2011年4月7日 木曜日
桜満開です!

      
目の前の三鷹通りはこんなかんじ。            お店の内側からはこんな景色が見えています。
将来的には桜のトンネルみたいになれるかも?     お花見カフェはいかがですか?

お店にいると「綺麗ね〜」と通り過ぎる人の声が何度も聞こえてきます。
まだまだ大変な世の中だけど、桜が咲いたのを見て喜ばない人はいないでしょう。
しばし現実を忘れ、思わず大きな声が出てしまう、こんな嬉しい光景を見てとても気持ちが和みました。
また今年もやっと咲いてくれたね、ありがとうって桜の樹に手を触れてお礼を言ったりして。
それくらい、今年の少し遅れてきた桜の開花は喜びを感じる出来事だったのです。

時々いらっしゃる犬連れのお客さんが、店内でコーヒーを飲んでいる間、
ワンちゃんを店の入口に繋いでおくのですが、その光景を微笑ましく見つめて通り過ぎる人も多かったです。
まさに「しばわんこ」の春の風景の絵本がリアルになったようでしたから。
道を挟んだ向いの通りから、本格的なカメラでこちらを撮影している人の姿も発見しました。
桜満開の通りの本屋の前に可愛らしくておとなしく主人を待つ柴犬がちょこんと佇んでいる、
これはカメラマンを刺激する構図だったと思います。出来上がった写真を見てみたいくらい。


近くの中学校の先生が、「生徒がこういうものを作成しましたので、良かったら目を通してみて下さい」と
分厚いプリントを持参されました。それぞれに「太宰新聞」と大きくタイトルがあり、太宰のイラストや写真、年譜などが手書きで
書かれてありました。すごいです。中学生作成の手作りの太宰新聞の数々です。
「5時頃取りに伺いますので」と一旦立ち去られました。

たまたまこの日は忙しく、やっと空いた時間で一気読みさせていただきました。
「太宰文学の魅力」という項目が多かったですが、生徒の皆さん持論を展開していて大変面白かったです。
教科書からの丸写しとかでなく、自分の言葉で書いてるな、と感じるものばかりでした。

多かったのは「これって私のこと?」という、世代を問わずに太宰文学から感じ取る感想。
目からウロコだったのは「私達にとって太宰治のような存在が彼にはいなかった事が
彼の人生を縮めたのではないか」という文章。なるほどですなー。
そういう意味では私はものすごく幸せものなのでしょうね。

あと、「もし私が太宰の身内だったら彼の人生を取り締まると思う」というのもすごく斬新。
「この人の生き方は僕にはとうてい理解出来ない!」といった正直な感想もあった。
太宰治と女性達にスポットを当てた相関図もいくつかあり、「浮気」という文字がいっぱいあってちょっと笑えた。
また文学サロンに行った時の事を書いている生徒さんも多かったです。
皆さん親切に説明してくれました、と揃って書かれてありました。スタッフさんに感謝します。

文章だけでなく、イラストもすごく上手。行き先が「太宰治文学サロン行き」になっていて、
側面に頬杖太宰がペインティングされた太宰治ラッピングバス。これは是非乗ってみたい!

この「太宰新聞」は、後に文学サロンかどこかの展示室などで閲覧出来るようになる可能性はあるとのことでした。
多くの太宰ファンの方に見ていただきたいので是非お願いします、と先生にはお伝えしました。

こういう試みをされる先生がいらっしゃるというのはなんだか嬉しかったです。
最近、科学や歴史を学生の時になんでもっと勉強しておかなかったのか、と悔やまれる事が多いのですが、
国語が好きだったから今の私があるのだろうな、とも実感しているのです。

色々ありますが、お花見カフェして少し休みませんか?
今週末が桜の見頃だと思います。良かったらどうぞ、お店にいらして下さいね。
窓辺いっぱいの桜一面の風景と共にお待ちしております。


2011年4月6日 水曜日
久しぶりに朝まで一度も目を覚まさずにグッスリと熟睡出来て目覚め、
そうだ、今日は出かけようと決心した水曜日。
お正月に出かけて以来、もしかしたら一度も都心に行ってないかも。
お客さんから国立新美術館で開催中のシュルレアリスム展の招待券をいただいていたので、
無駄にしたくなかったのですが、どうしても電車に乗る気になれず延び延びになっていたのでした。

多分今年の春は短いだろう、そう思ってはいた。だったら今日みたいな日を逃してはならない。
今日はきっと大丈夫。理屈でなく動物的な感覚で判断したから準備していくうちに気持ちも身体も軽くなっていった。
それに渋谷駅連絡通路にある岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」も観たいし、勿論桜だってそろそろ満開だろうし、って。


美術展も勿論行きたかったけれど、どうしてもこれが見たかったー!

先週土曜日に最終回を見て胸が熱くなったドラマ「TAROの塔
ドラマもとても良かったのですが、登場する実写シーンに特に感動を覚えた。
太陽の塔の地下のシーンがほんの少し映ったのですが、なんとなく子供の時にこの光景を見たような記憶が蘇った。
万博に行ったのは確実で、実家には写真もあるそうだから屋根を突き刺す太陽の塔はこの目で見ている筈。
ドラマで太陽の塔が完成するまでのエピソードを知った後、猛烈に子供時代の自分に質問したくなった。
目の前の塔はどうだい?って。

「なんだこれ?」と人々が思うようなものを創るのだ、というような台詞が強く印象に残っている。
このお店の前で、9年経った今でも、よく人が足を止めて「なんだこれ?何の店?」という表情をして見ている。
そして上を見上げて「phosphorescence」という文字を見て、ますます「なんて読む?どういう意味?」と首をかしげる。
これで良かったのだと答が出せた。私もまた、4歳の時に太陽の塔の下で何かを夢想した、岡本太郎チルドレンなのだろう。
同じようなものをずっと創りたかったのかもしれない。

なんだこれは?といえば、最近「シャネル&ストラヴィンスキー」の映画を鑑賞し、すごく良かったのですが、
個人的には恋愛至上主義の私には珍しく、愛のシーンよりも冒頭の15分間に胸を鷲掴みされた。
それは「春の祭典」がパリで上演される際に、ニジンスキーの踊りと音楽があまりに斬新すぎて、
会場からブーイングが起こるシーン。でも何千人もいる観客の中で、ほんの15人ほどが「ブラボー」と拍手していた。
おそらく自分はあの15人の中に入るだろう、と思った。
ブーイングの嵐の中でも自分の感性を信じて「ブラボー」と立ち上がる勇気を持て、という事なのかな?

話は「TAROの塔」に戻って、岡本敏子さんを演じた常盤貴子さんのウェブ(少々見難いけど乙女チックなサイトで私好み!)
でも「明日の神話」を思わず見に行ってしまった事が書かれています。
そっか、この角度に立てば壁画全容が映るのか、それにしてもさすが女優さん、プラベでもとってもお綺麗だ・・
と読んでみたらなんだか素敵。前よりもっと好きになってしまったのでした。&私もこんな女優帽が欲しいデス。

最終回では太陽の塔完成の時のシーンの常盤さんの笑い泣きの表情にこちらも涙してしまったし、
力強いラストの表情に勇気をもらった気がしました。
ドラマ鑑賞後、太郎・敏子の共著を再読し、改めてこの二人の存在そのものが芸術なんだって思いました。

シュルレアリスム展も行けて良かった。そんなに混んでなかったのでゆっくり周れました。
絵画だけでなく古書も多く展示されていて、紙フェチにはたまらない空間だったと思います。
印象に残ったのは、ニューヨークのある書店のショーウインドウのディスプレイの写真。
うちの店と同じタイプのガラス張りで外はレンガ造りの書店の窓に、本と一緒に首のないマネキンが飾られてあったもの。

美術館を後にして周辺を少し歩く。
気持ちの良い春の快晴で、ふわっとした雰囲気が流れ、人々もテラスで憩っている。
こうしてる間も厳しい状況に耐えている人もいっぱいいる。でもこの短いふわっとした時間はその事を思いながらも味わっていたい。
そして経済をほんの小さな力でも回したい。

Toshi Yoroizuka Mid Townの前を通ると待ち時間なしのようだったので、入ってルバーブと木苺のタルトとコーヒーを味わった。
ここはカウンターの中で作っている人の姿が見えるので、一生懸命にケーキを作っている人を見て元気をもらおうとも思った事と
シェフの鎧塚氏は守口プリンスホテルで修業されていたということで、大阪出身で東京で頑張っている人のパワーももらいたい
と向かったのですが、鎧塚さんご本人がしっかりカウンターの中にいらっしゃったのには驚きました。
さすが、頬が落ちそうなくらいの美味しさでした。ケーキには赤い薔薇が添えられてあって色使いも冴えてました。
お隣の綺麗なモデル風お姉さん達もケーキがテーブルに到着した瞬間はしゃぐ姿が可愛かった。
女子は見た目良くて美味しいスイーツには目がないし、幸せになりますよね。
意外とリーマンさんもよく利用されていて、スイーツ待ちにシャンパンを飲んでたりして、たっぷり非日常感も味わえました。

帰りに歩いた井の頭公園では、いつもの花見は自粛ということで、ベンチごとに人がいて静かに話されていたり、
ギターを弾かれていたり、まったりとしたそれぞれのお花見が行われていて、かなりいいかんじでした。
細い月が池に反射して、夜桜が垂れ下がって、こんな静かで温かくて穏やかな夜がずっと続くとどんなにいいだろう
って思いました。
また何か起こるかもしれないけれど、今日春の良き日を過ごせた事でひとつ強くなれた気がします。
明日からまた頑張れそうです。


2011年4月3日 日曜日
3月11日以降たくさんの方が「地震は大丈夫でしたか?」と店を訪れてくださる。
顔を見るなり、「もう京都に帰ったかと思ってた。涙が出るわ」とくしゃっと表情を崩されて
こっちまで泣きそうになったり。
そして3月11日の地震発生時、どのような状況だったのかを大抵お聞きになる。
本棚が倒れまくったりして、何箇所か損傷してるのではないか?ととても心配をおかけしていたようで。
その時のお店の様子を記録しておきますね。

店内にはお一人お客さんがフレンチトーストとコーヒーを召し上がられて、その後和やかにお話していた最中でした。
最初は「ん?揺れてる?」といったかんじだったのが、段々揺れが大きくなってくる。
これは結構大きめな地震だ、と判断しお客さんに机の下に避難される事を促してみたものの、
お客さんは大丈夫、大丈夫、と普通に話の続きをされる。

ドアが開かなくなったらまずい、とドアを開けると、なんというか音の恐怖が差し迫ってきた。
三鷹通りを走る車も一時停止し、車体が上下に揺れている。
これは・・・と思い店内に戻ると、たまたま休みで家にいた夫がすっ飛んできた。
するとお客さんが、「この方ご主人なの?えー?若いー、イケメーン、かっこいいー」を連発される。
好みのツボにたまたまハマったのでしょうね。
こんな緊迫した状況の中で、思わず笑いが立ちこめる。
崩れたのは店後方、トイレ付近の上部の本類のみで、次第に揺れは治まっていった。

今思えば、お客さんに救われたのでした。こんな状況にも関わらず、私のこわばった神経をほぐしてくださったおかげで
恐怖が薄らいだのでした。本当に感謝しています。
段々と北の方の状況が分かってきて、深刻さは次第に増してきたのですが、夫が休みで帰宅難民にならなかったので、
閉店後直帰した後も一人で不安な夜を過ごさずに済みました。

それから何度「大丈夫」という言葉を言い、聞き、目にしたでしょうか。
でも現実は大丈夫じゃないかもしれませんね。それでも再生を信じていたいし、向かっていたい。
前回の日記で「使命」と書きましたが、自分の使命を果たすしかないです。
被災者の方々に対して今私に出来ることは、募金くらいしかない。
節電と防災と情報を見極める事に対する意識を以前よりも高めながら、毎日やるべき事をこなしていくしかない。

地震については、専門家の人に任せてしまうというのは無責任かもしれないけれど、
これまでに膨大な時間をかけて研究してきた人たち、今これ以上被害が拡大しないように懸命に努力されている人たちの
言葉に目を向けて、あとは自分で備えておくしかないかと。

ずっと前に、次の日に着ていく服装のまま寝る夫の事をものすごい変人みたいに日記に書いた事があったと思いますが、
このところ、私もそのまま表に出れるスタイルで寝ています。
私の場合は翌朝の着替えの時間をも省略するのが目的ではないですけどね。
枕元に懐中電灯や電池や水の入ったリュックも置いています。
当たり前だと思っていた事がそうではなかった、些細な事でも感謝の気持ちで、という意識は以前よりも
浸透していると思うから、どんな時でもプラスを引き起こしていけるといいのですが・・・

今日は原さんが来店され、しばらく二人だけだったので久しぶりにゆっくりお話できました。
原さんと話した後もとても芯が固まりしゃんとするのは毎回の事。
被災者へ送る物資の仕分けや、チャリティや、行動力があって言ってる事とやってる事がちゃんと一致している人。
今までの人との出会いや縁も大切にされてきたからこそ、現在の活躍に繋がってらっしゃるのだな、と実感。
以前に紹介した「太宰に導かれて『思ひ出』記念館(仮称)実現へ向けてのチャリティコンサート」のプログラムに
光栄にもメッセージを寄せさせていただく予定です。
プログラムが完成したらお持ちくださるようなので、また日記で紹介させていただきますね。
楽しみなニュースがあって心強いです。



2011年4月1日 金曜日
3月26日の朗読会、無事終了いたしました。
何回「やって良かった!」と口にしたでしょうか。
お天気は晴れたけれども、風が強くとても寒い中、お店まで来店くださった皆様、どうもありがとうございました。
こういう時期でしたが、いつもと変わらない力強く優しい朗読を披露してくださった中村さんにも本当に感謝しています。
お一人様のみキャンセルのご連絡があったのですが、キャンセル待ちでも参加したい、と受付けていたお客さんに連絡がとれ、
予定通り10名様満席で滞りなく会は行われました。

参加いただいた皆さんの感想を聞いても胸が熱くなるばかりだった。
ここは小さな空間だけど、「この距離で聴けるというのは貴重な体験」というお言葉が毎度の事ながら有難かった。
皆さんそれぞれ、ここ2週間ばかりいつもと違う日常で大変な事もあったと思います。
来て良かった、そう思っていただけていたらこれほど嬉しい事はありません。
きっと中村さんのお人柄も大きいと思う。いつもどおりの柔和な雰囲気の朗読会でした。

朗読会ではいつも前半はドリンクの提供などに集中しているので、後半にやっと朗読に耳を傾けられる余裕が出来る
事もあって、私は特に高木恭造の詩の朗読に感動しました。
泣きそうになったくらいですよ。

東北は日本の宝だと思いました。もっともっとたくさんの人にこの朗読を聴いてほしい、心底そう思いました。
中村さんは使命を背負ってる人だと思ったし、私も自分の使命を理解して、それにもっと尽くしていくべきだとも思いました。
今こそ津軽弁の詩が求められる時ではないでしょうか。

何をそんなに熱くなってる?と思われるかもしれませんが、
えらそうに前向きな事を口にしても、書いてみても、グラグラしてた。3月11日以来、自分の中の芯が。
冷えて震えていたものが、朗読会を境にジワーっと温められてしゃんとしだしたのです。
人の声の力で治癒するものがあると身を持って体験しました。案外やわなハートの持ち主なんですよ、私。

高木恭造の詩「俺達アこの良サごと守れ」というプリントが全員に配られたのですが、その中から1つ紹介させてください。

じっと春ごと待てろ

雪アのつそらど降て
なんぼ凍れできても
お前達ア 縮まていな
木の芽コだキヤえね
じつと春ごと待だなが
ちとぐれ苦ねごとあても
もう駄目て言ねでよ
それまでの心の竈(ヘッツ)の火コば
消すてしまるンでねど

東奥日報の天地人にこの詩が紹介された時の要約を引用させていただくと、
「雪がたっぷり降って、どれくらい冷え込こんできても、きみたちはちじこまっていなさい。
木の芽のようにじっと春を待っていなさい。
少しくらい辛いことがあっても、もう駄目だなど言わずに、心に今まで持っていた希望の火を消してしまわないようにね」
という意味だそうです。

朗読の時の読みは「縮まていな」も「スグダまていな」だし、「駄目」も「マイネ」だし、
100%津軽弁を理解する事はまずムリなのだけど、なんだろう・・・
本来の意味よりも深く伝わってくるものがあったのです。

「心に今まで持っていた希望の火を」よりも、「心のヘッツの火コば」の方がズシンとくる事もある。
あと、津軽の女は心の化粧を忘れない、という意味の詩もあって、とても私好みのかんじであった。
と思えば「女房ぶんなぐって」なんて言葉が出てくる詩もあるんですよ。この日の朗読にはなかったですが。
読んだ時、不思議といやなかんじを受けなかった事を覚えてる。
入手困難ですが、放言詩集「まるめろ」とりあえず手に入れて熟読したいですね。

私はやっぱり日本が好きだな。情緒を大切にしたい。
こういう状況になって、しばらく旅行に行く余裕はなさそうですが、昨年の秋に奈良でいい旅が出来て本当に良かった。
千年以上もそこに建っているという建造物を見れた事、
またそういうものを造る人間がいかに知恵を尽くして、魂を込めて完成させたのか、
旅から戻っても本を通してまた知る事が出来た。まだ余韻が続いているのは、本のおかげです。


今日は雑誌「ブルータス」の取材がありました。
5月16日発売号は本屋特集だそうで、その中の100テーマ100書店なるコーナーに、
少し掲載されるかもしれません。
書店も打撃を受けていますが、こんな時だからこそ、本の存在のありがたみを痛感してる人もきっと多い筈。
きっと読み応えのあるものになりそう。発売を楽しみにしていよう。
5月にはもっと状況が良くなっている事を願いながら、まずは目の前の桜の開花を楽しみに日々過ごしていこうと思います。
明日もお店でお待ちしております。


お知らせ
計画停電に伴い、夜の停電時間と営業時間がかぶった日は、早仕舞させていただく場合がございます。
また、日の明るいうちは電気を消灯する、BGMはしばらくはなしで、など節電しながら営業していく予定ですので、
ご理解いただけましたら幸いです。

早仕舞する場合はトップページにてお知らせさせていただく予定でおりますが、
現在のところ予定が急に変更する事もあるようですので、18時以降に来店予定のお客様はお電話いただけると確実にお答えできます。
営業日は18時までは確実に営業いたしております。
しばらくはご迷惑をおかけする事もあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

3月26日の中村雅子さんの朗読会「太宰治と津軽弁の夜」は計画停電の時間内でなければ予定通り開催いたします。
もし夜の時間帯で停電が行われる事になりましたら、朗読会を17時〜18時と時間変更させていただく場合がございます。
3月26日の計画停電スケジュールが発表された時点で、改めて最終決定の案内をさせていただきますので、
もうしばらくお待ち下さい。


スケジュールが発表され、確認いたしました結果、当初の予定どおり朗読会を、3月26日19時〜20時で開催させていただきます。
よって通常営業は18時50分までとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
参加者の方はどうぞお気をつけてお越しくださいませ。(3月20日更新)


2011年3月18日(金曜日)
私もお店も大丈夫ですが、まずはこの度の東日本大震災で亡くなられた方のご冥福を深くお祈りいたします。
また多くの被災者の方が一日も早く救出される事、被災者の方のご親類、大切な人達の心の安息,
支援されている方の健康を願ってやみません。
祈る事や節電する事、レジの時の僅かな募金くらいしか出来ないですが、
自分には今出来る事をやるしかない、と強い気持ちでおります。
今はこのお店をしっかりと根を張って守っていきたいです。
街の灯に、という原点に戻って、地震以来、何かと不安な人たちがこの店に来たり、通り過ぎるだけでもホッとするものを
感じられるような、そういう場所にしていきたい思いでいっぱいです。

心配して声をかけてくださる方に逆に自分が励まされている現状でもあります。
11日の地震発生時は、多少本がバタバタッと倒れたりはしましたが、その時間にいらっしゃったお客さんも私も無事でした。
太宰棚の上には細かいものが色々とありますが、写真立てなど不思議と微動だにしなかったのです。
こういう状況になって、太宰が経験した復興の時代を、より理解を深めていく事が出来るかもしれませんね。
嘆いているよりも、得られる事に目を向けていかなくては。
東北の事を思うと、立ち上がろう、頑張ろう、って勇気をもらえるように・・・

とこう書いても、実際は不安で胸が押し潰されそうな時間もあります。でももっと大切な思いでかき消していくしかない。
私が今まで太宰を語る時に欠けていたもの、
負の世界から太宰治という一人の人間が生み出したものが、時代を超えて受け継がれているものがあるという事に
一層目を向ける事も出来るかもしれない。「本当は明るくて優しい太宰」それを伝える事がテーマではあるけれど、
少し視界が広がったかもしれません。

お知らせで案内したように、26日の朗読会は開催の方向で見通しを立てております。
もし停電したとしても、キャンドルの灯りの中で五感を研ぎ澄ませての朗読会もまた良しかとも思いましたが、
計画停電の時間内にバッティングしたとしたら、行き帰りのお客様の安全についての問題があります。
そこで考えたのですが、18時までは昨日今日でも表に明るさがあるので、時間をずらす事で開催できるのではないかと決めました。
不安な気持ちを抱えるこの時だからこそ、中村さんの朗読を通して太宰の文章、津軽の詩人高木恭造の詩を聴いていただきたい、
そう思うのです。

春の読書会については、今回は行わない事にしました。こちらは単発の催しではなく、季節に1回巡ってくる会ですから、
またやればいい。6月19日の桜桃忌にダザイヴェートが無事開催される事を祈りつつ、春は見送ります。
ただ、予約というカタチではなく、桜が満開になって、色々と落ち着いていたら、
「今週末にこんな会をします」的なものはあるかもしれません。
関東からしばらく離れる、引越しされる方も中にはいらっしゃるようですが、私はずっとここに居るつもりです。
また、こちらで頑張っている人も応援していきたい。



太宰治と叔母きゑ「思ひ出」記念館(仮称)実現へ向けてのチャリティコンサート 太宰に導かれて 
太宰治が縁で集結した3人が、朗読とピアノで思いを綴る
2011.6.3(金)三鷹市芸術文化センター星のホール
URL http://www1.parkcity.ne.jp/dazai-kura-charity/
朗読者の原きよさんからお知らせいただきました。渡辺秋香さんの演奏、藤田勉さんの作曲で3人によるトークもあるそうです。
詳しくはお店のチラシをお取りください。原さんのブログもご覧下さい。原さん、すごく頑張ってます。
遂に芸術文化センターでの朗読が実現。この日は素晴らしい日になる事でしょう。

店内に記事を貼っていますし、ご存知の方も多いと思うのですが、太宰が疎開中、五所川原の叔母きゑを訪ねた折りに
寝泊りした「蔵」を太宰治と叔母きゑ「思ひ出」記念館として復元する計画が現在進められていて、その基金を募集しています。
計画については太宰治検定ブログにも詳しく書かれています。ブログによると解体期限は迫っているとのことですが、
震災で津島さんや蔵は無事だったとのことでまずは安心しました。
今後も微力ながら見守っていきたい姿勢でおります。記念館実現を心より願っております。


双葉社発行 イン・ザ・ルーツ 著者の竹内真さんが本日発売された本です。
「祖父の形見に秘められた謎 向き合う三兄弟の十二年間を描いた成長小説」と説明があります。

時々コーヒーを飲みに来て下さるお客さんから、「これ、良かったら読んでください」と今日こちらの本を頂きました。
お話を伺うと著者ご本人様だとのこと。驚きました。
前回来店時に、絶版になった根付の本を探していたものだと大変喜んでお買い上げになられていたのですが、
この本は根付が主役の物語なのです。不思議なご縁って繋がっているものですね。とても嬉しくなりました。

PCを使うのは最小限にして、読書する時間が以前より増えたのですが、出だしから読みがいがありそうな面白さです。
例えば停電の夜、僅かなライトの光を前に布団に潜って読む1冊としてかなりおすすめです。
分厚いので3時間ですぐ終わってしまう事はないし(読むのが早い人は別として)
すごく人として魅力的なおじいちゃんが出てきて、このところカチコチに冷え切っていた心臓のあたりを、
ゆっくりとあたためてほぐしていってくれます。
登場する3兄弟、家族が仲が良くて、こういう時期という事もあり、涙が出そうにもなりました。

このタイミングでこの本に出会えた事に、感謝したいです。
気になった方は、書店に行って購入してみて下さいね。書店も地震以来、人が遠ざかっているところもあるようですが、
停電の時、寒い夜、月並みな表現ですが、心があたたくなる本を読むのが一番ではないでしょうか。
絵本をお子さんに読み聞かせてあげるのもいいかもしれませんね。

しばらくは厳しい日々が続くかもしれませんが、きっと切り開いていけると信じて頑張るしかない。前を向いていくしか。
でも辛い事もいっぱいあるし、不公平な出来事だって沢山起こる。いつでも愚痴りに来て下さい。
停電が怖いな、慣れないな、という一人暮らしの女性もきっといらっしゃると思います。
うちは上連雀8丁目なので、こちらが停電してない時間だったら、どうぞお茶でも飲みに来て下さい。
停電のない営業日は20時まで普通に開いています。夜の停電に当った日は18時までは開いています。
節電はしながらも出来るだけ何時もどおりに、を心がけていきたいです。
明日もお店は20時までやっています。ご来店をお待ちしております。気持ちは明るいほうへ行きましょう。


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