2008年10月17日 土曜日
秋ってこんなにいい季節だったんですね。
日々しみじみと感じています。なんといっても空のかんじ。朝も昼も夜も実にすばらしい。
あとは温泉旅の計画でもあれば言う事なし!
夏よりもやはり秋の方が湯のありがたみって感じるんですよね。
一度行ったところばかり好んで旅する癖のある私ですが、温泉はあたらしい方がいいかな。
一度も行ったところない駅・温泉に行ってみたい。○○温泉っていう駅なんていいですね。
秘湯であれば言うことなし。露天につかって見渡せば360度山だけ、なんて極楽〜。

といくら書き並べても行けぬ現実。先月行ったじゃーん!と自分を慰めつつ、
明日からの連休から土曜日まで、「秋冬記」にどっぷりつかればいいじゃん、と前向きにいきます。

私が生協書籍部でパートしている時期に、「カウンターでほるぷの太宰治全集復刻版を購入しました」
というお客さんが来店。「存心館前で出張販売してましたよね」と懐かしい話題に。
その時に、宣伝用の太宰の頬づえのポーズ写真の特大パネルがあって、
「全集を購入するのでこのパネルをいただけませんか?」と交渉しにカウンターへいらっしゃった方が
いた事も記憶が蘇った。今ならその人の気持ち、わかるな〜。
ちなみにNHKのビデオ「太宰治への旅」をセット購入すると付録で太宰治大型ポスターが
もらえるようです。こちらはバー・ルパンの太宰。どっちも欲しいな

この方も在学中からずっと太宰への思いをあたためてこられたようで、
なんだかあの時、もしかしたらカウンターで書籍注文の応対なんかを一回くらい受けていたかもしれない、
と思うと親近感が湧き、こうしてここに時を経てやってきてくださった事に感謝しました。
「津軽」を読んでその舞台へと旅した時、津軽富士(岩木山)の美しさに感銘を受けたそうです。
太宰の書いたとおり、弘前側から見ればゴツゴツと男性的、
津軽側から見ればいちょうの葉っぱのよう、というそのまんまだったから、と。
私も津軽を訪れた筈なのに、あまり岩木山についての記憶がない。
多分若かったから。といっても30半ばだったけど・・・
今ならもっと山の形とか自然の姿に目がいくだろうな、秋の良さが歳いくにつれてわかってきたように。
津軽の人が誇ってやまないこの山を写真とか絵ではなく肉眼で見てみたいですね。

山といえば八ヶ岳。
お客さんから買い取った本に山口耀久著「北八ヶ岳彷徨」平凡社ライブラリー、があって
ハッとした。ちょっとパラパラ読んでみると、この夏行った富士見高原療養所の事が書いてある。
小説家でもあった院長が病棟に「富士、石楠花、竜胆、白樺、梓、桂」と、
名づけたということをこれを読んで知った。
また、富士見の駅を降りて陸橋を渡ってそこから八ヶ岳を見た時の描写、
これらを読んでまた八ヶ岳への想いが積もった。
あの陸橋、いつもあの橋を渡りながら、「東京とは違うな」と感じる。
風がまず違う。あの八ヶ岳から吹く風を、たった一ヶ月前に感じたばかりなのに
もう懐かしくてたまらなくてまた行きたくなっている。旅の中毒にはまりかけているかな?
まずい。ここは「秋風記」にすべてをぶつけて思いとどまることにしよう。

店の近所の金木犀からもうあの懐かしい香りがしなくなった。
もう木から黄色がいっさい消えた。なんて短いのか・・・
やっぱりちょっとセンチメンタルになる季節ですよね←しつこい
でも「フォスフォレッセンス」という言葉が季語になるとしたら、やっぱり秋がしっくりくる気がする


2008年10月11日 土曜日
最近夕暮れ時の空につい見入ってしまうのだけど、
うちの店内からは見えない西側の空の美しさはすごい。自然な茜色に感動する。
これが武蔵野の夕陽か・・・現役だね、とさえ思う。
この空を窓から堪能できるような喫茶店はあるのかな?
お茶飲みながらただボーッと夕陽を見つめる時間というのはかなり贅沢でしょうね。
持ってきた本を読むのさえ気がついたら忘れてた、みたいな。
でも難しいでしょうね。ずっと美しく見えるだけではない。差し込む光が強すぎる時刻もあるでしょうし。

多摩地区のパティスリーにやたらお詳しいお客さんから色々情報をいただき、
本やメディアに紹介されていないようなお店もあって手書きの地図を書いていただいたり、
太宰作品の絵本を製作中のお客さんが来てくださったり(東京MXテレビで紹介されていた絵本)
この絵本は今月には完成予定だそうで、またお持ちいただけるとのこと、楽しみですね。
半年ぶりに来てくれたお客さんにその後の近況で夢のある話を聞けたり、
穏やかな秋晴れの日はその名のとおりゆるりと過ぎていきました。

夜は・・・この日らしい満月が出ていましたね。
爽やかな秋の連休初日にデートして、夜になったらポッカリときれいな満月が浮かび上がっていて
一緒に見上げた、なんて思い出をつくれた恋人達もいるんだろうな・・・
冬が一番好きな季節だった私ですが、42歳になった今、春と秋の方が好きになったかも。
空の色や植物の香り、虫の鳴き声、そういうものがとても染みる様になったからかな。
最近つくづく日本人で良かったな、と思うのです。
月桂冠の過去のCMをyoutubeで見て懐かしさと古都への郷愁に焦がれた事もあるかな。
花鳥風月ってテーマで、真田広之が出てきてBGMが安全地帯の「あの頃」で
日本の朱は瞼に熱い 日本の朱は心に溶ける ここが、僕の国です ってやつです。
朱い帯した和服の女性に真田さんが目礼するのが印象的で好きだったCMです。

「セックス・アンド・ザ・シティ」も好きだけど、女性達がガッツがあってウィットに富んでいて面白いけど、
タクシーで禁煙だって言ってるのに吸い続けたり、レストランで順番を待てずに我侭言っちゃうような
細かいシーンが気になってしまう。日本人の奥ゆかしさの方がいいなって思っちゃう。
でも私の好きそうなものが詰まってるから見るけど。マンハッタンが大好きだし。

あー、なんか無性に着物が着たい。赤い帯しめて。
秋は自分の中の日本人の心を刺激する季節なのかな?
でもきっと今年の秋も着物を着れない。ちょっと切ないから秋風味なポテチでもつまもう。


2008年10月10日 金曜日
なんだか「繁盛したら魅力が失せる」とかすごい事書いてますね、私(笑)
自分でも何を言い出すか、考え出すかわからない。そんな自分が面白い。
すごく浮気性で考えもコロコロ変わるし。
自分の中の太い幹の部分、それは大切にしていてずっと変わらないで育てていきたいもの。
でも細い幹がめちゃくちゃたくさんあって、それはコロコロ変わる。
太い幹、メインの仕事、このお店を続けていくこと、
これに対しては飽きる事は決してないでしょう。夫に飽きる事もないでしょう。
でも細い幹、趣味とかマイブーム、小さな恋心は毎日入れ替わり立ち代わり大忙しですよ。

日常生活の中でも例えば八百屋のおっちゃんの笑顔といせいのいい声に癒されにバナナを
買いに行くとか、図書館が近くにあって毎日のように行けるだけでも幸せなのに、
素敵な図書館員さんがいてますます幸せ、とかありますけど、
遠い世界の人では今またB'z稲葉さんブームがきてるかな。
年末の歌番組のドッカーン!でハートを撃たれるパターンが今年はちょっと早くきたみたい。

先日NHKでB'zをとりあげた番組があって、それは見逃したんですけど、
お客さんが、彼らのストイックさに感動したから見た方がいいよ、と再放送情報を教えてくださった
んですよ。しかし今うちのテレビ調子が悪くて録画機能も死んでるから見れなかったんです。
同じ理由で桜井さんの番組も見れなかったし・・・

と、そしたらネットで見れたんですよね。
勿論ストイックさとか、すごい記録やヒットを飛ばしてきた実績がありながら、
本人いたって真面目で謙虚なところとか感動したんですけど、
稲葉さんが短パン姿でジョギングした後、神社でお賽銭に500円入れてお参りしていた後姿に
二度目惚れしてしまった・・・

私は鍛え上げたマッチョの人より痩せ型の人の方が好みなのに、
ひきしまったお尻にやられてしまった。決していやらしい視線ではなく、
多分初めて見た後姿がなんか良かったんですよ(いいわけにしか聞こえませんよね・・でもホント)
普段は寡黙でオーラを消していて、私生活もベールに包まれていて、ステージで輝くタイプだと
思っていただけに、不覚にも後姿にグッときた自分にも新鮮で驚いていたり。

それとあのルックスとシャウトが映える歌声でいて、歌詞から分析するに、どうもドMなところも萌える。
それでいて乙女座AB型なのがますます萌える。っぽいですね〜。
流れで見た「恋心」を踊りながら歌う稲葉さんはキュート&セクシー。
そういえばB'zファンのお客さんがライブでいかに稲葉さんが素敵か話してくれた事があったっけ。
是非機会があったらライブに行って私も稲葉さんと一緒に踊りたいものです。
いやー、それにしても私にはストイックさがまーったく足りん!
ちょっと見習おう。同じAB型としましても、ね。


2008年10月9日 木曜日
秋の蚊は哀れ蚊だから殺しちゃいけない、と太宰がその作品の中で謳おうとも、
店で出没されたら殺すしかない。このところきっと今年最後のあがきであろう蚊がふらふらと飛んでいる。
いろんな対策をしていても出る。そんな時お客さんからナイスなタイミングで蚊取りグッズをいただいた。
カエルの形をしていてちょっと愛嬌がある。
ミラクルニームという虫がこなくなる植物も教えていただいた。来年の夏はこれいってみようかな。

ところで例の「タイル目地ブラシ」大活躍でした。
映画「OUT」で主演の原田美枝子さんが、薦められたお風呂の掃除用洗剤で目地をゴシゴシしながら
「これ、いけてるわ」ってつぶやくシーンがあったのを思い出しましたよ。

私はズボラなたちなので、掃除をするまでのエンジンがかかるのがスローなんですよ。
そんな時はドラマや映画のお風呂掃除シーンを思い出してちょっとテンションを上げています。
「私、女優よ」くらいの気持ちでちょうどいいくらい。
といってもあと思い浮かぶのはドラマ「anego」で篠原涼子が目をシバシバさせながらシンクを
ピカピカにしていたシーンくらいしか思いつかないんですけどね。ネタ2つだけかよ!みたいな。
でもいざテンション上げて掃除し終わった時のあのスッキリ感は最高ですね。
この調子でもっと掃除が好きになりたい・・・


2008年10月7日 火曜日
あちこちで金木犀の香りがしますね。永遠に飽きない香り。
初秋を日々かみしめています。歳をとった今の方が秋は美味しくいただける、そんな気がします。
太宰が三鷹に移り住んだのも初秋だったんですよね。

「秋風記」を読書会テーマにするきっかけになる話をしたお客さんからの参加のお知らせは
嬉しかった。またその時にお話した、お好きな太宰作品が何だったかずっとひっかかっていた話の
タイトルもわかった。それは「誰も知らぬ」
お客さんの「女なら、誰でも胸を掻きむしられると思います。」という言葉に導かれて
もう一度読み返してみました。たしかに・・・これは女ならではの気持ち、行動なのでは、と思いました。
逆に男性の方に感想を聞いてみたい作品ですね。

12日日曜日のNHK「新日曜美術館」は桜井浜江さん特集だそうです。
メールで教えてくださったお客さんに感謝です。
今もよく桜井さんの家の前を取りますけど、そこだけ竹が鬱蒼としていて別世界みたいで
毎回不思議な気持ちになります。ここを当時何度も訪問した太宰のシルエットが竹の中から浮かんできそうで・・・
東京の竹薮は京都の竹薮とは全然違う。なんとなくそう感じる。

京都といえば、東京旅行中のお客さんが今日来店された。
本屋巡りがお好きということで、現在の京都の書店事情について色々教えていただく。
丸善がなくなった事がとてもさびしい、とかあの書店のフリーペーパーのようなものはまだありますか?とか。
そんな話をしていたら無性に京都に行きたくなった。もうこっちに引越しして7年目だもの、
色々と変化していて当然なんだ。
でも今すごく貧乏なので無理だな。よく考えたら今まで生きてきて今が一番貧乏かもしれない。
すごく笑えるな、身体も衰えてきたというのに。
でも気持ちの豊かさをじっくりと耕していけそうな環境は整っている。
これって幸せなことなのだからもっと努力しないと。

大宮太宰文学散歩を企画していただいてるお客さんが詳細やチラシデザインまで
考案してくださっていて、メールでお知らせしてくださる。
もしかしたら冬の読書会は趣向を変えて、人間失格執筆の地、大宮で太宰の足跡を巡る
番外編になるかもしれません。まだ先の事なのでなんともいえませんが、
お客さんが情熱を持って企画していただいてるのが伝わってくるので、
のっからせていただくのもいいのではないかと。
一応予告しておきますね。


2008年10月3日 金曜日
時々「節約日記」に変わるこの営業日記。
でもいつも言うように正直日記ですから。甘くない水の部分もしっかり記録しておくのです。
そんなもがいている状態からどうやって成長したり、堕落したり?していくのか、
基本ダメ人間の私をしかと見届けてやってくださいまし。
ブックカフェ、本と人が好きでないと結構生活きつくなるよ〜、って部分もね。
あ、正確にはちょっと違うかな。ブックカフェでも成功して儲かっているところはあると思うから。
うちの店の場合、成功でも失敗でもない。欠点は色々わかっているのです。
ちょっと負け惜しみっぽいけれど、このお店は繁盛したらとたんに魅力が失せる。
今気に入って来てくださってるお客さんに「変わったよね、悪い意味で」って思われたら終わりと思ってる。
あえての「抜き所」がたくさんある。それがやはり間違いだったと気づくかもしれないし、
これでいい、とずっと思っていくかもしれないし、揉まれながら悩みながら考えていきたいと思う。

節約ばかりしててもなんか乾いていく。メリハリをつけなくちゃいけない。
詩情のある節約がしたい、なんのこっちゃですけどね。
そう思ってスイーツの秋だし、ほんのたまにはちょっと高いチョコを買ってみたりする。
鎧塚さん監修のBRUDER 塩とキャラメル、サミットで189円(だったかな?)でちょっと安く売ってたから。
これを一日一列のみ、おやつにしている。
そうすると3×5列で15個、5回は甘くとろける時間を過ごす事ができる。
私はコーヒーは砂糖とミルク入れる派なのですが、チョコと合わせる時はブラックで。
なかなか合うんですよ、これが。少し眠気が出てくる午後三時頃のブレイクには最適なのです。
そんなかんじで今年の秋も軽やかに乗り越えたいものですね。


2008年10月2日 木曜日
9月は売り上げ悪かったから今月はお休みの日も地味に過ごし通す予定。
すやの栗きんとんももう少し我慢。でもせっかくいい季節だから風を感じたい。ひたすら歩く。
火曜日にお客さんから「このへんに金物屋さんある?」と聞かれて、全然思い浮かばなくて
最近金物屋さんも見なくなったねー、なんて話をしていたのだった。
そしたら翌日、なぜかひたすら金物屋さん目指して歩いてみよう、と外に出てみたのでした。
ちょうど茶渋をとるマドラー状のスポンジみたいなものが欲しかったので。

しかし・・・ないのよね、金物屋さんって。私が子供の頃には結構あったのにな。
諦めればいいのに頑固だからどうしても見つけたい!とすぐそばを通り過ぎたバスに乗る。
ちょっと自分に酔ってるかもしれませんね、行き先も見ずにバスに飛び乗る自分かっこいい、みたいな。
まあそれもア、秋のせい、ってことで。

しかしバスから外を見ていても金物屋さん、ナッシング!とうとう
「ご乗車ありがとうございました。次は終点の調布駅北口」というアナウンスが聞こえてきた頃、
「あったー!:」奇跡は(っちゅーほどでもないですが)起こったのでした。
これぞ「ザ・金物屋」ってかんじのお店が見えました!しかもすべりこみセーフ、な展開につくづく私の人生
ドラマチック、というのはちょっとオーバーですが・・・バスを降りました。
すると目の前にパルコ。おお、大好きなパルコよ〜、と吸い込まれるように入っていって、
色々楽しくウインドーショッピングしました。

色々日々悩みは多けれど、私の場合、週に一度はたっぷり寝れて、時々街やデパートをウロウロ
するだけで大抵元気になる。そうやってると気が晴れる。そして書店をじっくりと見れる事、かな。
友達がこれいいよ、って言ってたリキッドタイプのアイブロウのお試しがあったので鏡に向かって
眉を描いてみたり。1260円か、無理無理、と買うのは諦める。
でも眉は大事。身だしなみ投資として将来の買い物リストには脳内にしっかり入れておく。
翌日オークションアラートのキーワードにしておいたし。
ボディローションやアロマオイルは見ているだけでも癒されるし気分いい〜♪

は!大事な事をずっと忘れているような気は何か胸の辺りに漂っていたけれど、
すっかりパルコモードに浸っていて「ザ・金物屋」の事を忘れていた!
バス通りを引き返すと、あちゃー、金物屋さんもう閉まってるし・・・
いや、いいのだ。こういう真っ当な金物屋さんはダラダラと遅くまで営業しないのだ、うん。
いや、よくないだろ!目的はこれだったのに・・・やっぱり人間そう簡単に変われないですね。
甲府の暗闇の二の舞です。でもここで諦めない!今日は絶対に茶渋をとるやつ買うのだ!と
再び通りを歩きました。でもやはりない、金物屋さんはそう簡単にはみつからない時代ですね。

おとなしくパルコの無印に行きました。店員さんに
「あのー、茶渋をとる道具って何かありますか?」こうなったらマドラー状でなくとも良い。
きっといくら無印でもそのようなものはないだろうな、とあまり期待しないで聞いてみたのですが、
店員さんは満面の笑みで「茶渋をとる用具はあいにく在庫していないのですが、
こういうものならございますが」とご丁寧に商品の場所まで案内してくださったのが
「タイル目地ブラシ」の前。お礼を言ってそこに立ち尽くす私。でかっ!
これで茶渋とるの?かっけー!(笑)

多分そういう発想もオオアリで、そこでちょっとクスッとなった私が古い人間なのかもしれないけど、
なんかすっごいおおらかな気持ちになれたんですよ。
一期一会であれ、接客っていいなー、って思えた。
長い時間ひとりで行動してたのもあって人恋しかったのかな?
可愛い女性がこっちむいて笑ってくれるとか声かけてくれるのが嬉しい上に、素のユーモアっていうか
とても良いものに触れたかんじがしたんですよね。うまく言えないけどパッと晴れた瞬間だった。
勿論、これは買いましたよ。プライスレスで即決。微妙に意味違うけどま、良しとしましょ。

次のお休みはこのブラシでお風呂をピカピカにするのが目標です。
たしかにそろそろ風呂掃除しなきゃいけないかんじ。良い導きでした。
その後はいい気分のままマックで100円アイスティーを飲んだ。
節約ライフ、なかなか愉しいものですね。


2008年9月29日 月曜日
昨日お客さんが太宰治文学サロン通信vol.2(みたかのみたか30号)を持ってきてくださった。
サロンまでなかなか行けないのでとてもありがたい。
そこに太宰展の詳細が載っていましたので紹介しておきますね。

「太宰治三鷹からのメッセージ 〜没後60年記念展〜」開催
平成20年11月22日(土)〜12月21日(日)
会場 三鷹市美術ギャラリー(三鷹駅南口前、コラル5階)
観覧時間10時〜19時(月曜日が休日の場合は開館し、翌日と翌々日を休館)

お客さんから聞いたのですが、太宰は三鷹で亡くなったのだからやはり「没後60年」の方が
「生誕100年」より重点されるのでは?という声も多いそうです。
しかし今年もあと三ヶ月・・・早いですね。そんな没後60年の締めくくりに太宰展、
今から11月が楽しみです。
太宰グッズも数々生まれているようで、近々サロンに行ってみようと思っています。
そういえば地元金木では生誕100年のロゴマークが完成したようで、
着々と準備が進んでいるようです。

準備が進んでいるといえば、(なぜか)上連雀8丁目にコメダコーヒーが進出予定だそうで、
多分これかな?と思う工事現場が三鷹通り沿いにあります。
うちから三鷹駅方面へ戻るとして、警察を過ぎたあたりにその現場はあって、三角屋根のシルエット
が見えるのです。違ったらごめんなさい。
正直すごく嬉しい。うちの店がもっと大きな規模だったら「むむ、ライバル?」と焦るのでしょうが、
大衆向きではないので、特色がかぶらない。むしろ遠方の方がわざわざ上連雀8丁目に来られる
良いきっかけになって、「今日はコメダとフォスはしごしてきました」みたいな現象カモーーーーンヌ!
な妄想をしております(笑)
「フォス」というのは、お客さんがよくうちの店の事を略してこう呼んでくださっている事を
間接的に知ったりするので。あとおじさまがたは「フォスフォーレンス」と
フランス風に呼んでくださったりもします。
店内でお客さんがお茶している時に電話がかかってきて、小声で「今、フォス」って言われているのを
聞いたこともあるし。

ご近所のお客さんと時々話題にするのですけど、「なんで駅前でなくてここなんだろう?」と
いつも議論になります。でもさすが喫茶激戦地の有名店、先見の明がある、と私は思いたい。
三鷹通りは桜の木がどんどん成長してとても美しい通り、お店も徐々に増えて
駅前とはまた違った雰囲気を醸し出し、もっと道行く人々に愛される通りになると未来へ思いを馳せる私、
そして「三鷹通りのムーブメントは2002年突然現れたフォスフォレッセンスによって幕を開けた」
なーんて果てしなく広がる妄想・・・その反面、あまり変わらない方がいいのかもね、とも思う。

でも私もよく通っていたシャノワール、UCCカフェプラザ、が今はもうないので
コーヒー好きの人の為のオアシスの新登場は待ち遠しい。
ただあの場所は、私が毎年八重桜を楽しみにしていた空き地。
それはそれは見事なぼんぼりのような桃色の花を咲かせておりました。
現在、工事現場の中にけなげに2本だけ残っております。
お店が完成した暁にはあの2本も切り取られてしまうのか?もしそれがやむを得ないのなら、
私がちゃんと覚えておくからね、と瞼に刻み付けておくことにしよう。
でも桜が散った頃に、店先で2本だけでも八重桜が咲いていたら人々の目に優しいのにな・・・
ってそこは全然違う建物になったりして。どちらにせよOPENしたらまた日記に書きますよ


2008年9月27日 土曜日
秋の読書会の詳細が決まりました。10/25(土)作品は予告どおり「秋風記」です。
イベントコーナーより内容をご確認ください。
このきっかけとなった、「秋風記」がお好きというお客さんとお店で会話したのは大分前ですが
「秋の読書会にできたら参加したい」と言ってくださった時に、
「9月の下旬にサイトで発表しますので確認してご都合よろしければ、募集してきてくださいね」
とお答えしたので、もしそのお客さん、見てたら参加大丈夫ならお知らせくださいね。

「ひとを、ひとをおちょくるのもいいかげんにしてほしい」的なセリフは山ほどありますが
「ひとを、ひとをいたわるのも、ほどほどにするがいい」という作中のセリフにドキッとしてしまいました。
「秋風記」って太宰作品の中でも、特にエロティックな部類だと思うのですが、
不倫を思わせる二人の行動として、心中してしまうかもしれない雰囲気も漂っている男女が旅する話で、
ラストで事故にあってしまうというオチがすごく現代的なかんじがするんですよね。
見つかってはいけない旅行って官能の裏に罪の意識と、もし事故にでもあったらという不安が背中合わせ
だと思うんですけど、ここではしっかり事故ってしまう、という。
湯に入るあたりの描写はちょっと川上弘美の「風花」を思い出しました。逆かな。
「風花」は前半が良かった。特に温泉に入るシーンが好きで。深い仲ではない男女が一緒に温泉宿に
泊まる、というのがかえってエロスを醸し出してたと思うんです。
まあ来月24日まで、「秋風記」たんと読み返そうと思います。
ご一緒にどうですか?深読み歓迎します(笑)


段々と風が冷たくなってきた今日この頃、お店で「あたたかい」と言われてふんわりとする。
高校生の頃からお店に来てくださっていて、今京都の大学に通っているお客さんが久々にご来店。
最初わかんなかったのです。すごく大人っぽくなっていたから。
しばし世間話をして「中身は変わってないですよ」という彼女から少し秋の京都の気配を分けてもらう。
大人っぽくなった筈、彼氏ができたって。
京都の学生時代で恋人とデートする最初の秋という季節はどんなものなのでしょうね。
なにもかも輝いて見えるようで、あとからほのぼの思うもののようで(青春時代?)
お店を長くやっていて何が嬉しいかって、移り変わりを見ていられる事。景色も人も。
そして帰って来られるごとに、変わらずここに存在することがホッとするような、
そんな場所になっていけたらと思うのです。

「前に来た時よりも、お店があたたかくなってますね」と彼女に言われて、嬉しかった。
今日は雨の降らない土曜日だったのに、いまひとつ売り上げはパッとしなかったけど、
この言葉をもらったのでOK。

先日、初夏以来ご来店いただいたお客さんは、この夏の間入院されていたらしい。
いつも多摩の西の方から自転車でやってきてくださって、お顔色もいいので
勝手に元気な人、と思い込んでしまっていた私失礼もの。
「だばさんも色々ゆっくりでいいからね。大事にね」というなにげない言葉に重みが。
それでも同人誌に掲載は続けてらっしゃって、「時間のある時に読んでみてね」といつもどおり
原稿を渡してくださる。「だばさんもいつかお店のこと書いてね」という言葉もいつもどおり。
ひと夏の風景を取り戻すかのように窓の外を「ここからの景色はよいですね」と見つめられていた姿が目に残る。

甲府に行った話をしてわかったこと。お客さんは「旅館明治」に泊まった事があるそうです。
武田神社に纏わるちょっといい話もお聞きしました。この神社には3葉松があって、
お守りに持ち帰る人が多いらしい。私って歴史に疎いからせっかく風林火山な甲府に行っても
駅前で武田信玄像をちょっと見上げて「いかついな」って思ったくらいであとはノーマークだったんですけど、
縁起をかつぐものにはのっかるタイプなので、今度甲府に行ったら3葉松の葉、探してみようと思います。

昨夜はいつも後ろで髪を縛っているお客さんがストレートパーマをかけてシックないい女風で現れたんですよ。
ストレートのボブって天然パーマの私には永遠の憧れなので羨ましかったですね。
ストパーしようと思ったらお金は勿論、長時間座ってなきゃいけないですよね。
美容師さんに恋しちゃうくらいでないと今の私には無理だな〜。
そうやって美容にかける労力を惜しむからダメなんだろうけど。

変わりゆくもの、変わらないもの、についてこのところよく考えてる。
100年経ったら私はここに確実にいないけど、この建物はよっぽどの事がない限りはここにあるだろう。
どんな空間になっているのだろう・・・
ここがフォスフォレッセンスである限り、ずっとあたたかさを持った空間であり続けたい
センチメンタルは秋のせいかな?


2008年9月15日 月曜日

今年の十五夜は雲の切れ間から真ん丸いきれいな満月が浮かび上がりましたね。
ずっと顔を出してはくれなかったけど、私が月見団子を食べている間は出ていてくれた。
健康でお店がますます皆様に愛され、穏やかな日々が続きますように、と月に願いお茶とお団子を味わう。
変わらないものの凄さに圧倒される時間。こういう日本の古来から続く行事を私は愛したい。
あ、月見バーガーの割引チケットのチラシとっておいてるのに食べるチャンスあるかな・・・

お団子を食べ終わったらちょうどお客さんがご来店。よく来てくださるお客さんが大学生の息子さんとご一緒に。
十五夜に親子でカフェ、なんてなんとも羨ましい。
「今隠れてますが、あちらの方向に月が見えますよ」なんて最初にお伝えしたけど、
親子で仲良くおしゃべりに終始されていた。そっちの方がハッピーかな、って思った。
お帰りになられて月の方角を見てみると、えらく黒い雲がどんよりと月を覆っていた。
もしかしたらタイミング悪くご来店の間はずっと月は隠れていたかもしれない。
でも親子水いらずのちょっとした時間が過ごせていたなら全て良しかな、と思ってみた。

ところでキキララことリトルツインスターズのデジカメケース、この付録が欲しいだけで
OLさん風ファッション誌「 steady」を購入してしまった。すごく可愛いんですよー↓


大きさがちょうどいいので携帯ケースにしました。もうひとつゲットしてデジカメケースにもこれをかぶせたいくらい。
さあもったいないから本誌を読んでみよう。おしゃれの秋だし、OLファッションにイメチェンしようかしらん
ないない!


2008年9月13日 土曜日
開高健の本を発見され、「実は大阪の高校で同級生だったんだよ」という
お客様がご来店。「器械体操が得意で、やっぱりワルで目立っていたね」と懐かしそうに語られる。

その後「ほむらひろしさんの本ありますか?」と言われたので、え?と失礼ながらもう一度確認しました。
奥の棚から3冊穂村弘著書を取り出して、「こちらの著者の方で間違えないですか?」と。
ご年配の方だったので、その名が出たのが正直意外だったのです。
「そうそう、この人。実は先日短歌の講演会を聴きに行って、この人のあまりのしゃべり、司会のうまさに
関心したんだよ」と。へー、ほむほむって喋りもイケルんだー、なんて内心思いながら、
自分の失礼ぶりを恥じました。

お客さんは講演後、「あなたが今日は素晴らしかった。何か著書を読みたいけれどおすすめは?」と
ご本人さんに直接尋ねられたそうで、「短歌の友。これは真面目に書きました」というお答えを
いただいたそうです。残念ながら「短歌の友」はなかったのですが、他の本を購入されました。

その後は太宰好きのお客さんが来店された。
今発売中のユリイカの太宰・安吾特集、読んでみたいですね、とかまたいろんな雑誌を
持ってきてくださったりして文学話を色々していたところ、奥の席でお茶を飲まれていた
お客さんがお帰りに。「なんかちょっと騒がしくてすいません」と謝ると
「いえいえ、聴いていて面白かったです」と笑顔で爽やかに言ってくださったのです。
多分まだ大学生くらい?のお若い方。とても嬉しかった。太宰好きなお客さんと、
今の青年、かんじ良かったですねー、爽やかな風が通り過ぎた後のようですね、なんて話してました。
また来ていただけたら嬉しいです。

文学話のひとつで「これ面白そうですね」とお客さんが差し出されたパンフが、
三鷹ネットワーク大学での講座「テクストの中の風景-湘南」のもの。私も気になってました。
なかなか面白そうなんですよ。概要をコピーしておきますので、
気になる方は受講してみたらいかがでしょうか?
湘南の背景が織り込まれた小説やコミック作品を題材に、湘南の人気の秘密について
読み解く講座で、都市開発、都市システム論や、小説、文学に興味のある方には
楽しんでいただける内容、とのことです。終了分も一応アップしておきます。

【テクストの中の風景-湘南】

■日程/内容 (全10回 各回受講可)

9月4日 「湘南」の範囲と都市イメージ

9月11日 逗子、葉山
吉野万里子「ROUTE134」、石田衣良「眠れぬ真珠」、喜多嶋隆「8月のカモメたち」

9月18日 鎌倉1
内容:立原正秋「恋人たち」、「薪能」、「残りの雪」

9月25日 鎌倉2
内容:松本大洋「ピンポン」、吉田秋生「蝉時雨のやむ頃」、井上雄彦「スラムダン
ク」

10月2日 鎌倉3
内容:桑田佳祐「稲村ジェーン」、小泉徳宏「タイヨウのうた」

10月16日 平塚、大磯
内容:京極夏彦「邪魅の雫」、火坂雅志「美食探偵」

10月23日 小田原1
内容:、中村航「あなたがここにいて欲しい」、浅田弘幸「I‘ll アイル」

10月30日 小田原2
保坂和志「この人の閾」、夢枕獏「瑠璃の方船」

11月6日 伊豆、そして箱根へ

11月13日 辻堂、茅ヶ崎
内容:村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」、真保裕一「奪取」

いずれも木曜日
■時間:19時〜20時30分
■定員:40人

■受講料:  各回   通し受講
一般    1,500円  13,500円
三鷹市民  1,200円  10,800円
市民学生  1,000円  9,000円

■会場 三鷹ネットワーク大学教室AB

■講師
増淵 敏之 法政大学大学院政策創造研究科教授

■受付、お問い合わせ
特定非営利活動法人三鷹ネットワーク大学推進機構
東京都三鷹市下連雀3-24-3 三鷹駅前協同ビル3階
TEL 0422-40-0313 / FAX 0422-40-0314
http://www.mitaka-univ.org/


2008年9月12日 金曜日
また旅の日記を長々と書いてしまいましたが、なんだかんだで
命の洗濯も目的だけど、たくさん歩いて美味しい空気と水と地元野菜を味わって温泉につかるのも目的だけど、
自分がお客さん側になっておもてなしの心を学ぶ、これが一番だったりするかもしれない。
今回も宿やカフェなどお店の人々から学んだことは多い。ちゃんと生かせるように、
こうして日記に書きとめておくことも大切なのかもしれない。
そして前の旅からの教訓で山の暗がりは要注意、を生かして早く宿に到着したように、
今回の失敗も次に生かしたい。一番の目的地へは明るいうちに。
今度甲府に行けたら、少し足を延ばして湯村温泉の「旅館明治」太宰執筆の部屋にも行ってみたいです。
「火の山ー山猿記」を読んでから行くのもいいでしょうね。

そして気づいたことは、自然の中を歩いている時はまず大丈夫。ヘンにならない。
歩いている時ってすごくゆったりと落ち着いた気分でいられる。これからはもっと歩きたいなと。
深大寺くらいまで毎日歩けたら理想。そこまでは無理でも、ひたすら歩くという習慣が身についたら良いなと思う。
武蔵野に住んでて良かった。歩くにはことかかない。
「武蔵野を散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない」という独歩の言葉に大きく頷く
今からの季節は最高に気持ちいいですよね、あー、こうしてパソコンの前で座っていても
外を歩きたくて散歩したくてたまらなくなる。経費も0円だし、素晴らしい趣味だわ。ちょっと散歩してきます。。


2008年9月11日 木曜日
なぜこんなに八ヶ岳方面に惹かれるのでしょう・・・
ここ3年くらい毎夏行ってますね。しかも変わり映えしないコース、
色々未知の場ではなく、同じところばかり巡ってる。でもホッとするんですよ。

でももう3年前とは違う。極端に言えば今年の頭と今は違う。何が?って自分の状態が。
体調は昨年悪かったところが回復に向かうと、次は新たに悪いところが出てくる、
そんな繰り返しでつくづく「老い」というものを感じさせられる今日このごろ。
不安要素は増えるばかりなのに、どうなるかわからない環境に身を置いてでも
旅する事へ、八ヶ岳のそばにいく事へのこの執着心はなに?といろんな答えを求めたくて
今年もでかけた。結果、精神的ドMですね、やっぱり。

今の私はシーンとしたところでじっと座っている、ということができない(店は特別でなんともない)
動悸息切れ、頻尿への不安感が押し寄せてきてしまう。これは今年の頭にはなかった。
むしろ上半期は体調が良い方で、もう大丈夫なのか?と思っていたのだけど、
この夏またぶり返した。これからはこういう事の繰り返しなのだろうな、と諦めたらちょっとラクになったけど。
私よりもっとしんどい人なんて山ほどいるし、自分の影の部分と付き合っていくのも大人という事なのだろうと。
こんな状況でも、きっと八ヶ岳は私に優しいだろうとどこか信じたかった。
結果、優しかった。なんとか2日間普通にトラブルなく旅を終えた。
この自信が今一番欲しいものだったのだろうと思う。不安感に勝てた、という。
これで今年後半は前向きに頑張れそうな気がしますよ。

一番旅のきっかけになったのは、お客さんが送ってくださった資料「回想甲州の太宰治」を読み返した事。
この資料は太宰コーナーに設置してありますからいつでもお読みくださいね。
そこに登場する太宰に関わった人たちの表情の明るさ、柔らかさ。もういずれもおばあちゃんになっておられる
のですが、ほがらかな笑顔で白黒の写真からもその丸いお人柄が伝わってくるようで・・・

毎度おなじみの青春18切符ご利用です。
この資料を中央線に乗りながら再読したのですが、なんだか涙が出てきそうになってしまって。
太宰はあたたかい人たちに甲州で囲まれていたのだな、と思うと。
そして「富嶽百景」を富士の影を見ながら読むとこれもひとしおでまた泣けて、
何度読み返しても心に染み入る小説に出会えた自分は幸せものですね。
「シルクハットを逆さまにしてそこに小さな旗を立てた・・・きれいに文化がしみ通っている街」
と太宰が表現した甲府のそのまんまの風景を見ながら
ボーッと物事を考える時間は、もう温かな湯に入ってるような気分でした。

最初の下車は甲府で山梨県立文学館へ。太宰から井伏氏への手紙などが展示されていて、「太宰と甲府」という
内容のビデオも鑑賞できました。芥川龍之介関係が充実してましたのでお好きな方にはお奨め。
太宰の新居跡やゆかりの地巡りは時間がなくなったので帰りにまわして宿泊先へ向かいました。
またまた大好きな甲斐大泉周辺で宿をとりました。
小海線も乗りたいし、清里ほど人は多くないけど八ヶ岳に丸ごと抱かれたような心地のする森と水の透き通る大泉、
相当気に入ってしまいました。昨年の蓼科高原も場所といい宿といい素晴らしかったのですが、
都内から電車で2時間以内くらいが今の私にはちょうど良い。信州方面では確実にすいているし。
それに満点の星、という点では宿の地形的な面で変わってくるのでしょうが、大泉が圧倒的だったのです。

ホテルでも旅館でもなくひとりペンションするのにハマってしまってますが、より自然に抱かれて、
朝もやの気配と野鳥のさえずりで目が覚める、という点にこだわるとそうなるんです。
「一人旅歓迎」と明記してあるところか一人旅プランがあるところに限ります。
今回の宿はその名もロマンチックな「乙女座宮」なんと一泊夜食付で3150円ですよ!
夜食なので21時半頃ですが、お部屋に届けてくださるのです。ひとりペンションの食事タイムも
これなら問題なしです。これがまたボリュームあって美味しく、地元の野菜を身体にいっぱい取り入れられて
大満足でした。空気の美味しいところで沢山歩くと食欲も湧くし、部屋でひとりだから遠慮なくたらふく
食べてしまった・・・ 食後外に出てみたら、やはり星がいっぱい出てました。
満天度は2年前のパペットガーデンはかなりすごかった。ほぼ山の中というのもあるのでしょうね。
回を重ねるごとに学習できますね。
今回はあの時の教訓を生かして暗くなる18時半までにちゃんと散歩から宿に帰ったし。

 
私好みのロマンチックなペンションです。  部屋の名前は星座。鍵も星座のモチーフ。

バルコニーには天体望遠鏡、お庭には白い犬と山ゆり、乙女座宮というだけあってすべてが名前どおり乙女チック
女性スタッフさんもとても親切、大泉や甲府のとっておき情報も教えてくださり感謝。
帰りには姿が見えなくなるまで手を振ってくれました。またひとつ思い出の場所が増えました。
ちなみにこの近所にオーガニックカフェ「ごぱん」があるのですが、水曜日は残念ながらお休みでした。

翌日はお宿で割引券をいただき以前も立ち寄った大泉「パノラマの湯」
富士山が見える温泉です。この日は見えました!富士のシルエットがくっきりと。いやー、極楽極楽。
年に一度の温泉。ゆっくりと身体の箇所を癒してあげるように湯をかけ、景色を堪能し、まさに命の洗濯タイムでした。

あとは小淵沢に戻りまずは再び中央線で富士見へ。ここも地味に好きな場所。
駅に降り立ったら風がもう違う。信州の風。昨年通り過ぎただけで資料館を見れなかった富士見高原病院へ
リベンジ。病院の受付で申し出たら見れました。旧富士見高原療養所資料館。サナトリウム文学発祥の地。
病院の奥の方のギシギシ足音が鳴り響く病棟にひっそりと資料館が3,4部屋ある。
貴重な体験をしました。ちょっと「風立ちぬ」読もうかな・・・

電車の時間まで大分あるので、またカフェプラトーに寄りました。変わってない居心地の良さと、
窓から八ヶ岳が見える安心感と以前と変わらぬコーヒーの美味しさに感激する。
リネンのクロス、さりげなく飾られた草花、たっぷりのコーヒー、清潔感いっぱいの店内、勉強になる事しきりです。
こちらのご主人も東京から信州に住みたくて移住してきたそうです。
とっても素敵なお店なので、富士見方面に行かれる方は是非ここでコーヒーを飲んでみてくださいね。

小淵沢に戻り例のごとくリゾナーレへ。送迎バスの時間が大分後だったので駅から歩いちゃいました。
ここのブックカフェが好きなんですよ。年に一度は行かないと気がすまないくらい。
いつか宿泊もしたいですけど、今の私にはまだまだ高い宿代なので先にとっておきます。
こういうところはひとりじゃなく家族とか友人と来たいですね。
私が旅はひとり、と言っているのは本音でひとり旅が好きなのもあるけど、尋常じゃなくお手洗いに行くので
誰かと一緒に行動で泊まりとなるとちょっと気を使うんですよね。それもある。克服できるといいですね・・・

 
ブックカフェでは中でお気に入りの椅子を見つけて  とにかくたくさん歩いた。まつぼっくりとか拾った旅のおみあげ
店内の本を色々物色しつつお茶するもよし、      を窓際のディスプレイ用に持ち帰りました。お客さん手作りの
外のテラスでお茶しながら1冊の本をじっくりと       もみじの折り紙と一緒に飾っています。まさに信州秋便り
時々ページ、時々八ヶ岳の稜線、と視線を移しながら
ゆったりとした時間を過ごすのもよし、

ここまでだと毎回同じようなコース、といった印象だと思いますが、今回の大きな目的は
甲府太宰ゆかりの地巡りだったんです。ところがリゾナーレでゆっくりしすぎて甲府に到着した頃はもう暗くなっていて
写真は写せなくなったんですけど、幸い駅に近いところにそれらの場所があったので、
駅の観光ガイドにあった地図で「太宰治の足跡めぐり」っていう便利なのが付いていたのでそれを見ながら
歩きました。過去に巡った場所をまた訪れるのもいいけれど、やっぱり初めて訪れる場所を歩くのって
ワクワクする。でももう暗いからさすがにちょっと不安。次回は明るいうちにゆっくり来よう、と心に誓う。

しかしない。新居跡がこのあたりにある筈、でも見つからない。次第に焦ってくる。
すると目の先に鳥居のような形が浮かび上がった。ここが御崎神社じゃない?・・・あった!
ここを着流しに下駄の太宰が散歩していたんだ、と思うと感慨深いものが・・・と言いたいところだけど
とにかく真っ暗なので正直夜の神社の、あのおどろしい雰囲気が勝ってしまう。

ああ、失敗。本命はここだったのに自分の詰めの甘さが最後の最後に痛手となった。
今回はもう太宰治僑居跡の碑だけ見たらあとは出直そう、とすぐ傍にある筈の碑を探したけどない。
おかしいな・・・でも真っ暗なのでわからない。諦めようか、と思った頃に
ふと「通り過ぎるな」みたいな気配を感じて首を左に動かすと、そこに「太宰治」の文字が浮かび上がっていた。
あった!そう、ここに来たかったから今回旅に出てんだよ、としばらくそこにいました。

「回想甲州の太宰治」で「太宰と美知子さんがひとつの籐椅子に腰かけて一緒に1本のバナナを食べていた
のを見てドキッとした」という思い出話が書かれてあったけれど、この場所で数年前、太宰と美知子さんの
蜜月の日々が確実にあったのだな、と思うと初めて感慨が湧いてきて、
真っ暗闇の甲府の街の片隅でひとり佇む私なのでした。

なによりさっきの「そのまま行ってしまうな、通り過ぎるな」みたいな正体不明の声のような、
何か気配のようなものを思い出すとざわざわする。
三鷹、金木、甲府、全て出かけたけれど確実に繋がっている何かを感じる。
もっと行きたい。太宰の残した足跡を。不気味でもいい。気配を感じたい。
いい大人が正気か?と言われそうだけど、
ここはひとつ文学少女のなれの果ての開き直りで軽く笑顔ですり抜けようじゃありませんか。
嘘じゃないもの、つくり話ではありませぬ。本当に感じたのですもの


2008年9月5日 金曜日
長く「太宰治物語」のDVDをお借りしていたお客さんがご来店くださり、やっとお返しできた。
しばらくヒマだったので、お客さん貸しきりタイムのようになったけど、心地よい時間を過ごしていただいてたらなにより。
ドラマの話などをしていたら、今クールは珍しくひとつもドラマを見なかった自分にびっくり。
「四つの嘘」は永作さんが魔性の女、しかも古本屋の娘ということで見たかったのですが、
一回見逃すと、また旧作レンタルになったら半額DAYにまとめてみよ、なんて思ってしまって結局
なにもなし。篤姫も「玉木君とうとう出てきたよ」といろんなお客さんが声かけてくれるのに(笑)
見れてないし。やっぱりリアルタイムでひとつくらいは毎週楽しみにしているドラマがあるくらいが
リズムとときめきある毎日を過ごす為にも調度良いんですけどね。

秋からのはなにかあるかな?とチェックしてみたけれど、ひとつも「これは見たい」といったものがない。
私も歳とったのかな・・・いかんいかん、感性に水を与え続けなければ。
せっかくの秋の夜長ですからね。読書は勿論、心に潤いをたっぷり与えてみたいものです。

お客さんはその点まだまだ感性が瑞々しい。ふと流れてきた音楽になにかきらめきを感じて
若いミュージシャンのファンになられたようで、うちの音楽雑誌のコーナーから
ボーカルのインタビュー記事を発見されてはわくわくされている。見ていて微笑ましかった。
しかも100円コーナーに眠っていたものから見つかったので、
「すごい、このラッキーの引き寄せ方も実力ですよ〜」なんて盛り上がってました。
遠方から来てくださったかいがあったなら良かった。
夢中になれるものがあるというのは幸せな事ですね。


2008年9月2日 火曜日
前にも旅のサイトをお持ちのお客さんが津軽を訪問された時の文章を
紹介させていただいた事がありますが、「太宰が住んだ大宮編」をアップしました、とメールいただきました。
さっそく読ませていただき、氷川神社の参道を歩いてみたい私の思いは深まるばかりです。
今は今度旅することもあって、甲府時代の太宰に関心が高まっています。
もう少し寒ければほうとうが食べたくなったかもしれませんね。

先日来店くださったお客さんは尾道ご出身の方で、林芙美子と太宰の関係に
関心がある、とのことでした。
林芙美子が大田静子さんを訪ねて「治子さんを私にください」とお願いしたことなど、
私もあまり詳しくないけれどとっても興味深いお話がお聞きできました。

治子さん著の「石の花ー林芙美子の真実」がますます読みたくなる。この本ににきっと真実が眠っているでしょう。
太宰の事で知りたいことが果てしない枝葉のように広がっていって
これは長生きのしがいがあるぞ、とまで思う。
治子さんといえば、「一冊の本」の連載「明るい方へ」でノンフィクションとして太宰と静子さんの恋愛について
書かれているらしく、ものすごく読んでみたいけれど、単行本になってからいっきに読みたいような気もして、
書店に行く度に、レジ付近に近づくと目のはしっこに「一冊の本」が入ってこないように、と願いつつとても気になって
ぐるぐるとまわっている事がある。あきらかにあやしい人だな。

尾道は一度主人と行きました。勿論芙美子ゆかりの喫茶店も。
とても素敵なところで、もう一度是非訪れてみたい場所です。
坂の途中で主人に「ここが時かけに出てきたタイルの場所やで」とか教えてくれたような記憶がある・・・
フェリーにも乗りました。私も気分は富田靖子になりきってたような・・・

私って坂が多い街が元来好きなのかな。
放浪記、林芙美子、これまたかっこいい女性、
私は三鷹に根を生やすつもりなので、おいそれ放浪、とはいかないけれど、これらの書物を読んで
放浪した気分にいつでもなることができることを幸せに思う。
そして1年にほんの2,3回。少なくて1回は絶対。一泊二日でも放浪をたのしみたいと思っている。
それくらいの贅沢は堂々とできるように、根を生やした場所の日々を高めていけるよう努力しようと思う。


2008年9月1日 月曜日
9月になりました。8月の終わりは大雨ばかりで商売的にはかなり打撃を受けましたが、
読書の秋に向けて挽回できると良いですね。というかできないとかなり厳しい・・・
雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ、なお店になりたいものです。

でもそんな足元の悪い中来店くださるお客さんもいらっしゃって、嬉しい限りです。
今月は勝手ながらお休みを1日多くいただきます。
第三火曜日に加えて第二火曜日の9日もお休みしますのでご注意ください。
トシをとっていくにつれて営業ペースも少しづつ無理ない程度に夏休みを2回いただいたり
することは今後もあるかもしれません。店内掲示とサイトで必ず事前にお知らせいたしますので、
よろしくお願いします。今回は「晩夏休み」とか「初秋休み」といったところでしょうか。
年に一度は温泉につかりゆっくりと命の洗濯も必要かと。
「リフレッシュ」とか「充電」というよりは「命の洗濯」という言葉がしっくりきそうなところは
私も中年にさしかかってきたのだな、と実感が湧きますね。
何かが降りてくるよりはそぎ落とすかんじ。

先日遊んできたとこじゃん!と指摘されそうですが、あれは「オフ」でなく「オン」だった。
しかも「必死のオン」オン長時間で電池切れ状態。
ちょっとここらで「オフ」しないとね、と自分を労わる時間をいただこうかと。

旅に出ると駅に設置してある小冊子なんかをよく手にとってみるのですが、
何か出てくるかわからないところがいいですね。今の自分の導きになる事だって多い。
というのもお客さんが太宰の事に触れてあったよ、とそのコピーを持ってきてくださったんです。
東急沿線の「SALUS」9月号。「名作のツボ」というコーナーがあって、「人間失格」が取り上げられていました。
山下敦史さんの文章です。太宰コーナーにファイルしておきますね。

あと「サライ」の「文豪が愛した郷土の味」の特集号や太宰関連のものや色々と貸していただきました。
ご来店の度ごとにたくさんコピーをいただいたり本や雑誌を貸してくださったり、こちらのお客さんにはいつも感謝してます。
特にサライの太宰の記事を読んでいると、青森に行ってカヤキを食べる冬の旅がしたくなりました。
カヤキとは「津軽」にも登場する料理です。あまり食べ物に関心を示さなかった太宰にしては珍しい描写です。
蟹田を訪れた場面で、Sさんの自宅で津軽の料理である卵味噌の貝焼きを食べるように勧められる
「卵味噌のカヤキというのは、その貝の鍋を使い、味噌に鰹節をけずって入れて煮て、
それに鶏卵を落して食べる原始的な料理である・・・」貝焼きがなまって「カヤキ」になったもの
そのページには弘前市の「炉辺」というお店が紹介されています。写真もあって、ものすごく食欲が湧いてきました。
あまり飲めないけど、熱燗と一緒にこっ寒い日に味わってみたいですね。



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