後方だったので屋根がついていて上空は見えなかったんです。
アリーナやメインスタンドで見ていた人の報告にすると、月と稲光が曲とマッチして登場したんですって。
私の大好きな曲「愛の言霊」の「盆にゃ丸い月も酔っちゃって」のところでちょうど雲の切れ間から満月が
顔を出し、「エロティカセブン」で桑田さんがシャウトするとそれに答えるかのようにピカッ!と空が光ったそうな。
これぞ野外ライブの醍醐味ですよね。屋根の下ではシンドバッドの花火さえ見れなくてちょっと残念

しかしそんな事はどうでもよくなるくらい良かった。幸せだった。
スタジアムに入場した瞬間、外とは別世界ですごい熱気でムードは最高潮だったのですが、
想像していたより会場が小さく感じました。最初席に座るのにちょっとじたばたしてオープニングかすってしまった
のですが、目の前に大画面がありそこで桑田さんはじめメンバーの表情はバッチシ見える。
ステージは勿論豆粒なのでずっと大画面を見ているわけですが、またびっくり&鳥肌ものだったことが・・・

太宰じゃないけど、「桑田さん、私ひとりに向かって歌ってくれてるみたい」それが感想の第一歩。
この会場にいる人々の大多数が肉眼では自分たちを確認できない事を考慮して、と言ってしまえば
それまでだけど、画面に映るその表情はマニュアルじゃない、筋書きどおりではないメッセージを含んでいる。
天才なんだけど、その響きって時に理知的で冷たい。もっと温かさに溢れていて
ハートがじんじんと底から熱くなるかんじ。
うまく言えないけどあの会場で体感した人ならわかってくれそうな気がする。
過去のサザンライブのレポートをネットで拾って読んでいたりすると、
「桑田さんは後ろの方まで声を届けてくれますよ」って書かれているものが多かったけれど、
ああ、わかるかも、とこのかんじを受けとめられただけで今日は来て良かったな、と思った。
大画面の桑っちょが私を見つめて私の為に歌ってくれてる・・・
と大いなる勘違いをしにきたのだな、と。なら終演までは酔わなソンソン、みたいなかんじで
リラックスして心底楽しめました。

次に、やっぱり思ったより早く「泣き入りました」ときたのが「お願いDJ」のイントロ。
中1の時「10ナンバーズ・からっと」のLPを部屋で何回聞いたことか。金田町の匂いがする・・・
あとこの頃のナンバーは、サザンが登場するラジオをこつこつと録音して聞いてたそのイントロや
合いの手で覚えていることが多く、メンバーの当事の声がしっかりと耳にこびりついていた事に驚き。
「Hello My Love」では五木のセレットで受験勉強してた時にいつも「ステレオ太陽族」をかけていた事を
思い出したし、「夏をあきらめて」では初めて茅ヶ崎にひとりで行った時、やってるのか
やってないのかわからない状態の「茅ヶ崎パシフィックホテル」のドアを開けた暑い夏を思い出したし、
もう1曲1曲に当事の光景が溢れ出すんですよ。
同じように往年のファンはそれぞれの思い出を胸に聴いていたに違いない。

もっと歌が上手かったり演奏力があったりするミュージシャンはいるかもしれないけど、
4日間で30万人もの観客の人生の怒涛の思い出が渦巻くライブが出来るのは日本でサザン唯一の気がします。
日本人で良かった、と思うもののひとつにに「サザン」という文字はもう固定されている。
ニッポンの夏、サザンの夏、って具合に。ハワイの海ではなく茅ヶ崎の海発信の音楽。
イントロが流れるだけで条件反射で切ない、桑田さんがメロディを発しただけで倍でモロ切ない、
常夏ではなく曇り空や雨も似合う、影の部分、陰の部分にも美を、あはれを、ハニカミを(強引か)
みつけ光を当てるような繊細な日本人の心、情緒をくすぐる音楽。
「国家の品格」でも「情緒」はキーワードでしたが、私は情緒を大事にしたいんです。
本気でフラれた経験があり、その相手の幸福を祈る事ができる人の奏でるメロディ、
それは傷みを知る人の琴線に優しい波のように打ってゆく。

いつもながらオーバーに讃えすぎでしょうか?あの日産ライブの日からまだ間もないのでお許しを。
余韻にもう少しだけ浸っていたいのです。
でも大丈夫です。終わってしまったからって腑抜け状態にはなっていませんよ。
初めて無人島に二人きりになりたいと思った人に30年かかってやっと対面できて、
約3時間ほどだけどその夢は叶ったかのように清々しい気分。
もしうちのお店が30年記念の日を向かえる事ができたら私はその時65歳か、なんとなくやれそうな気分。
大きな目標が出来ました。そしてまたいつかサザン復活ライブにも行きたいな。
そして幕は閉じる。
新横浜付近のコンビニや飲食店からサザンの音楽がたくさん流れてくる。
昼間モアーズのタワレコにも寄ったけど、サザンのシングルの手書きPOPに
「こちらこそ30年ありがとうと言いたい」と書いてあっていいな、こういうの、とテンション上がった。

その夜に満員電車に揺られて帰るのは自分には無理だと判断したので、
勿論余韻に浸りたい事もあって、横浜で一泊しました。
事前に予約する時検索したら一番安かったのがなんとホテルニューグランドだったので、
迷わずネット予約。クラシックホテルは大好きだし、昔家族で宿泊した思い出もありますし。
馬車道から山下公園まで夜も遅いのにひとりで歩いたのですが、余韻を味わうにはあのあたりは最高ですね。
横浜は大好きなのにこういう機会でもないと来られないので、わざと遠回りしたりしてお盆時で人があまり
いない海岸通りを散歩。事前にわざと古いガイドブックを熟読していきました。
みなとみらいもいいけれど、どちらかというと山下公園や港の見える丘公園あたりの雰囲気が好きなので。
ジャック・クィーン・キングや地面のタイルが昔と変わりなく佇み、港情緒を醸し出してました。
特にライトアップされたジャックの塔の美しさに見惚れてしまい、
交差点でいろんな角度で何枚も写真撮ってしまったあやしいヤツです。


ジャック(横浜開港記念会館)ナイフのきらめき クイーン(横浜税関)まさにOH!SUMMERQUEEN キング(神奈川県県庁)いなせだね〜

さっきのサザンと相するものがある。ここにこうしてずっと立ち続けるということ、照らし続けるということ、
私はこういうものになりたいな、と。古いガイドブックでいいよ、と。
絶版になってレアになるよりはスタンダードにいつの時代も人の役に立ちたい、と。

いやー、やっぱり普段の環境を離れて旅するって必要ですね。普段考えそうにない事を思いつく。口をついて出る。
また海岸通やスタジアム周辺にはアンティーク喫茶とか北欧料理店とかいいかんじのお店が並んでいて良いです。
「コーヒーの大学院」なんて喫茶店もあってひじょうに気になった。今度また行ってみたい。


20年前と同じ道。変わらないな、ここらは。私は表はいろいろと変わったけど、裏側、心根の部分はあまり変わってない。
一瞬であの頃の私にも帰れる自分を今日体感した。

そして港到着。夜の港はいいですねー(ちびまるこ父ヒロシの口調で)
夜の横浜、やはりカップル多し。ライブの日だからか鶴のハッピの集団もいた、同志よ。
やはりこんな夜はすぐに寝るのはもったいなくて、余韻に浸りたいですよね。
LOVE AFFAIR~秘密のデートの歌詞の世界


マーリンルージュでぇ(氷川丸が右、左の白いのがそう) シーガーディアンでぇ(館内のBAR) ブルーライトバーでぇ
「メリケン情緒は涙のカラー」っぽい写真になってしまった。  目の前を通ったらもう閉店時間でした。  「あの曲で有名な」なるほど

とアップしたものの船も港から写真撮っただけでBARにも入ってないですけど、一応目の前を通り過ぎたということで、
気分が盛り上がる。大黒埠頭で虹、に一番期待していたけれど、ライブ会場で虹のアーチが見れました。
そういうステージ仕様だったんです。

しばらく山下公園を散歩。
赤い靴の女の子と再会。月明かりが照らしてきれいだった。また新たな目標を彼女に聞いてもらった。
そしてホテルの部屋へ。
ニューグランドはとても泊まり心地が良かったです。ハーバービューじゃなかったけど、
きれいなお庭が窓から見下ろせました。

翌日は横浜在住の友達と待ち合わせしてcafeでお茶したり、港周辺を散歩したり。


赤レンガ倉庫のLASHで「いとしのベリー」なるものが売っていたので勢いで購入(笑)
昨夜の「エリー」最高でした。会場がひとつに引き込まれていくかんじ、魂の声を聴いたので記念のつもり。

そうそう、前日のお昼は原由子さんの実家の天ぷら料理店「天吉」へ。んなもんいつでも食えるだろ!と突っ込まれそう
ですが、この日に食べてみたかった。商売するものとしてもこの日の勢いにあやかりたかったのかも。
案の定ファンの行列出来てましたが並びました。老舗だけど古くない、雰囲気漂う素敵なお店だったな〜。
少し由子さんに似たかんじのご年配の女性に「すいません、お水いただけますか?」
とお願いすると「お水?」と優しく確認してくださったのですが、その一瞬のなんともいえず相手を包み込む
ような優しい雰囲気が、一人客の私にはありがたかった。
由子さんは52歳だけどどんどんきれいになる。ベタだけど内面の輝きとといつも笑顔でいた事の積み重ね
みたいなものが女性はある程度の年齢になると外に出ますね。
「娘心にブルースを」がとても原坊らしい温かみのあるエッセイだったので、
第二弾出て欲しいな。ソロもだけど筆の方もまた期待している私です。

旅には必ず文庫本とCDを用意していくのだけど(東京ー横浜間でも一泊すれば旅)
今回はは鶴ハッピと共にカバンの中でついに出番はなかった。
余韻でお腹いっぱいになっちゃったから。このかんじは久々ですよ。
昔聞いたCDは必要なかった。過ぎた日々、思い出にいつまでも浸りすぎるのも問題ですよね。
あの会場で十分浸れたのだから、桑田さんの言うように美しい思い出も良いけれど
未来に向かってより良い今を創っていこうと。

とここまでいいかんじで書いていますが、現実的なことも最後にひとつ申しますと
こういうライブとかに参加すると、つくづく「老い」を痛感します。しばらく疲れがとれなくてたくさん寝ました。
トシだな〜って。でも人生も後半戦なのだ、限りはあるのだ、という事を実感できるからかえって良いのかな。
でもものすごいパワーをいただいたのも事実。私生まれてから今まで、一つの空間にあんなに人がいっぱいの所に行ったのは
初めてかもしれない。しかもその7万人もの人たちが同じ方向見てすごい一体感でステージに挑んでる。
桑田さんの歌声と共に光の渦が空へと上昇していくのが見えた気がする。
とてもいい体験をしたと思います。そして横浜は相変わらず良かった。
サザンありがとう横浜ありがとうそしてすべてに感謝。


2008年8月15日 金曜日
お店の前で蝉が死んでいたので、死骸を木の根のところへ移動しようとすると、
ものすごい力で羽をバタバタさせて抵抗し、びっくりしました。
なにげなく心地よく聞いていた蝉時雨、一匹一匹は短い生命を力の限りに
羽ばたかせていたのか、とある種の感動さえありました。

過去に通り過ぎてきた高原の夏の朝、虫や鳥の鳴き声で目を覚ました感覚も思い出した。
やっぱり年に一度は自然の中で目覚めたいんですよね。

このところ季節柄か、お客さんと旅の話題や、旅に持参する本についての話題がよく出る。
先週、もうすぐひとり旅に出るけどどこかいいところあるでしょうか?と聞いてこられたお客さんは
今頃旅の途中の筈。信州か京都にします、と言っておられたけど、どちらに行かれたのかな?
夏の暑い京都も好きです。あっつー、と汗かき街を歩きながら、何度も甘味処に寄り、冷茶で涼をとるのも
いいし、北の方へ行けば夏でも涼しい場所がある。上賀茂神社とかいいですね。
今夜は五山の送り火かな?

私は旅はホテルもいいけど、テントに関心が向いています。ひとりテントしてみたいのです。
江國香織の小説で、花屋を経営しながら、時々ひとりテント旅に行っては自分を取り戻し、
またお店を頑張る女性が描かれていたのを読んでからずっと憧れているのです。
川のせせらぎや満点の星、(そういえば昨夜は美しい月夜でした)生き物の鳴き音、葉の匂い、
五感を研ぎ澄ませながら一夜を過ごす、そういうひとときに。

そしたらお客さんに結構現実的なお話を聞いたのですよ。
私がうっとりとして話すので、ああ、また店主さんの浮世離れがはじまった、ってとこでしょうかね(笑)
「うちの嫁もあなたと同じで夢見がちなところがあって、ひとりテントの旅行に出たけれど、
ブヨに噛まれまくって帰ってきたよ、もうテントはこりごり、って」ですって。
虫よけも効かないくらい強烈なブヨなのか?小説には出てこない現実のお話を聞けて良かったです。
でもそんな話を聞いたらちょっと余計に燃えてくるのもこの私。「この虫よけ、イケてるよ」や
「はじめての女子のひとりテント」みたいな検索をかけて情報収集し、いつかひとりテント旅してやりますとも。

明日から20日までお盆休みをいただきます。
年に二度のみの連休がやってきて非日常に気持ちがざわめく。
お休み中はテントひとり旅の予定は残念ながらございません。
ひとりではなく、七万五千人ほど収容の横浜のでっかいテント?に行ってまいります。
天気が少々気になるところですが、とっても楽しみです。久しぶりに長く電車に乗りますが、
お盆時だしそんなに混んでないでしょう。・・・と願う。

よく「お盆休みはご夫婦で旅行とかですか?」と聞かれますが、彼は盆・正月はコミケですよ。
この時期はお店を離れてお互いそれぞれの趣味を楽しんでいます。
先日の水曜日はせっかくだからと国領で一緒に晩御飯を食べました。
久しぶりに市バスに乗ったら、みんなどうして平気なの?ってくらいクーラーガンガンで、
冷蔵庫状態にすっかりまいってしまったのですが、隣のカレの腕に自分の腕をひっつけていると、
暖をとれてなんとか助かりました。身体の体温が高いのか、すごく温かいので冬は重宝なのですが、
夏にもお助けマンになってくれるんだ、と発見がありました(笑)

お休み期間充電して、21日木曜日より通常営業させていただきますので、
皆様のご来店を心よりお待ちしております。また元気な顔でお会いできますように。



2008年8月11日 月曜日
開店準備をしていると、キャリーを引きながら
おばあちゃんがニコニコ話しかけてこられる。
「あー、たすかった。ありがとございます」と。ん?と思っていると、
「毎朝ここを歩いて家に帰るのだけど、ボケてるから時々自分がどこにいるのかわからなくなるの。
でもこの本屋さんの角を曲がる、それだけは目印にして頭の中に叩き込んでいるの。
さっきも一瞬迷ってどうしようかと思ったけど、なんとか本が目に飛び込んできて助かったわ」
ということらしいです。そのニコニコとしたお顔で途端にこちらも気分が晴れました。
少しでもお役に立てているのなら、こんな嬉しい事はありません。
インパクトのあるランドマークを目指して頑張らなくちゃ、とはりきる私なのでした。

「きいちのきせかえぬりえ」をガラスに飾っていたんですけど、
「ひやー、なつかしい」とおおいに反応してくださった女性が続けて入店くださり、
お、今日は熟年デイかな、と微笑みました。
なんとなくおひとりめのお客さんがキイになって流れをつくってくださる事は多いのですよ。
「なつかしい」を連発されるその自然な笑顔、また私の気分を良くさせてくださる。
他何冊かと購入してくださって、ガラスのコーナーが歯抜け状態になる。
そこを補充するものを考えるのもまたたのしい時間。

お昼にここでパスタをお客さんが食べていると、
ガラス窓をカツンと叩く音が。お知り合いの方に見つかったようです。
目を合わせて「あらー!」というリアクションをした後、
その方がお店に入ってこられて
「きれいな女性が本を読んでいる姿がさまになっているなと見とれてたら○○さんだったのね!」と。
よくある話なんです。
この中で本を読んでいる姿は、外から見るとかなり美しく映るようで、
名づけて「燐光効果〜フォスフォレッセンスの窓辺で」とでもいいましょうか。歌のタイトルみたいですね。
うちの窓辺をフレームにしたプリクラでもつくりたいところです。

今日はきれいな女性の日、みたいな流れができてしまった。造作ではなく表情の美しさ。
そこでふと思い出したのは全く筋が違うけど、先日のタモリさんの弔辞。
動画で拝見したのですが、読み終わった時、自然に涙が出てきてしまいました。
人生の最期に親友からあんな言葉を贈られて、赤塚さんはとても幸せなストーリーの締めくくりが
出来たのではないかと思います。
「すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。
すなわち『これでいいのだ』と。」
という言葉が特に胸を打ちました。とても良いものを見た気がしました。

きれいな人、表情が素敵な人に会って、数日前に感銘したこの言葉が再度頭の中を駆け巡りました。
「これでいいのだ」と実感して人生の最期を迎えられたら最高に幸せなのでしょうけど、
まだまだその日は遠いと信じたい。でも明日は何が起こるのか誰にもわからない。
だからこそ時間を大切に、なのですね。

このところ、知り合いの人がお亡くなりになる、という事が続いている。
ここに来てくださったお客さんも。来店の度に「石川啄木の本入ってる?」という温和な表情が今も瞼に浮かぶ。
大阪から来てくださったり、ここの日記をプリントして応援してくださっていた親戚の方も。
再来店は叶わなかったけれど、その励ましのお気持ちは永遠だと深く受けとめたい。
健康でいられることはなによりもの財産。どうか元気でお店に立っていられる日々が続きますように、と
願いつつ、亡くなった方にはどうぞ安らかにお眠りください、と手を合わせたい。



2008年8月7日 木曜日
本との運命の出会い、その瞬間の喜びといったら・・・あれに勝るものはない。
そう度々あるものでもないからひとしおである。
久々にそれを味わえたものだから、もうずっと気分が良い。

新聞配達をしているお客さんと、ここ最近の夕方の空の美しさについて話した。
年に何度かピンクというか茜というか、独特の夕闇になるけれどここ数日がそうだ、と
いう話題から、やはり早朝の空の美しさと空気の新鮮さに勝るものはなし、という話を聞いた時に
ふと、映画「いつか読書する日」の主演の田中裕子が早朝、長崎の坂を牛乳配達をしながら
駆け上がるシーンを思い出しました。アングルと息遣いのボリュームが秀逸で、自分も共に
坂を上がっている感覚に見舞われた事をよく覚えています。
本も好きなお客さんなので、きっと通じるものがあるのではないかとお奨めすると、
お返しに本を紹介していただきました。
先日日記に書いた森有正がお好きなお客さんです。
鎌倉の山の中を新聞配達で駆け上がっていた、とも聞いていた事もあって、
私の頭の中で映画にリンクしたのではないかと思います。

その本は「森有正先生のこと 栃折久美子著 筑摩書房」

装丁家の著者と森有正の話をお客さんから聞いていると、とても読みたくなり、
図書館で探してみようかな、と思っていた矢先、
お客さんから仕入れた本に偶然この本が入っていました。なんという!
この蒼い表紙を目にした瞬間鳥肌ものでしたよ。本の神様はいた・・・というかんじ。
読むのが楽しみ。その後はお店に出しますので、興味のある方は是非手にとってみてくださいね。
大人の恋の内容らしいですよ。

本の仕事を長くやっていると、読まずとも手にとってみただけで良質な物語の時は匂うようにわかる。
とっても漂ってきてますよ。
映画「いつか読書する日」のしめくくりの言葉、
「これからどうするの?」
「本でも読むわ」
これ以上の幸せはない、と言い切れるたったひとつの思い出を胸に持ってさえいれば、
そんな人生もいいかもしれませんね。


2008年8月5日 火曜日
きっと若い時は色男系だったろう、
今は蓬髪がなんとなくさまになっているおじいちゃんが、ほとんど股引姿?で来店。
でもそれが股引のようで股引ではない、全然いやなかんじを与えない、むしろ清潔感漂ってる。
彫りの深いお顔と品の良さからくるものかな?

本棚の三島本を眺め、割腹のニュースが流れた時の事を詳しく教えてくださった。
あれは高峰三枝子の出ている番組を見ていた時だった・・・というふうに。
三島は映画の中で割腹シーンを演じて、きっとそれだけじゃ物足りなくなったんだよ、
実際やってみないと気がすまなくなったんだよ、と。

あと瀬戸内晴美は若い時ほんとに美人だったんだよ、とも。
そうは聞いているけれど、おそらく90歳以上かな?というお方から聞くと説得力がある。
太宰の事はやはり気になるそうで、桜桃忌に禅林寺に行ってみて人の多さにびっくりしたそうです。
俳句を嗜われるそうで、墓前で一句捻られたということで、聞かせていただいたらロマンチックな句でした。

静かに太宰と向き合いたいと思ってもいつもあそこ人がいるね?とこれは他のお客さんからも
よくお聞きするのですが、私は運が良いのか、ほとんど行けば私一人だけでゆっくりとできるのです。
桜桃忌の日はさすがに人が切れないと思いますけど、なんでもない普通の日なんかはすいてます
(という言い方もヘンだな)
そう考えると桜桃忌の日に墓前に二人きりになったというのはたしかに運命的なのかな。
朝だったこともありますけど。
では私は俳句は未熟者でつくれないので、ひとつジンクスをつくってみようかしら
「桜桃忌の日に墓前で二人きりになれたらその2人は結ばれる」
い、いたすぎでしょうか・・・(笑)

「でも太宰が常連だったという駅前のあるお店の店主は太宰が嫌いだって言ってたよ
カウンターで煙草をもみ消すから」
これも聞いたことはありましたが、生き字引のような方から実際にお聞きすると
目に見えるようです。そのイヤそうな店主さんの表情が。
優しい人だったよ、好きでしたよ、いい人よ、という声と同じくらい顰蹙の声も届いてきますが、
光あれば影あり、私は太宰という人の実像を少しでも知っていきたいです。
「フォスフォレッセンス」のアントは「顰蹙」ってところでしょうか


2008年8月1日 金曜日
8月になりました。相変わらず照りつける太陽は眩しく汗は吹き出る。
でもこの時期、蝉時雨に包まれてゆったりとお店で過ごすのはなかなか風情があって良い。
花火や浴衣や夏祭りって日本独特のものであって、それは昔からずっと続いていること、
ニッポンの夏は素晴らしい、というような話を韓国から留学生として日本で学んでいる人から聞いて、
私ももっと「ニッポンの夏」に浸る気持ちを大切にしよう、と思ったのです。

浴衣も随分着てないですね。今ユニクロから中原淳一デザインのものが結構安価で出ているのですね。
白地に黄色いひまわりの柄のものが気になっています。着こなしが難しそうではありますが・・・
今はもう盆踊りなど出向くこともないけれど、昔は心はずませ躍ったものです。
何周も同じ動きをするだけでなぜあんなに楽しかったんだろう、
また私は踊りが得意だったので、きっとみんな私を見てる、なんて自意識過剰なところがありました。
こういうところ、少し女太宰みたいな部分ですよね。
今はもう踊ることなくとも、「ええぃ〜、さあては〜」なんてすごくいい声で唄うおじさんが
いたらそっちの方に見入ってしまいそう。それもまた子供の頃には全く眼中になかった大人の祭りの愉しみ方、
といったところでしょうか。

お客さんにロクシタンのヴァーベナの石鹸をいただいて超ご機嫌。これで夏のお風呂タイムも快適に
過ごせる事間違いなし。ロクシタンの大ファンですが、ちょっと高価なので遠ざかっていたところだから
大いに喜んでいます。夏にヴァーベナ、というのがさりげない心配りですよね。とってもいい匂いと爽やかさです。

ポストにこんなハガキが入っていました↓

こ、これは・・・忘れもしない4年前の7月21日、立川ルミネの新星堂に設置してあった
「4年後の自分にハガキを出そう」という平川地一丁目の企画にペンをとったそのハガキです。
あれから4年経ったのだな・・・と思うとこみあげるものがありました。
裏に書いたいくつかの「4年後の自分」は5つくらいの夢のうち半分くらい(割れないじゃん)は叶えられて
ました。ただあの頃は結構平気で混んだ電車にも乗れていたな、と回想すると衰えてしまったものも
確実にある事を痛感します。でも今の自分の方が好きかな。
平川地一丁目だって新しい道を選択したわけだし、確実に時間は流れていった。
変わっていないのは相変わらずの私の丸い文字。

私って実に八方美人な性格で、いろんなものを一編に好きになる。その中でも今1位にハマってる!
というものが周期的にコロコロ変化する。サザンだってラルクだって平川地だってファンだけど、
ある時期ものすごく集中して聴いて、また移行して、忘れた頃にまた聴いて、ってかんじ。
しばらく平川地の二人から離れていたら解散というニュースを聴いて、また大人になったルックスにもびっくり。

自分がそんな性格だから、「いつも気にはなっているんだけど、なかなかお店に行けなくてごめんなさいね」
という人の気持ちがわかる。決して社交辞令ではなく、本心なのだと。
オープン当事よく来て下さっていたお客さんがバッタリ来なくなって、久しぶりにご来店いただいた時は
すごく嬉しい。このところ何度かそういうお久しぶりです、という挨拶を交わす事が多いのです。
私は一度好きになったものはよっぽどの事がない限りずっと好きでいるタイプ。
他のものにすっかり心を奪われている時でも、奥底でそっと応援している。

でもそれではその対象物にとってはこちらが思っているより大きな問題であったりしますよね。
好きです、ファンです、応援してます、と言ってもCDを買って数字を上げてあげるのが真のファン。
お店も同じで、お金を落としてあげるのがお店の存続に影響すること。
よく閉店します、と公表すると一気にお客さんが押し寄せ「なぜ普通の時には来てくれなかったのか」
という話も耳にしますが、現代の人の心理はそういうものだし、今好きなものの優先順位として
新鮮なものにしかお金をかけられないのはズバリ私の現状だからよーくわかる。

話が大分それてしまいましたが、こういう「4年後の自分にハガキ」のような企画を考案し、
4年後にちゃんと届けてくれた事に感謝したいです。
この手の企画で実際敢行されないまま、という事はありうる事だし、
実際私がつくば万博でタイムカプセルに入れた色紙は返ってこなかった。

その4年の間、このハガキは平川地に関わる事務所かどこかで大切に保管されていたかと思うと、
どこか必死に頑張ってた彼らと時間を共有できたような気持ちになるし、
またこれからの4年も日々大切に歩んでいこうと思えます。
持っているアルバムはこれからもずっと聴き続けると思いますよ。
直次郎君はパン屋さんになりたいそうですが、そうなったらパンを食べに行きたいし、
休んで時間を経て、やっぱりまた音楽をやりたい、って考えを変えるかもしれないし。
とりあえず出演作の「グーグーだって猫である」の公開を楽しみにしています。
そしてこのハガキは宝物のひとつとして大切ににします。


2008年7月29日 火曜日
昨日メールをくださった、丙午で太宰作品を勉強中、というお客さんがご来店。
働きながら大学で文学を勉強し、太宰の卒論にとりかかってらっしゃるということで、
私と同じ42歳の方が太宰を読み、研究し、ここにやってきてくださった事に感動しました。
3人のお子さんの父親ということで、「桜桃」や「父」「家庭の幸福」がお好きだそうです。
このあたりの作品は私も好きで、決して太宰は青春のはしかのようなもの、ではない
と言い切ってしまいたい気持ちになる。
家庭を持って世に揉まれてからの方が、太宰作品は身に染みる部分が多いように感じる。

太宰について書かれた本では、堤重久のものがとてもいい、と言われていて、
そういえば先日来店いただいたお客さんに「太宰治との七年間」をお薦めしていただいてたんだ、
とふと思い出した。近いうち他の著書も含めて読んでみようと思う。

私はつい最近、少し不思議な読書体験をした。
野原一夫著「回想太宰治」を再読してみたら、行を読み進めるその都度、太宰さんの表情が脳裏に
くっきりと浮かび上がるのです。こんな現象は本を読んでいて初めてのことです。
それに私にとっての初めての「動く太宰」です。

勿論私は太宰さんのお顔は写真でしか見た事はなく、声だって聞いたことはないです。
なのに、太宰さんが出てくる描写、科白の部分を読むと頭の中に映像が出てくるのです。
それはそれは幸せな体験でしたよ。
そしてまたどんどん愛情が深く大きくなっていったのでした。
好きで好きでたまらない、とはこういう気持ちを言うのでしょう。

今落ち着いて考えてみると、それだけ野原さんが太宰さんの事を好きだったからなのだと思います。
そして、こういう言い方をするとヘンですけど、太宰が死んでいて良かったと思った。
生きていたら、身がもたない。
私はあまり嫉妬深い方ではないけれど、焼き焦がれる想いをこの先何度味わうのかと思うと、
まったく身がもたないだろうと思う。
誰かを独り占めしたい、という気持ちを生まれて初めてほんの少し理解できた気がします。
本を読み終えた次の日の午前中に禅林寺に駆け込むように行ってしまった。
いつでもあの場所に立てる私は本当に幸せ者です。

「太宰治に飽きたことはないのですか?」とお客さんに聞かれましたけど、
それは永遠になさそうですね。
そしてまだ全部は目を通していないし。意外と未読のものが随分あるんですよ。
角田光代さんが、敬愛する開高健の作品を全部は読んでいない、亡くなった作家はもう新作が出てくる
事はないから、楽しみをとっている方がいいから、というような事を書いた記事を読みましたが、
私と同じだ、と思いました。決して太宰の新作が読めないのなら、楽しみはたくさんとっておきたい、と。

忘れっぽい私は一度は読んでいた筈の「秋風記」を先日あんなに新鮮な気持ちで読めたのだから、
全部読んでしまってもいいような気もするけど、あえて残しておこう。
飽きるどころか、日に日に増す想い、それをこのお店を訪ねてくださるお客さんへの心づくしに
還元しながら、この場所で大切なものを守りながら過ごしていきたいです。


2008年7月28日 月曜日
オープン直後にお店の前で「すいません、このへんで古本とカフェの・・・あ、ここのことだわ」と
お客さんがご来店。当店で当店の事を尋ねようとなさってたようで・・・

お客さんはいつかブックカフェをしたい、と思われている、とのこと。
「本をきっちりと並べてるところもあるけど、私個人的にはこの少し雑多なかんじがすごく好みに合うわ」
としきりにお店を褒めてくださって、嬉しい限りでした。
「今蟹工船がすごくメジャー化してきたように、フォスフォレッセンスもここ発信でメジャーになるのでは?」
と予言めいた事もおっしゃってくださる。沖縄の方だそうで、私は飛行機さえクリアできたら是非沖縄に
行ってみたいと常々思っている。沖縄の海の見えるカフェなんて、最高だし、フルーツも美味しそう。
映画「めがね」に出てきたようなシンプルなかき氷屋さんも良いですね。
やっぱりきれいな海はいいですよ。夏になると海に行きたくなるのですよ。ただ波の音を聞きたくなるのですよ。

川もいい。川・・・といえば浅野川がすごい事になっていて、あうん堂さんのサイトをチェックしてみたら
明日も営業されるということでとりあえず安心する。「女川」と言われ常に穏やかだった浅野川も増水する、
こわいな。東北の方も地震がたくさんあって大変だろうし、なんだか今いろんなことがこわい。
こわいけど本があるから大丈夫。気持ちを落ち着かせてくれるものがある。
最近また体調のぶりかえしなどで不安要素が高まっている時、救ってくれたのは本だった。
感謝の意を持って真剣に取り組んでいかねば、と思う。

東京は晴れが多いですね。蝉が泣いていて、特に早朝の空が真夏へと路線変更していくのを日々感じる。
実はいちばん美しいのが夕刻。このところの夕方の空の色は毎日違って見ていて飽きない。
今日はピンク、昨日はドーンパープルでした。


なんだか非常口の灯りのマークが浮かび上がって、夏の夜の空を翔る人、みたいなかんじになってる。
影絵のようで神秘的。毎日一日たりとて同じ風景はない。飽きるはずがない。

私はここにいて、本を読んで、本を売り、お茶をいれ、飲み、窓の外を見て、そうして過ごせればそれでいい、
そんな気がします。本当にお店があって良かった。満員電車に乗って通わなければいけない職場は私には
無理。でもいろんなことがあっても毎日満員電車に乗らなきゃいけない人もいるんだということ、
忘れちゃいけない。その人たちの頑張りが、支えてるものに私もいっぱい囲まれているのだろうし。
毎日ご苦労様です。どうか毎日の安全・快適が保持されますように


2008年7月27日 日曜日
お客さんが「みたかのみたか29号」を持ってきてくださる。
新聞記事にも紹介されていたけれど、この号は太宰治文学サロン通信とコラボされている号で、
とても良い仕上がりになっている。
太宰の事を「愛してる人だから」と大きく紹介されているガイド協会の女性の方のインタビューなど
読み応えがあります。太宰の魅力は愛してる人だからすべてに決まってるわよ!と言い切る笑顔の素敵なお方。
同時にむむ?ライバル?とも思ってしまう(笑)

一度「詩のボクシング」ならぬ「太宰へのラブレターボクシング」みたいな企画をやってみても楽しいかも。
我こそは太宰の恋人、と思っている女たちがその想いを手紙に託し、読み上げる。
しかし判定人の選別でもめそうなので難しいかな。私なら「特技は降霊術ですから」とか言って不正するな。

でも嬉しいです。こんなに太宰をお好きな方がやっぱり今でもいらっしゃるということが。
私もこんな軽い事ばかり書くのもいいけど、ちゃんと作品研究を進めていかなくちゃ。負けられない!
って思いますからね。

お客さんからフィルムセンターで文学の映画の特集をやっていたことをお聞きする。
しかし太宰作品の映画がない、というのがちょっとさびしい、とも。
「今世紀になって太宰の映画が増えてきたということは、時代が太宰に追いついたということじゃないですか?」
と少し苦しい意見を。太宰作品を映画で表現するのって難しいんでしょうかね?

このお客さんも蟹江敬三さんの太宰作品朗読を聞きに行かれたそうですけど、
「駆け込み訴え」もそうだけど、「親友交歓」が素晴らしかった。ものすごい迫力でした、とのことで、
今度「親友交歓」を読むその時間は、蟹江さんの声に変換して読んでみようか、と思いついた。
では「スィート・シーズン」でも見てモチをあげようかしらん


2008年7月26日 土曜日
お客さんが優しく声をかけてくださるのが、腹のあたりにじーっとしみていく薬のよう。
久しぶりに来てくださったお客さんが、「記事見ましたよ。実にいい写真でした」と笑顔。
「最近太宰を読み始めたお友達が北海道にいてね、記事を送ってあげたのよ。
三鷹にはこんな人がいるのよ、ってね」と嬉しい報告を。そのお友達は「富嶽百景」を読んで
太宰の事が好きになられたらしいです。いつか是非ご一緒に、と私の心も晴れる。
お客さんから「石の花―林芙美子の真実 大田治子著 」がとても面白く読み応えがあった、と
聞いてそういえば書店でチェックするのを忘れてた、と思い出した。今度見てみよう。

「事件」という本を見られていたお客さんが本に挟んであった新聞記事の切抜きを発見される。
それは「貴婦人」の愛称で知られる鉄道が解体されるという内容のものでした。
その記事と一緒に航空券が2枚。おそらくこの本の前の持ち主は、
解体される前にこの「貴婦人」に別れを告げる旅に出られ、
飛行機の中でこの本を読んだ、といったところでしょうか。
お連れのお客さんとしばらくその話題で盛り上がられてるの光景は微笑ましかったです。
「この記事の切り方に愛情があるよ」なんて。
私なら一緒にカフェに入って、予期せぬこんな発見をした時、その「貴婦人」について
お相手の男性がとても詳しく説明してくれたりしたら、ちょっと惚れちゃうかもしれません。
惚れっぽすぎですかね?男の人の機械に対する愛情って憧れる。
お客さんはその「事件」の本を購入してくださった。
長い旅でした。オープン直後くらいに仕入れた本です。約6年、記事を秘めながらここで出番を待ってた
と思うといじらしく、ちょっと感慨深いものがあります。
オープンに棚に並んでいた本はほとんどは巣立っていきましたが、皆元気にしとるのかね?と
聞いてみたい気分。月日は確実に流れたのですね。


2008年7月25日 金曜日
文学サロンの方が来てくださる。
今年の11月に、三鷹市美術ギャラリーで太宰治展が開催される予定(あくまで予定)とお聞きしました。
楽しみですね。
文学サロンといえば、雑誌ananに紹介されてましたね。
サロンに先を越されてしまったー(笑)
いや、私が一番長く読んでる雑誌ってananなんですよね。高校生の頃から愛読してますから。
なんとなくモチを上げるのにいいんですよ。分厚すぎず薄すぎないし。

来週号では豊川悦司さんがエロティックな短編小説の朗読を行ったDVDだかが付録ということで、
ちょっと気になってます。指の美しさと声のセクシーさ、その佇まいの色気、彼は群を抜いて素敵ですものね。
太宰を演じた時の激しい接吻シーンといい、「桜桃」の朗読の抑揚のかんじといい、
うっとりしてしまうような眩しい魅力を持った人。
本を出されているけれど、文章もなかなか良いのですよ。
そしてジーンズのヒップラインが素敵。いやあもう褒め殺しですよ。
現実を忘れさせてくれるものはやはり女は美しい男、男は美しい女、ではないでしょうか
酔った方が勝ち、でしょう。ね?


2008年7月24日 木曜日
オッソロシイ現実・・・
太宰が静子さんに送った手紙の文面に「こんな、イヤな、オッソロシイ現実の中の、
わずかな、やっと見つけた憩いの草原」という言葉があるけれど、最初読んだ時に
その「オッソロシイ」という音感に少し違和感を感じていた。なんとなく太宰の語彙になさそうな単語のような
気がして、そこだけ浮いているように感じたのでした。

このところの通り魔事件の頻発で、いきなりその「オッソロシイ現実」という言葉がピタリと頭の中に
飛び込んできた。いったいこの世はどうなってしまっているのか・・・
書店内でも犠牲者が出てしまった事には相当ショックを受けた。

亡くなった女性は、まさか自分がアルバイト先で命を絶つなど、その朝これっぽっちも思っていなかったでしょう。
ご冥福を祈るとともに、毎日こうして昨日と変わらず一日を終えられる事への感謝の気持ち、
自分の使命を理解し、日々の生活で何が出来るのかをよく考え行動していく意識を大切にして
いきたいと思います。

クーラー病なのか夏バテなのか、そのショックの影響もあったのか、
昨夜セミナーに参加中、具合が悪くなってしまって途中退出してしまいました。
テーマは「女生徒」でつかみから面白い内容になりそうで興味深く聞いていたのに、動悸が次第に
高まってきて、じっと座ってはいられなくなってきた。
今年は一度も発作になる事はなく、体調は順調な方だったのに、
突然ぶりかえした。でもご心配なく。締め切った教室を出て外に出るとスッと胸のざわざわは消え、
全く問題ない。病気ではない、どうせすぐおさまるんだから、と気を大きくしていれば通り過ぎる事は
わかっていたけれど、この場で具合悪くなるわけにはいかない、と出てしまった。
久しぶりにきた、というのもあったかも。あー、もったいなかった。最後まで聞きたかった。残念です。
お店にいる時は全然大丈夫なんです。 でもまたちょっと養生しなくては。
こう暑いと「平気平気」なんて油断してると急にガタがきます。皆様もどうぞお気をつけください。

今日は太宰がお好きなお客さんとゆっくりお話できる機会があった。
そのお客さんが太宰作品を読まれるきっかけになったのは、「女生徒 写真佐内正史」の本だったそうです。
その本を読んで、「女生徒」に衝撃を受けたそうな。このコラボ本は私も大好きな1冊です。

私よりじっくりと津軽旅行をされたようで、そのお話を聞いていてひとつリンクした事が。
五所川原でお蕎麦屋さんに入ると、隣にいらしたお客さんが津軽に疎開していた頃の太宰を見た事が
あるということで話を聞けた。郵便局に原稿を提出する姿らしいのですが、背が高くてとても物静かな
印象だったそうな。お客さんが五所川原で歩いていると「津島歯科」という文字に目がとまり、
もしかしたらこのあたりは「津島」という名は多いのかな、など思ったこともお蕎麦さんで言ってみると、
その方がそれはあの津島さん、と教えてくれたんですって。
そこでピタッとパズルがはまりました。
先日日記に書いた津島家の方、指が長くスラーッとした素敵な紳士。原さんは歯医者さんと言ってた。
読売新聞の「太宰新風景12」に「太宰の乳母のひ孫で歯科医」と紹介されている。
それは多分間違いない。もし三鷹にあった歯医者さんなら通うのにな、なんて貧乏人の戯言・・・

そのお客さんの太宰ベストを聞いてみると「斜陽は別格として・・・」と。あ、私と同じ言い方。
しばし斜陽バナシで盛り上がる。映画化されるけど、直治の「姉さん、僕は貴族です」の声色だけは
しっかり頼みたいですネ、みたいな結論になる。この部分、この一言を大切にしてる人多いですよね。

で、その別格として・・・の続きは「秋風記」
一度は読んだことあるけど、もう一度後でひとりになった時に読んでみることにした。
秋の読書会に参加したい、と申し出てくださったので、もしレジュメ&発表のオファーがなければ
せっかくなのでこれをテーマ作品にするかもしれません。

読んでみて・・・しびれた
何?このエロスは。太宰は露骨な性描写は一切描かない人だけど、
この作品にも何も直接的な描写はない。風呂で足を晒し見せ合ってるところくらい?
しかし、作品に漂う色気は異常。
私は背筋がゾクゾクした。湯の中でこれを読んでみたい、とも思った。
私は大丈夫。オッソロシイ現実の中の憩いの草原を見つけられている。そしてそれはまだ
果てしなく目の前に広がっている。この幸せがあれば、それでいいと思う。今日の日に感謝。


2008年7月22日 火曜日
3連休はかなりヒマでした。ただでさえサイフの紐が堅くなるこのご時世、
それは私自身も実感できるので、特に本のようなものは、優先順位が下がってしまうのも仕方ない。
図書館で借りてすませてしまおう、という気持ちになるのもわかる。
でもそこをどうにか「これを手元に置いておきたい」という気持ちになっていただけるように
工夫するのが本屋さんのお仕事。暑くて溶けそうな頭を働かせて閃きを待たなければ。
明日はハリー・ポッターの発売日。書店員さんたちもディスプレイなどにいろんな工夫を施していることでしょう。
その努力の跡を見にいってみようかな。

ヒマな連休とはいえ、初めてお店に訪れてくださったお客さんもいらっしゃって、
「なんか感動しました」と言ってくださったのは嬉しかった。
太宰ファンの方で、友達がここを教えてくれたんです、と都内の東側の方から暑い中来ていただけた。
三島もお好きだということで、三島作品の登場人物の名前が、時折太宰作品を関連させる名前とかぶる
のが気になる、と。なるほど、そういえば・・・私もちょっと調べてみたくなった。

「バー・ルパン」のマッチを発見されて、「ずっと入ってみたいと思いつついつも入り口で足がすくんでしまって」
と言われてましたが「一度だけ行った事あるのですが、今度はひとりで行こうと思っているんです。
大丈夫ですよ」なんて言葉がするっと口から出た。
嘘ではない。ちょっと勇気がいるけれど、いつか近い将来その行動に出るつもり。

バーテンダーの高橋武さんがお亡くなりになったというニュース、メールをくださったお客さんもいらっしゃった。
私は新聞で知りましたが、坂口安吾のエピソードなど興味深かった。時代の生き証人が逝くのは寂しいもの、
伝え語り継いでゆく事の大切さや、バーテンダースタイルのお写真を目に焼きつけ、心よりご冥福をお祈りします。

銀座、しばらく行ってないな〜、好きな街なんですけどね。
私のトート・バッグは月光荘のもの。
バーニーズ・ニューヨークは他の店舗ではなぜかときめかない。銀座店だとときめく。
松坂屋は銀座店だと断然洗練される。私の勝手なイメージで申し訳ないけど、
松坂屋といえば大阪・天満橋を思い浮かべてしまうので。やはりナニワなイメージが抜けない。
あ、でも名古屋の松坂屋は唯一すやの栗きんとんが買えるから断然イケてるけど。
あれ?最近食べ物の話題がなにげに多い?お腹すいてるのかな〜(笑)


2008年7月21日 月曜日
毎日暑いですね〜。今日は海の日。
コンビニで売ってるアイス、64円のかき氷にはまっていて、
ワイングラスの中にいれて雰囲気を出してサクサクと味わい涼をとっています。
節約期間なので地味めな毎日ですが、オフでも友達と深大寺にお蕎麦食べに行ったり、
新刊書店をチェックしに行ったり、ちょこちょこでかけています。

お蕎麦屋さんではそばがきとこれまた雰囲気を出すためにちょっとしか飲めないのにお酒を燗で頼んだりして。
深大寺のお蕎麦さんで外で食べられるところは、緑に囲まれているからなのか涼しいんですよ。
こういうところはやはり、蚊取り線香なのですね。そんな事にどうしても目がいってしまう。
吉祥寺もそうだけど、自転車で気軽に行ける距離に良い場所があるとほんと息抜きできていいです。

新刊書店にも夏の風物詩、文庫フェアが揃っていますね。
表紙や冊子を見ているだけでも楽しい。例のデスノート風の表紙「人間失格」が売れたこともあると思うのですが
活性化というか、表紙イラストなど新しい試みが多く見られますね、最近の文庫は。

よく読んだ本の話をするお客さんと美味しそうな本の話題になり、教えていただいたのが
「タルトタタン」が出てくる新刊・・・うう、正式タイトルと肝心の作家さんの名前を忘れてしまいましたが
暑くなってくると、スイーツは本番からそれ、ゼリーやアイスに目がいきがちになるのですが、
そんな時こそ本でスイーツを味わった気分になるのはどうか、というその提案に斬新さを感じました。
そういうフェアを手書きポップ付で展開してもたのしいかも。
京都にとても美味しいタルトタタンのお店があったんですよ。無性に食べたくなりました。
採れたてブルーベリーのアイスもいい季節かな。やっぱりアイスに夢中になってしまう
今サミットで沖縄フェアっぽいのをやっていて、ブルーシールのアイスが手に入るんですよね。
ちょっと高いけど、せっかくだから1種づつは食べよう、と今冷凍庫にあるのです。
そういう積み重ねって節約の意味がなくなる・・・のですが、家に帰ってお風呂上りに「あれがある♪」という
気分には変えられない。一回きりだから大切に味わって食べよう。


2008年7月17日 木曜日
朗読でおなじみの原きよさんが来てくださって、先日の文学サロンでの朗読での模様などを
お聞きできました。「みなさんの表情がとても良くて・・」と事前に記事などで盛況ぶりを知っては
いたけれど、こうして直に報告を受けその様子が伝わってくる。
太宰の息遣いが感じられるようでとても緊張した、とも。そうでしょうね、ふと見渡せば
360度太宰ワールドな場所ですものね。タイムスリップすればお酒をふと買いにくる太宰の姿がすぐそこに
見えてきそうな場所、そういう場所で作品が語られ、耳を傾ける人がいたというこの現代の時間、
きっと太宰も喜んだことでしょう。

「猿ヶ島」全編読まれたとのことで、とても興味深い。この作品も好きですよ。
私は後期の太宰作品も大好きだけれど、結構年季の入った太宰ファンの方って、
一番好きな作品に初期を挙げられる方が多く、特に「晩年」が最高傑作だ、とよく耳にします。
この「猿ヶ島」とか「魚服記」を読むとそんな気がしてこなくもないな、と。

原さんが禅林寺に行った時に津島家の末裔の方がいらしていて、よく伸びた手指の四肢でハッとした、
スーツがお似合いの素敵な人だった、と印象をお聞きしてちょっと盛り上がっていると、
奥のテーブルからコーヒーを飲んでいたお客さんが「楽しそうですね」と声をかけられ、こちら側の原さんに、
「もしかして新聞に載ってた人ですか?」としばし真ん中の棚を挟んでパンチdeデートみたいになってた(笑)

原さんの夏の朗読は「走れメロス」です。8月22日(金)いつもどおりモダンタイムスさんで行われます。
詳細は店内にチラシがありますので、ご自由におとりくださいね。
お子様の参加も可能とのことで、ランチ・ディナー・バー、と3ステージありますよ。
親子で一緒にメロスに耳を傾ける夏のひととき、なんていうのも良い思い出になりそうですね。
私は歳をとるごとに夏が好きになってきました。夏はforeverいい女でいなければ(by メロディ)ですよ♪
蚊に刺されるのはいやだけど、刺された痕を掻くと夏を実感する。ちょっといい女像には程遠いか・・・


2008年7月14日 月曜日
目の前が中学校なので、時々行事のリハをしている事がある。
この時期は体育祭か、とか文化祭かな?とかわかりやすい季節の催しもあれば、
今日みたいに何の行事なのか不明なこともある。
マイクを通して生徒を叱る声まで丸聞こえで、なんか懐かしいかんじがしてついつい聞き込んでしまう。

前触れもなくいきなり
「自分の世界に入らない!全体の流れ、バランスを考えて動いてください」とマイクを通した美声で
ドキッと我にかえったのでした。時々ディスプレイを見ながらうっとりと自分の世界にはまりこんでいる
私にはちょうど良かった。叱ってくれる人がいない環境なので、こういうの助かるんです。
違う組の男子が好きだった中学生時代の私は、こういった学年全体の行事は大好きだったけど。
そう、たとえ炎天下でも。

「ふわふわと楽しそうに見えますけど、経営は一応厳しくも頑張ってらっしゃるんですね、
そういう厳しい部分は店主さんからはあまり見えないですね、雰囲気のせいかな」
とカフェをしたいと思っている、というお客さんに言われました。
先日「支払いすると月末はギリギリ生活だ」と日記に書いていたのを気にかけていだいたようです。
しっかりしてないだけです、というかんじですが、これは持って生まれたものですから
欠点も何か良い事につなげたいところです。

例えばお客さんに来店いただき、本をじっくり見ていただいて結局購入には至らず帰られる時、
がっくり肩を落とす経営者は古本屋には向いていないと思う。数字に敏感で優秀な人の方が
自分でも気がついていないところで表情が固くなるかもしれないですね。私は終始のほほんとしてるから。
お客さんが帰られた後に店内を廻ってみた時、知的好奇心の残り香を見つけるのが好き。
本が出し入れされた跡を元に戻す瞬間が好き。本も多くの中から選ばれて誇らしげ。
ああ、この本もうちょっと値段下げてみようか、だったら次誰かに手にとっていただいた時は売れるかな?
とか考えるのもたのしい。
同じお客さんが「やっぱり気になって」と買いに戻ってこられる可能性だってあるし、
この日は購入に繋がらなくとも、「こういうお店が好きそうなあの人に教えてあげよう」とか
何か感想を持ってくださったら嬉しい。鈍感力も必要、ってことかな。
明日からは連休。木曜日よりまたお待ちしております。


2008年7月11日 金曜日
「一度束縛されてみたかったんです〜」と私の甘ったるい声が例によってお店に鳴り響きました。
先日書いた最近恋が始まったお客さんが続報?を話にご来店。
そんな事ネタにするなって?こちらの方は「みゆきさんが好きそうな話があります!」
と自ら話してくださるのですよ。
これもひとつのフォスフォレッセンスの空間の歴史の夜話として刻み込んでおきましょう。

だって本当に可愛らしいんです。オープン当事からずっと来てくださっていて、
お店が厳しい状況の時には励ましてくださったり、何かとお世話になって姉御肌な方なのに、
私も聞いていて微笑ましいくらいに乙女になられるのです。ご自分では気付いていらっしゃらないかも。

束縛されたくない、というのはよく女性誌の恋愛悩みコーナーでも出てくるキーワードですが、
私よくわからないのです。意外だと言われるのですが、過去に束縛された経験がないのです。
もう結婚しているので、一度は経験してみたかった事。独身時代特有のものですからね。
だって今の夫とは二度目に会った時からもうずっと一緒に暮らしているので、「恋人時代」がないのです。

束縛、というかものすごく強い愛を与えてもらえた時、その大きさに気付くのはいつもずっと後になってからだ、
という感覚はわかります。愛とはそういうものです。
今頃錦戸亮が気になる私。ラストフレンズ本放送の時は特に何も感じなかったというのに、
あの「みちる?」というぼそぼそとくぐもった声、特に携帯を通しての声、ボディブローのように効いてきました。
あんなふうに泣いた子犬みたいに電話越しに名前を呼ばれた事って・・・ないな、と。
自分も電話は苦手な方だったせいか、電話魔の男性と付き合った事もないし。
そんな事を友達に話すと「ジャニーズの世界へようこそ」とそのコンサートがいかに豪華で楽しめるかを
教えてもらったけど、鎌倉と同じで行ったらハマりそうなのでやめとく。金持ちになったら考えよう。

多分いざ束縛されたら「うぜーよ」なんて普段口にしないような言葉を発しそうな気はしますけどね。
ないものねだりなんでしょうかね
それにこのお店で窓の外でずっと待たれたりしたら近距離すぎてシャレならんし(笑)ってかにらめっこの世界。
やっぱり束縛されたい、というのはあくまで青春時代の忘れ物(はやり?)妄想だけにしておこう。

とにかくあの「束縛されてみたかった」の声の大きさには、お姉さま引かれたと思います(笑)
またの続報を楽しみにしていよう。
というか私も相手を束縛した事がないからなのかも。
今の結婚生活が9年間一度も危機なく上手くいってるのは、お互いに束縛と無縁だからなのかも。
そんな事に気がついた!そう、9年前の7月、京都での同棲生活が始まったのでした。
近鉄京都駅の伏見稲荷の鳥居写真の柱の前で待ち合わせして伊勢丹でご飯食べて山陰線で帰ったな。
懐かしい・・・


2008年7月10日 木曜日
お客さんとの会話で話題になったら表舞台へ。
窓際の本の選択は主に新入荷のもの、書評等にとりあげられたもの、季節的に合うもの、が主なのですが、
お店の中でお客さんがその本について話してくださったものもピックアップします。
本に魂が吹き込まれる瞬間。縁というものが本にもあると思う。
すると本もいきいきと輝いて、自然に通り行く人の目にとまり、売れることがある。
ただ待ってるだけではなく、見つめてもらったり触ってもらったり静かに出番を待っている、私の可愛い本たち。
そんな流れで旅立っていくのを見るのは嬉しい。

お互いに「好きなものが多いですよね」と話したお客さん。ちょっと私と似たところがある
関西出身のロマンチストで明るい趣味人。ただ私は茶色の指。お客さんは鮮やかなグリーンサム。
私が太宰を追いかけて三鷹に引っ越した事は特殊な事だと思っていたけど、
そんな思いつきで住処を移してしまった人って、ぼちぼちおられますね。例えばこのお客さん。

小林秀雄と高橋和己に憧れて鎌倉に住む。
三鷹へ引っ越したのは、森有正がICUで教えてたというのも決め手のひとつらしい。
太宰は好きでもなんでもないようで。そこは私と違う。
なかでも鎌倉の良さというのは、住んでみて一層よくわかるらしいです。
同じように他所から鎌倉へ越して仲良くなった人たちは、もう離れられない、と鎌倉を語るそうです。
あのあたりの独特な雰囲気は何なのでしょうね?私も大好きですよ。
本当はもっと行きたいけど、ハマったらこわい魔性の異性みたいなものかな。あえてあまり行かないようにしてる。
なーんてかっこつけちゃって(笑)単に遠いからでしょ>自分

初めて鎌倉・湘南方面に行ったのは高校の卒業旅行。友達が甲子園で仲良くなったというその友達が
藤沢に住んでいて、彼女の家に泊めてもらってお父さんにドライブに連れていってもらったりして、
出会う人皆いい人で、立ち寄る場所すべて素敵なところで、夢のような旅だったんですよね。
その印象がすごく今でも強いのかもしれない。その後もいい思い出たくさんあるし。
その時車の中でかかっていたのはサザンでなくユーミンの「ノーサイド」というアルバムだった。
隣に座っていたその彼女のまた友達、がほぼ全曲そらで歌っていたのに驚いた事まで記憶している。
なつかしいな・・・あの頃の彼女たちは今も元気なのでしょうか、まだ湘南に住んでいるのかな。
鎌倉よなぜ夢のような日々を遠ざける・・・か(by鎌倉物語)


2008年7月8日 火曜日
昨日は七夕でした。あいにくの雨が降りましたけど、夜はやんでいる時も長くて
ひんやりとした空気の中、幾分か夜空を見上げることができました。
でもそれって、太宰さんには嫌われてしまうかもしれない行動なのですね。
「作家の手帖」を読み直してみました。七夕に触れている太宰作品ですので。
三鷹の町の笹が太宰の眼にしみたというのなら、うちの店でも笹を用意しなくては。
と思いつつ今年も過ぎ去ってしまった。七夕は最も好きな行事なのに、私こそおさぼりものだ。
三鷹警察の巨大笹ツリーを見習おう。これ毎年ご近所の風物詩になってます。

この一年一夜限りの牽牛と織姫の逢引がたのしく行われますようにと、
幼少の頃から空を見上げるのも遠慮していたと作中にあるのは太宰の真の姿なのでしょうか?
だとしたらなんて純粋なんだろう。まさにはじらいの人だ。私はやはり見上げてしまう。
「作家の手帖」を読んだ後でさえも見上げてしまう。
もし同じ時代に生まれていて三鷹で知り合えたとしても、私は彼に嫌われたかもしれない、そんな気もする。
でも嫌われたとしても、何か創作の源のような影響を、小さな石っころ程度でも与えられたら本望ですね。
天才に奉仕するのは喜びだから・・・
なーんて「働きマン」の梶さんのセリフからパクってみました(Make It Beauty!P181)より

「ヴィヨンの妻」映画化!は嬉しいニュースでした。太宰治生誕100年記念では「斜陽」も映画化だし、
太宰周りが賑やかですね。どちらも私の大好きな作品。松さんも佐藤さんも魅力的な女優さんだし、
公開の日を心待ちにしています。
そしてもうひとつ忘れてならないのはシオネ監督製作の太宰治ドキュメンタリー、一応予定では生誕100年である
来年の公開予定です。先のお二人が主演女優賞候補なら、私もチョイ役助助演女優新人賞(笑)を
狙いましょうかね。さすが太宰です。天国からでも女性達をいい意味でライバルとして刺激させるのがお好きなようで。
なーんて茶化すわけではないのですが、うちの店のスタンスは生誕100年をお祭りとして盛り上げたいと思ってるので
中途半端ではなく、明るく笑っていこう、と。おふざけが過ぎたらちゃんと反省しますので。
私が梶さんのような男の人を心中させる色気があればシャレにならんのですが、
大阪のおばちゃんキャラですので笑ゴマ笑ゴマでいこうかと。なんだそれ!

今日も久しぶりに来てくださったお客さんがなんだかとてもおきれいになられていたので、つっこんでしまった。
「もしかして、恋してません?」と言うと「わかります?」ときた。私そういうカンはすっごく鋭いですよ。
30年ぶりの再会で「全然変わってなかった」なんて、小説のようなセリフを現実にサラッとこなされる
お客さんの方がすごいけど。私ならサザンのライブ誘うな。で、隣で髪振り乱して泣きッツラ見せてフラレル。のか?
今日の格言。年賀状は大事だよ。恋を休みたくなければさぼり厳禁。
私より年上のお客さんからも、先日たっぷりと出会ったばかりの恋の話をお聞かせいただいたんですよね。
やっぱり七夕の頃は、そんなはなしもあるのがいい。
この太宰棚の前で繰り広げられた文学談義と同じくらいの恋話もここでは繰り広げられてます。

「ヴィヨンの妻」を私は恋の話と思って読んでいます。
この作品は先日の桜桃忌ヴェートでも議題に取り上げられたり、近頃何かと話題な作品でした。
あと最近とても嬉しい事があったのでこれを機会に書かせていただくと、
ネットワーク大学の「太宰作品を読む百冊百夜」講義で、
作家の中沢けい先生が講師の回に参加させていただいたのですが、
「先日新聞を読んでいたら、ある個性的な本屋さんの店主さんが紹介されていて、
ヴィヨンの妻が好きだと出ていて私はとても嬉しかったんです」と発言されて、
きたーーー!私の事だーーー!先生それ私ですーーー!と心の中でドッキンドッキンしたのですが、続けて
「その店主さんは30代ということで、それくらいの若い女性がヴィヨンの妻が好きだっていうのが嬉しかった」
で、ドテッとこけて(あくまで表向きは平静を装って机に向かっている)私の他にもそんな人紹介されたのか、
とも考えたのですが、後でそういう方の記事などは特になかったようだし、ちょっとした読み違いで
やっぱり、多分・・・私の事だと思うのです。とても感激しました。
先生曰く「ヴィヨンの妻」には、冷たいエロティズムが潜んでいる、と。そのとおりだと思います。
この作品がどう映像化されるのか、根岸監督の映画は好きなのも結構あるし、たのしみ。

前に今年の下旬に太宰展が三鷹で開催される、とチラッと耳にしていたのですが、
今日読売新聞の方が連載をファイルにまとめてくださったのをお持ちいただき、
今年も来年も太宰展が催される、とお聞きしました。
太宰新風景、とおしで読むとこれまた面白いです。是非手にとって見てくださいね。
この盛り上がりを太宰はどう見ているのでしょうね。大げさに言うと100年経ったら生き返るような勢い。
いずれにせよ作品が多くの人に読まれるのなら、この上ない喜びですよね。私にとっても、そうだな。
大阪のおばちゃんはまだまだ三鷹で走り続けます。息切れしないように、いろんなブームを楽しみながら♪



2008年7月7日 月曜日
バー・ルパンのHPに載っていたのでこのお店を知り、来てみました」というお客さんが来店。
私もHPを見てみると、ルパンの事が紹介された記事を紹介する「News」コーナーがあって、
そこに私が掲載された朝日新聞の記事もアップされていたのです。
そこで「別の作家撮るついで 没後60年ほおづえ秘話」というのもアップされていて興味をひかれたのですが、
ちょうどお客さんがコピーを持っておられて、差し上げます、と言ってくださったのでまたお店で見れるようにしますね。
例の林忠彦氏の写真に惹かれたのが私が太宰に引き込まれるきっかけではありますが、
勿論田村茂氏の撮る太宰の写真も大好き。憂いがありますね、すごく。陸橋や古本屋、玉川上水沿い、踏み切り等
三鷹での太宰の足跡をちゃんと残してくださっているのは有難い。
この記事を読めて良かった。ルパンのHP、今後も重宝しそうです。
またチャーリーチャップリンを飲みにいきたいです。

そのお客さんは過去に斜陽館が旅館だった時に宿泊された事があるそうで、色々お話を伺いました。
旅の手記のHPの管理人でもあるそうで、そこに金木の芦野公園を訪れた時に、おでんやのおばあちゃんが
太宰を見たことがある、と語った事のエピソードが載っています。
コピーを読ませていただいた時、とってもいいお話だと思ったので、アップさせていただいて良いですか?と
お尋ねしました。おでん屋のおばあちゃん曰く黒の着物姿の太宰は「背が高くてほがらかで顔色が良かった」そうな。
今すぐ芦野公園へ飛んでいっておばあちゃんに話をお聞きしたい思いに駆られています。
いい公園だったな〜。
津軽のストーブ列車が大宮の鉄道博物館にある、ともお聞きしてそっちも行きたくなった。
たくさん旅ができるのも羨ましいですよね。しばらくは旅の手記等を見て気分だけでも味わっておこうかな
ちなみに他の旅のお話も含めてコミュニテイラジオで過去に放送されたそうですよ。

「自分には太宰治はどうもわからんです、浅田次郎の方がいいです」とお会計の時に
笑顔で言ってくださったお客さんが。
浅田次郎は私の周りの男性陣にファンが多いですね。うちでも入荷すれば早く売れます。
たしか太宰の事が死ぬほど嫌い、と公言されてますよね。太宰っぽい文章になってないか?と
チェックされるまでだそうで、大嫌いだけど意識はされている、と思ってしまいますが・・・

隣では年配の男性の方がお二人、本の話をされていて、
「太宰は男前だよね〜」とおひとりの方が言われると、私はカウンターのこちら側でうんうん、と頷いているのですが、
お連れ様は無言(笑)ちょっとひとクセある男前なのですよね、万人が認める男前ではない、のがまた良い。
「川端康成なんて80過ぎて(正確には72歳)自殺だぜ、ノーベル賞は獲ったし、生活は安泰だし、
なんで自殺なんだ?俺には全然わからない」
とお一人の方が言われると、
「だからそれが凡人の考えなんだよ」とバッサリ斬る。
うんうん、なんて失礼ながらも心の中で頷く。
「だったら女と心中する方がいいや」
「いや、ガス菅と入水では体力、エネルギーが違う」などの談義に興味深く耳を傾けてしまった。

「時々ここを通るんですけど、あなたはここの1階で店をして、2階でイベント等をして3階で住んでるんでしょ?」
と言われて、「そうだったらいいんですけど・・・ここは1階のみ借りています、住まいは近くのアパートです」
とお答えしたのですが、このやりとりって結構頻繁にあるんですよね。
皆さんここは買ったもので、宝くじでも当てた夫婦が優雅に暮らしながら趣味のお店をやっている、と思われている
ようで。でもそう思わせておいてもらった方が私はいいな、と思っていたのであえて聞かれなければ黙っているのです。
しかしその2階がイベントスペース、というのいいですね。「云わば多目的スペースですよ」と
お客さんがどんどん案を広げていってくださる。「実は私もそういうことがしたかったから」と笑っておられた。

「ただ正直かなり狭いので、この真ん中の本棚を移動して、客席を広くしたらどうだい?」と言われた時に、
窓ガラスの向こうからお二人に陽気に声をかける男性が。挨拶されていたけれど、どうも職場の人で、
お二人はおさぼりタイムをここで過ごしていたのを見つかってしまった、といったところでしょうか?

「こういう時の為にも、本棚の奥のおさぼりスペースは必要なのです」とすかさずお答えしたら、
「なるほどなるほど、では今度さぼる時はこちらの席で」と笑ってお帰りになられました。
実際奥の席でちょっとした休憩をされている仕事中のお客さんもいらっしゃいますし、それとは関係なく、
本に四方に囲まれたこの小さな空間は人気があります。外が見えるのがお好きな方も、外からの世界は
シャットダウンしたい方も、お店でくつろいでいただきたいので、狭くて不便な点はありますが、
オープンだけでなく、クローズな空間も残しておきたいのです。影があるからこそ惹かれるものもあるように。
本棚裏はちょっとテーブルががたつきますが。
あと、奥の階段下のスペースに展示がない期間は文机を置きたい、という密かな夢もあります。それはまだ先。
本棚裏のコーナーに合いそうな安くていいテーブル、を見かけたら、ご一報ください。



2008年7月6日 日曜日
お久しぶりに初代ダザイヴェートに来てくださったお客さんが来店。何年ぶり、くらいのご無沙汰でした。
その時の参加者さん同士で仲良くなられた方とご一緒に。
うちの店でのイベントがきっかけで今でも交流されているというのは、大変嬉しいものです。
毎日の流れの中で何かが育まれている、という実感ってなかなか見えないけれど、それをこういう時に確かめられる。
今日は来店されなかったけれど、同じくその時に来られていた方と一緒にルパンで文士風に白黒で写っている
写真を見せていただいたりして。ああ、あの時の皆さんもお元気でいらっしゃるのなら良いな、と願う。
しばらくお会いできてない方々も、またふと訪れていただきたいですね。

「われらの文学」のシリーズを、「え?100円?安い」とかあれもこれも「安い安い」とか言ってたくさん
買ってくれるような、そういえばそういうお方でした。段々思い出してくる。
立原正秋や、山川方夫の本をすごくいいから、ともう一人の友にどんどんお奨めする、
またその友は素直にお奨めされた中から一冊を買う、そんな光景をとても微笑ましく見ていました。

「三鷹に引っ越したい」しきりに友は言う。
そこで思い出した。最近それを実践されたお客さんが来店されたんだった。
しかも今時のおしゃれ上手な、とってもきれいでかんじのいい若い女性の方。
前にも何度か来ていただいてたけれど、最近引っ越してきた事を報告がてらお茶飲みに来てくださった。
三鷹いいじゃん、すごいじゃん、と私が褒めてあげたい気分。
三鷹に来たい人、やってきた人、皆ここへ来て良かったと思えますように
今年の短冊はそんな小さいようで大きなことをつつましく願おうかと。
やっぱりもうひとつ。このお店に足を運んでくださる方が皆気持ちよく過ごしていただけますように



2008年7月4日 金曜日
文学サロンの方が時々近況報告に来てくださるのですが、本日いらっしゃって
「ここの事をよく聞かれるんですよ」と嬉しいお知らせを。
私も近々行ってみないと。今原稿が「グッド・バイ」に変わり、太宰の大きな写真もあるとか。
6月25日に一万人来館、そして桜桃忌には1日で582人も来館者があったとのこと。
桜桃忌の日に太宰Tシャツが飛ぶように売れていた、というのはどうやら都市伝説ではないようです。
すごいですね。数字に弱い私も実感が湧いてきました・・・
すごいね、太宰さん。
こうなったら私もなんかすごい事したいなー
「太宰さん、私とタッグ組んでなんかすごい事しませんか?奇跡をおこしませう」と墓前ではなく
星空に向かって話しかけたい気分。別に千の風気取ってるのではありません。
「断る!私はもっと落ち着いた大人の女性が好きなんだ」とふられそうな予感・・・
でもいいんです、それでも。私Mだから。
いつになく、いや、いつも以上にハイテンションですね、って?
もうすぐ七夕なので、願い事考えてるんです!


2008年7月3日 木曜日
サザン貯金始めました!
マイブームがころころ変わる私ですが、ここ30年間変わることなくずっとファンだったのってサザンだけ。
いろんな事に情熱を持って取り込んできたつもりですが、一番長くファンだった事、好んでいた事って他に見当たらない。
本の世界だって、30年には負ける。夢中な時も他の事に関心がいってるときも
終わることなく静かに流れていたメロディ。

テレビの中の世界の人で初めて好きになった異性はバロムワン。次に原田真二さん、
そして次に好きになったこの桑田佳祐さんが以来30年もの間、私のハートをとらえて離さなかった、ということになる。
その次から好きになった人は数知れずなのでここでは省略。

生まれて初めてセックスアピールを男の人に感じたのは桑田さんでした。
寝る前には桑田さんと無人島で二人きりになる事を延々と想像してましたから。なんてエロイ小学6年生!
過去の日記にも書きましたが、中学1年の図工の授業で人の顔を彫るようなのがあって、
周りは圧倒的にトシちゃん、マッチ、な中で私は桑田さんの顔を彫っていた、という。
そんな私なのに、今まで一度も桑田さんの生声を聴いたことがない!
年越しライブに行きたい、という夢を果たせぬまま大人になった。
つまりサザンのライブを一度も体験していない!これはひじょうにやばい!と危機感を感じまして、
8月のスタジアムライブに行く事を決めましたー。行かないと後悔するし。
そこでサザン貯金なわけです。
ハーゲンダッツのアイスを食べたいところを、ガリガリくんにしようよ、みたいな小さな運動ですが、
来月までマイサザン月間、として思いっきり楽しんじゃおうと思ってます♪

きっかけは休止の発表というよりは、図書館で半年以上前に予約して忘れた頃に届いた
東野圭吾の「夜明けの街で」を読んだことです。
これがあの「LOVE AFFAIR ~秘密のデート」の出だしの歌詞の冒頭であったと知り、
この曲をyoutubeかなんかで聴いたらそのままサザン連鎖が止まらなくなって、
長時間聴いていた、しかも営業中に。
大雨でヒマな日なんかに、ほんのたまーにこういう事があるのも自営業の特権か。
しかし後でお客さんに「昨日なんかうっとりしてましたね」なんて言われて照れた経験もあるのですが・・・

来月のライブの日まではもうサザンしか聴かない!ぐらいの勢いですよ。
人間の身体に何万個の細胞があるのなら、その日は桑田さんに1個くらい丸ごと捧げます、くらいの。
私らの世代の人ならこの気持ち、ちょっとはわかってもらえるんじゃないかな、と思います。

ライブの前後にはサザンの歌詞に出てきそうな事を1個は必ず果たす、という自分へのノルマも。
洒落たバーで飲んだり、ベイブリッジが見えるホテルの窓辺で余韻を味わったりはできないけど、
ボーリング場でかっこつけたり、夏をあきらめるのはできるかも。大黒埠頭で虹だって見れるさ!な気分です(笑)
まだ20代前半の頃、サザンと原さんのソロ「YOKOHAMADULT」を持参して夜行バスで横浜の旅したことあるんです。
先が見えなくてさまよってた自分の姿、その自分へ「あの旅から20年以上経ってやりたいことは見つかったよ」
と返してあげるツアー、をしたいんですよ。同じCDを持参して。
サザンは青春の忘れ物なんです。取り戻せて初めて何かがちゃんと終われるのです。

そんな事を考えるとサザン貯金にもせいが入る、というところです。
アパートの部屋のCDの山の中からサザンのアルバム引っ張り出しては浸ってます。
ソロだけど名盤「KEISUKE KUWATA」が見つからないのが今の悩みのタネです。
今聴いてるアルバムは「綺麗」高校時代の私の心象風景が蘇えります。
「赤い炎の女」を聴きながらなんちゃってフラメンコを踊ると、気分が盛り上がります。
ライブ当日までフリツケをマスターせねば。なんせお初ですので。初めてのことってやっぱりいいですね〜



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